「こちら葛飾区亀有公園前派出所」98巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1996年5月発売)
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●電脳ラブストーリーの巻
ストーリー
本田は冬のボーナスをつぎ込んでパソコンを購入。購入の理由はゲーム「キャンパスフェアリー」をプレイするためだった。
本作は、高校を舞台にした恋愛シミュレーションゲームで、キーボードの文字入力で美少女たちと会話して進行する。
恋愛ベタな本田は美少女たちにフラレまくるも、中川や麗子のフォローで美少女との親密度は上がっていく。
しかし、仲良くなった美少女キャラとのショッピングで、美少女はキャッシュカードの番号などの個人情報を尋ねてくる。
主な登場人物
美少女との恋愛シミュレーションゲームの話。
ゲームでどんどん課金させるアイデアは、当時としては新しい。
このソフトの容量は620メガバイト。ギガを超えるゲームが普通の現在からすると少ない気がするが、当時としては相当な大容量。
ゲームを進めていくとキャラから「(電話回線をつなぐ)モデムを付けてね」と言われる。パソコンだからといっても回線に常時接続はしていなかった時代を感じる。
本田が買ったパソコンはPC-9821。
冒頭、本田に声を掛けられ、散髪を途中で止めたため、この回での両さんの髪型は一部ギザギザと伸びている。(代金は半分しか払っていない)
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●左脳よ働け!!の巻
ストーリー
両さんは以前に失効した運転免許を全部取り直していた。
それどころか船舶免許、飛行機の自家用操縦免許、気象予報士資格、第一~第六類の危険物取扱者資格なども取得。
技術や運動能力はともかく筆記試験で落ちるはずではと、訝しむ部長だったが、両さんの脳は普段右脳だけしか動いておらず、冬眠状態の左脳が目覚めると驚異的な能力を発揮するのだった。
しかし、集中が解けると急速に左脳の機能は低下していき、せっかく覚えた知識も急激に忘れていくのだった。
主な登場人物
両さんが左脳を目覚めさせて難関資格を取りまくる話。
運転免許を以前、失効した話は96巻「両さんの免許証の巻」。
気象予報士や危険物取扱者の資格を取ったのは、講習会で人に教えればお金になるため。
この回は、サム・トレーディング社の背景原画(版権フリー)を多数使用している。
しかし、この連載時点では新宿、渋谷、横浜の風景だけしかなかったため、管轄ではない歌舞伎町を部長や中川たちがパトロールするという不自然な仕上がりになっている。
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●不忍池の思い出の巻
ストーリー
中川、麗子、本田、乙姫と上野に来た両さんは、不忍池でボートに乗ることに。
池の鴨にビスケットをあげようとして大量の鳥に囲まれたり、ボート漕ぎ競争で両さんが転覆したりとトラブルに見舞われる。
偶然、池に浮かんでいたオモチャを拾ってみると、それは両さんの子どもの頃の物。もっと他にもあるのではと考えた両さんは、底をさらって調査をしてみる。
主な登場人物
前半は不忍池のボートで遊ぶ話、後半からは池の底から思い出の品を見つける話。
上野には国立科学博物館に来るのが当初の目的で、不忍池にはついでに寄った流れ。
池の底を浚うと、両さんのGIジョーや弟・金次郎のローラースルーGOGOが出てきた。
ラストは少年時代の思い出が意外な方向に。笑えるでも泣けるでもなく複雑な感情になる「こち亀」にしては珍しい終わり方。
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●世にも危険なクイズ!!の巻
ストーリー
テレビ番組のスタッフからバラエティー番組の企画の相談を受けた両さんは、危険なクイズ番組を考え出す。
不正解すると、上からランダムで槍が10本落ちてくるクイズ、同じく不正解で炭酸水の水槽に落とされるクイズ、懐かしい物の持ち込み対決に負けるとバンジーで落とされる対決、クイズの答えを間違えると猛獣が放たれる巨大迷路など、命がけの番組。
両さんは企画を考えるだけだったが、自身も参加させられることに。
主な登場人物
危険なクイズ番組の企画を考える話。
本編のクイズ番組の前に両さんから複数の企画のアイデアが出される。
出されたアイデアは、マイケル・ジャクソンとマイク・タイソンのW司会、ビル・ゲイツと城南電機の宮路社長のW司会などムリなものばかり。
その中でノ・テウ司会「マネーゲームでわっしょい」というものがあった。ノ・テウは不正蓄財で逮捕された韓国の元大統領。
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ストーリー
福引きでスキーセットを当てた両さんは、強引に中川に頼み込み麗子、本田、ボルボ、ジョディーとでスキー場へ向かう。
高層ホテルの部屋から直でスキー場に行ける特殊な構造から、スキーを楽しんでいると、コース上には多くのスノーボーダーが。
全日本スノボー愛好連合協同組合向上委員会を名乗るボーダーキングと言い争いをしていると、スキー場に置き引きが発生。
両さんは雪の中、追跡を開始する。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、ボルボ西郷、ジョディー・爆竜・カレン、爆竜大佐、ボーダーキング
スキー場でスノーボーダーと言い争いする話。
当時、スノーボードが流行ってきた頃だった。
ジョディーは意外にもスキーが初体験。ボルボもスキー場は初めてだったが、スイス軍と冬山でアルプス越えの軍事訓練の経験はあったとのこと。
今回登場したボーダーキングは、101巻「真夏のリゾート計画!!の巻」に全日本ボディボード愛好連合協同組合向上委員会として再登場する。
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●狙え!!賞金首の巻
ストーリー
弟・金次郎から遠い親戚の50回忌の相談の電話を受けた両さんは、几帳面過ぎると断る。
日本は法事が多すぎる、生まれた誕生日の方を優先して生きている人を大事にすべきと両さんは力説する。
服などにくっつくオナモミの種子を見かけて、懐かしくなった両さんは、種子を集めて署員たちと遊ぶ。ただ的当てするだけでは飽き足らず、部長や署長たちを賞金首にして、こっそりオナモミの種子をくっつける忍者ごっこを始める。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、屯田五目須(署長)
前半は法事が多過ぎることに憤る話、後半は署内のお偉方を賞金首にしてオナモミの種子をくっつける遊びの話。
結婚式は一回しかしないのに、法事はどうして何回も親戚一同を集めて悲しい思いをしなければならないのかと両さんは力説する。
また、日本人には余裕がない、何か悩むと生きるか死ぬかの二択になる。悩んだら生きるモードにしてどう生きるかを探すべきと語っていた。
前半はそんな熱く語っていたのに、後半は忍者ごっこの子供っぽい話になる。
作中、西暦2000年には立体バーチャルバトルゲームが出ると予想していたが、2024年現在でもできる気配はない。
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●両さんのパソコン講座の巻
ストーリー
娘のひろみや孫の大介らがパソコンを使いこなしていることに驚く部長。
ちまたではウインドウズ95が話題になっていることは聞いているが、書店に行ってもさっぱりパソコンのことが分からない部長は困惑する。
しかし、派出所に出勤すると、「デジタル交番」のモデルになっているため、書類関連はすべてパソコン作業に置き換わっていた。
両さんや中川たちから部長はパソコンを教わる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、角田(大原)ひろみ、角田英男、角田大介
部長がパソコンを学ぶ話。
派出所で中川がいつも前にいる書棚は無くなっており、書類の中身はディスク1枚に収まっていた。(この時、中川はCD-Rと呼んでいるが絵はMOディスクっぽい)
この「デジタル交番」化はこのときだけで、書棚も以降は戻っている。
欄外にはパソコン初心者向けに、ヘルプ解説が載っている。ただ、秋本先生が個人的に調べたもので、もし間違いがあっても投書、電話はしないようとの記載がある。
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●インターネット駄菓子屋の巻
ストーリー
駄菓子屋のおばあさんのパソコンをセットアップしてあげたことから、インターネットのバーチャルモールで駄菓子屋の商売をすることを思いつく。
この商売は大当たり。次に両さんが考えたのは、お年寄りなどの初心者用のパソコンの開発と販売。
外観が木製、古いブラウン管テレビが故障したときのように、叩いて作動させるというパソコン「山田28号」を開発する。
OS開発のためにインドにスタッフを派遣し、「インドーズ95億」を作る。
主な登場人物
インターネットの駄菓子屋をする話と新しいパソコンを開発する話。
前回から引き続き、欄外にIT関連のヘルプ解説がある。
現在でも日本を訪れた外国人がコンビニ菓子に魅力を感じたりするようなので、ネットで海外への駄菓子販売は売れるかもしれない。単価が安くて利益は出ないかもしれないが。
この回では、インターネット人口は7000万人と書かれている。ネット人口が数十億人となった現在と比べると2ケタも少ない。
パソコン開発には、勘兵衛の会社(リョーツ・ゲーム・カンパニー)のハイテクおじいさんたちが協力している。
OSをインドで開発というのは、当時からインドがITに強いという見込みがあったからなのか、単にWindowsにかけて「インドーズ」とするギャグをやりたかっただけなのか、どちらか不明。
●ハイテク世代V.S.オヤジ世代!!の巻
ストーリー
葛飾署内でも本格的にパソコン教室が始まる。若い世代は対応していくが、部長や署長たちの世代はまったくついていけない。
「パソコンは若い者に任せればいい」「我々がパソコンなど習う必要はない」と主張するシニア勢。
そう言われた両さんは、署内を若者たちのITエリアと、部長たち世代用の紙と筆、ソロバン、人力車などの機械なしエリアに分ける。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、本田速人、屯田五目須(署長)
オヤジ世代のパソコン嫌いの話。
前々回、前回と続いたパソコンのネタ。
今となっては、パソコンが使えないとデスクワークは全く立ち行かなくなってしまったので、部長世代の怒りには全然共感できないが、当時はそんなオヤジ世代も少なくなかった。
それでも、アダルト関連の物だけは見たいオヤジ世代の姿は悲しい。
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「電脳ラブストーリーの巻」「両さんのパソコン講座の巻」「インターネット駄菓子屋の巻」「ハイテク世代V.S.オヤジ世代!!の巻」とパソコン関連の話が4本もある巻。
Windows95が出たことで、一般家庭でもパソコンを使うことが珍しくなくなり、オフィスの仕事はパソコンに置き換わっていった時代を感じる。
Microsoft Windows 95 - Wikipedia
「電脳ラブストーリーの巻」で本田が恋愛シミュレーションゲームがハマるが、次の巻からは左近寺が登場し、ゲームにハマるのは左近寺の役回りとなる。