「こちら葛飾区亀有公園前派出所」79巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1993年2月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 79【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●V8パトカー!?の巻
ストーリー
葛飾署のパトカーは古い型のものばかり。署内で買い替えの検討をしていると聞き、両さんは頑丈なアメリカ車を推薦する。
しかし、署長たちは聞く耳を持たない。両さんはホットロッドの前田と一緒に、アメ車のパトカーを入手すると、街中を走り回りアメパトのPRをする。
さらに両さんたちは、逃走する暴走族の情報を手に入れると、手柄を求めて、アメパトで暴走車を追う。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、ホットロッドの前田、屯田五目須(署長)
V8エンジン搭載のアメリカ車のパトカーをPRする話。
現実的には下町の細い路地を通るのに、大きなアメ車はあまり有効ではないだろう。
ホットロッドの前田は久々の登場(51巻「撃滅!!現代の化石の巻」以来)。アメ車の頑丈さを示すために、愛車を署の建物にぶつけてみせるというイカレっぷり。
「こち亀」初期は割と登場があった前田だが、秋本先生の中でアメ車への情熱が薄くなったのか、以降の出番はなかった。
価格:1100円 |
こちら葛飾区亀有公園前派出所 51【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●ベビーシッター両津!?の巻
ストーリー
0~3歳児の知能形成の本が派出所に置かれていた。1歳になる孫娘の桜のために部長が買って勉強していたのだ。
赤ん坊はミルクさえ飲ませておけば勝手に育つと思っていた両さんだったが、中川たちから乳幼児の頃の教育の重要さを説かれる。
桜を連れてひろみが現れたので、両さんは知ったかぶって、今知ったばかりの幼児教育の重要さを部長に語る。
その勢いでしゃべったため、両さんが一人で桜の面倒を3時間ほど見ることになる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、両津銀次、両津よね、角田(大原)ひろみ、角田桜
乳幼児期間の重要性の話。
両さんの赤ん坊時代の話が語られる。父・銀次に競馬場、エロ映画館、飲み屋に連れていかれ、0歳から酒を飲まされていたという過酷な環境だった。
銀次の若いころは、眉毛がやや薄いものの、現在の両さんにそっくり。
競馬の予想を署内で売っていたことを部長に咎められ、「それ(予想の書かれた紙)はあげたんです! みなさんがそのお礼に現金を私にくれて…」と言い訳したが、部長には通じなかった。
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●なんでも消すペンの巻
ストーリー
書いても一週間経つと消えるインクを使ったペンを両さんが購入。両さんはそのペンを大量に購入し、インクを研究した結果、60分で消えるインクを開発。
60分で消えるのを良いことに、仕事の書類や関係各庁に送る警視庁のパーティー招待状に使う用紙などにマンガのキャラなどを落書きしまくる。
消えるインクのボールペンを署内で売りさばこうと、大量に持ち込むが、部長に見つかりそうになって隠した拍子に、巡査部長昇進試験に使うボールペンと入れ替わってしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)
60分で消えるペンの話。
こすって消えるボールペンは実在するが、この回で出てくるのは時間が経つと消えるボールペン。
両さんが落書きに使ったのは、赤塚不二夫のキャラ(ダヨーン、目ン玉つながりのおまわりさん)やロボット三等兵、ひょっこりひょうたん島(トラヒゲ)など。
巡査部長昇進試験のテスト用紙から解答が徐々に消えていくが、署内のコピー機が壊れているので、コピーして残すことができなかった。その一方では、招待状に使うプリンターは順調に稼働していた。複合機ではないのかもしれないが。
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●白鬚橋の思い出の巻
ストーリー
新婚旅行から帰った弟・金次郎夫妻の新居のマンションを訪れた両さんと中川。
25階マンションの最上階に住む金次郎は、両さんと異なり、几帳面に昔の物を取っておいていた。
買い物ついでに外出した一行は、千住のガスタンクに登ったりした両さんと金次郎の少年時代の思い出話をする。
白鬚橋を通った時、幼少時に迷子になった金次郎を走って探しに来た両さんのエピソードを金次郎が語る。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、両津金次郎、両津景子、両津よね
78巻「兄として…!の巻」で結婚した金次郎の新居を訪れる話。
金次郎は、15年近くコルト1000(20年以上前に発売)を愛車にしていたり、両さんが遠足で買ってきた遠足のお土産を残していたりと物持ちが良い。
長年、金次郎が趣味にしている無線のアンテナを見て「伝書バトもこっそりやってるんじゃねぇのか」と言う両さん。伝書バトについては80巻「鳩の恩返し!?の巻」でも話題に出てくる。
白鬚橋の思い出については両さんと金次郎で認識が少し違っていた。その認識の違いを中川に語りながら、現在の白鬚橋を渡るところで物語は終わる。
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●バスルーム狂騒曲の巻
ストーリー
署内でカリントウに犬の糞を混ぜるイタズラをして、部長に大目玉を喰らった両さん。
叱られた腹いせをしたい両さんは、立派な檜風呂を作ったという部長宅の改築祝いでの復讐を計画する。
改築祝いのプレゼントとして、トウガラシなどの刺激物満載の入浴剤、色々な動物の糞をブレンドした入浴剤、石膏を入れた入浴剤の詰め合わせを用意する。
中川と麗子も風呂で使えるプレゼントを持ってきたため、首尾よく特製入浴剤を渡すことに成功した両さん。
しかし、酔って上機嫌になった部長は、両さんと一緒に檜風呂に入ろうと誘ってくる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、屯田五目須(署長)、大原良子
部長に特製の入浴剤のイタズラを仕掛ける話。
冒頭のカリントウに犬の糞を混ぜるイタズラは、部長や署長ではなく、本庁のお偉いさんが口にしてしまう。
中川と麗子と自分用には寿司の「特上」を注文し、一方両さんには寿司の「下」を注文する部長。
松竹梅の「梅」ならともかく、寿司の「下」は聞いたことがない。
そんなふうに両さんをぞんざいに扱う部長だったが、酔うとフルチ〇で「なぜわしと入らんのだ!」と両さんに抱きついていた。
中川たちよりも両さんのことを意外に可愛く思っているのかもしれない。そう考えると、普段の両さんへの態度も、好きな子へわざと悪態をつく幼児のようなものかも。
部長宅が破壊されたのは、78巻「新築祝いは鎧で御免!?の巻」の話。その修繕もあっての改築だった。
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●究極のリフォーム!?の巻
ストーリー
美術館は苦手な両さんだが、中川に連れてこられたジェイブ美術館は、平面の壁に直接、額縁も含めて描いている絵画や、立体の彫刻っぽく平面に絵を描いているトリック・アートの美術館だった。
トリック・アートのアイデアを気に入った両さんは、入居者が減ったがリフォームするお金もないアパートの大家の相談を受け、トリック・アートを用いたリフォームを行う。
主な登場人物
トリック・アートを用いたアパートの話。
名前も高級感を出すため「山中荘」から「黄金の邸宅 ザ・ゴールドスターファイヤーダイヤモンド亀有SGX1992」に改名。
二階建てのアパートを三階建てのマンションに錯覚するような外観にした他、室内の壁には、人込みが好きな住人用に新宿の町並み、リッチさが味わえる大量のお札、受験生向けに予備校の風景などを描かれていた。
変わった住宅のアイデアがたびたび出される「こち亀」だが、この回に出てくるアイデアは壁に描いているだけだったりするので、一部は現実でも再現が可能。
価格:1332円 |
●暴走!一寸法師の巻
ストーリー
賞金200万円のカヤックレースがあると知り、両さんは経験者のボルボと共にレースに参加。
友人のカヤックを借りてレースに挑んだ両さんだが、気の小さいボルボが驚いて発砲したためにカヤックに穴が開いてしまう。
代わりに、廃棄されていたおしるこ屋のディスプレイ用の巨大なお椀で一寸法師のように進む両さん。
いつしか別の川に入ってしまった両さんとボルボは、部長と署長が渓流釣りをしている場所に出てしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、ボルボ西郷、屯田五目須(署長)
渓流を下るカヤックレースの話。
傭兵時代に何度も訓練で乗っていたからと、経験のない両さんに教えるために同行したボルボ。しかし、バランスを崩して溺れかけたり、手榴弾を川に落として爆発させたりと、むしろボルボの方が両さんの足を引っ張っていた。
この頃からボルボは、両さんに対して敬語の後輩キャラからタメグチに変わっている。
渓流釣りを楽しむ部長の被っていたキャップには、分かりやすく「TSURI」のロゴが入っていた。
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●駄菓子屋カルト王(キング)の巻
ストーリー
テレビで下町の駄菓子屋を特集する番組があり、店構えや店主のおばあさん、品ぞろえなど色々な視点でランキングされていた。
この番組を見た両さんは下町をバカにしているとテレビ局に抗議の電話を入れる。しかし、その抗議で駄菓子屋に詳しいことから、番組の出演を依頼されて承諾してしまう。
両さんは番組内で、決められた金額ピッタリを駄菓子屋で購入する企画や、駄菓子屋のカルトクイズに挑む。
主な登場人物
前半は駄菓子屋を査定してランキング化する番組の話、後半は駄菓子屋カルト王を決める番組に出演する話。
この頃は、マニアックなクイズ番組「カルトQ」が放送されていた頃だった。
前半の駄菓子屋のランキングに出てくる評論家の名前は「我茶本正(がちゃぽん ただし)」。
前半と後半の間には、金持ちの紳士が訪れる超高級駄菓子店「DA・GASHIY(ダ・ガッシー)」が南青山にあると中川の口から語られる。
後半のカルト王で登場した駄菓子屋は、安価な駄菓子やオモチャに交じって、本物のカルチェの三連リング、ティファニーのオープンハート、ローレックスなどの高級品も取り扱っているというカオスな駄菓子屋だった。
価格:1320円 |
●C・S(キャッチ・セールス)に御用心!?の巻
ストーリー
警ら係の板池巡査から、お金のことで相談があると電話を受けた両さん。仕事帰りに板池のアパートを訪ねると、玄関ドアには大量の新聞、室内には様々な品物であふれていた。
英会話の教材カセット、家電、美術全集など多様な物があったが、それらはどれも板池が購入した物。
押しに弱い板池は、新聞の勧誘や部屋に届くダイレクトメール、街中のキャッチ商法にいちいち応じて買わされてしまっていたのだ。
両さんは板池に付き添い、ひとつずつ返却・解約していく。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、板池
キャッチセールスを解約する話。
冒頭では話の導入として、若者のカード破産の話題が出されていた。
板池から相談を受けた両さんは「金は無計画に使ってはいかんぞ!」と自身を棚に上げて説教。
店頭で購入した物に関しては店に行って返品していたが、街中で声をかけられてのキャッチセールスでは連絡の取りようがない。両さんは、板池が声をかけられた場所で大声で呼びかけてセールスの人間を見つけた。とはいえ、サギでないなら一応、連絡先については商品と一緒の説明書などに書かれているのでは?
価格:1760円 |
●T-3600号発進せよ!の巻
ストーリー
新入署員歓迎会の幹事としてお金を25万円預かっておきながら、競馬で無くしてしまった両さんは、夏休み向けのヒーロー映画「ボンバー5」のスタントのバイト代で歓迎会費用を賄おうとしていた。
両さんは悪役のT-3600のスタントを担当。製作費50万円がかかったT-3600のスーツは関節の可動域が狭くて大きな動きができない上、一人では脱ぎ着できないやっかいさ。
それでも爆破や、遊園地でジェットコースターに乗ってのアクションをこなし、T-3600として役割を果たす両さん。
しかし、撮影時間が延びて歓迎会に間に合いそうにないと見た両さんは、T-3600の衣装のまま、バイト代だけを届けに歓迎会の場所に向かう。
主な登場人物
新入署員歓迎会の費用捻出のため、特撮ヒーロー物のスーツを着て奮闘する話。
歓迎会の店と時間はすでに決めていたので、あとは使い込んだ費用だけが問題になっていた。
T-3600のスーツは、右手がカニのようなツメ、左手が吸盤のようになっている。ヒーロー物の悪役キャラとして右手のカニヅメは分かるが、左手の吸盤は悪役っぽくない。
動きにくい衣装で行動することについて、「底抜け脱線ゲームやってんじゃねぇぞ」と文句をこぼしていた。底抜け脱線ゲームはテレビのバラエティ番組。
結局、両さんは悪役T-3600のスーツ姿のまま焼酎30リットルを飲んだそうだが、衣装を一人では脱げないのに、トイレをどうしていたのだろうか?
東映特撮ヒーロー THE MOVIE VOL.1 [ 都筑道夫 ] 価格:2491円 |
弟・金次郎との思い出が描かれる「白鬚橋の思い出の巻」。
金次郎との思い出話では、両さんが良い兄さんとして描かれることが多いが、そこには金次郎の思い出補正がかかっている模様。
オススメは部長と裸の付き合いになる「バスルーム狂騒曲の巻」。