カワサキプラザに聞くelf Vent Vert“冴強（10W-50）”と“冴速（10W-40）”を選ぶメリット

バイクにとって最重要消耗品の一つがエンジンオイルだ。この優劣でエンジン内部の寿命も大きく左右されるほど。ではカワサキとエルフがコラボレーションして生まれたヴァンヴェールの効果とは? カワサキプラザに聞いてみた。

愛車を保護するため高性能な冴強を推奨

“エンジンオイルはバイクにとっての血液である”。これは昔から言われてきていることだが、エンジン内部を循環し、潤滑や衝撃緩和、摩擦防止、洗浄などさまざまな役割を担うのがエンジンオイルだ。それだけにエンジンオイルの重要性はよく知られるところだが、ではカワサキ専門店ではそのエンジンオイルをどう考えているのか。今回はカワサキプラザ川越に話を聞いてみた。

「まず当店では、初回点検、定期点検などでエンジンオイルの交換時には必ずといっていいほど冴強をお奨めしています。純正のS4も問題があるわけではないのですが、もっともハイグレードなモノに変更することでバイクの基本性能を維持することを重視しています。基本性能を維持するためにオーナーが能動的に行なえる手段は意外と数少なく、その数少ない手段の一つがエンジンオイルを高性能なモノを使うことになります。そこで現在の愛車をより長く楽しんでいただくうえでも、良質なエンジンオイルの冴強にしていただきたいと考え、できるだけ来店されるオーナー様たちにお勧めしています。そうお話しさせていただくと、グレードアップを図ろうと考えていただけることが多いですね」

このように語るのは同店のゼネラルマネージャーを務める青山秀平氏。そして実際にエンジンオイルの交換作業を担当するカワサキテクニシャンの市野塚 誠氏はこう話を続ける。

「現在、どこのカワサキプラザも非常に多忙だと思うのですが、エンジンオイル交換も来店してすぐに、エンジンがまだ高温の状態で行なうことが多々あります。で、これはどのオイルが、とは限らない話なのですが、エンジンオイルによってはドレンボルトを外すとシャバシャバになって落ちることがあります。高温下でそんな状態だとキチンと保護されているのかと不安になりますよね。ですが冴強なら十分に粘度をたもっているなと実感します。それにヴァンヴェールシリーズの特徴としてはライムグリーンに着色されていることですが、距離を走っていれば汚れをしっかり吸着してエンジン内部の状態を推測しやすい。メカニックとして非常にありがたい側面があります」

粘度の高さは油膜の厚さにつながり、油膜の厚さはギヤチェンジ時のショック低減につながるなどメリットが多いと市野塚氏は話を続ける。

「詳しい人だと、とくに真夏だと油膜が厚く保護性能が期待できる冴強がお勧め、という印象を持たれるかもしれませんが、実は季節やマシンに限らず冴強をお勧めするケースが多いんですね。それこそZ125プロやW800、ニンジャH2など、排気量や冷却方式などを問わずエンジン保護に非常に有益です。
その理由の一つが、先にもお話しした油膜の厚さによる保護性能の高さですが、基本的にみなさまが普段走るステージは市街地になると思います。その市街地とは渋滞も多く、ストップ＆ゴーが続き、季節を問わずエンジンが高温になりがちです。とくにスーパーチャージドエンジンを採用するH2シリーズはなかなか厳しいですが、これはH2シリーズだけではなく、どのモデルでも同じですね。そんな高温下でもしっかりとした保護性能が期待できるのが冴強と考えています。H2シリーズのオーナー様だと90％以上は使用していただいている印象ですね。
では冴速をお奨めしないのかというわけではありません。粘度が冴強より低いのでギヤチェンジのタッチが柔らかくなるといった個性がありますので、そのあたりの違いも説明させていただいたうえで、オーナー様に選んでいただいています」

エンジンを保護するために冴強・冴速のいずれかをお奨めし、さらにそのキャラクターの違いを説明して選んでもらう。それがカワサキプラザ川越のスタンスとのことだ。

使うことで実感できる“いいエンジンオイル”

最後に青山氏はこう総括する。

「こういったことは初回点検時からアナウンスさせていただいています。そこで思うのが、エンジンオイルは関心が高い消耗品の一つであり、無頓着な方でも無関心ではない、ということです。無頓着な方でも我々からアプローチすると『何でもいいんだけど、そういうのなら変えてみようかな』と冴強・冴速に交換していただけることが多いんです。そして一度交換するとグレードダウンするケースはまずありません。いいモノだと一度実感していただけると『じゃあ次もこれで』となりますので『何がいいのかは知らないけれど、いいモノなら使いたい』のだと実感します。“いいエンジンオイル”とは保護性能の向上が主軸となりますので、たとえば馬力が極端に向上したりするわけではありませんが、ギヤチェンジ時のタッチがよくなったり、ギヤ抜けしにくくなるといったことから『なるほど、これがいいエンジンオイルか』と納得していただけると思います。ですので、これまで関心がなかった方も一度ぜひ使用していただきたいですね。気に入ったカワサキ車に長く乗るうえでも、当店でもお勧めです」