ヨシムラ
デュアルパーパスに17インチホイールを装着するというスタイルを国内メーカーでいち早く取り入れたカワサキ。Dトラッカーシリーズは日本のモタード人気を牽引してきた重要な存在である。長かったその物語もついに最終章を迎えた。
ストリート・スプリンターの最終形態
軽量・スリムな車体に単気筒エンジンを搭載したデュアルパーパスに小径ロードタイヤを装着して市街地で使うという発想は、実は昔からあった。プレスライダーなど一部のベテランが実践していたのだ。しかしそれはかなり限られた世界。一般に広まったのはオンとオフ半々のコースで行なうレース、スーパーモタードからであろう。そのカテゴリーに向けた国産車の先駆けが1998年に登場したDトラッカーである。
当初はスーパーモタードの知名度が低かったこともあり、KLX250の派生モデル的な位置付けだった。しかしロードコースで見せる派手なスライド走法などによりモタードの注目度が高まった結果、Dトラッカーの人気も上昇する。高回転型エンジンとロードタイヤの組み合わせは、驚くほどキレのある走りを見せ、一気にファンを増やした。
2008年にフルモデルチェンジして車名もDトラッカーXとなった。内容はフューエルインジェクションなどによる環境性能の向上、デュアルヘッドライトやデジタルメーターなどの採用、外装デザインの一新、前後サスペンションの専用セッティングなど。進化した国産モタードは確実にユーザーを増やした。
ファイナルエディションは、“D”のロゴを大胆に取り入れた1999年モデルのグラフィックを現行モデル用に再構築している。ホイールリムもアルマイト仕上げにするなど、Dトラッカー伝説を継承するにふさわしい仕上がりになっている。
1998年モデル D-TRACKER
2016年モデル D-TRACKER Xのライディングポジション
2016年モデル D-TRACKER Xの主なスペック
車名(通称名) | D-TRACKER X Final Edition | |
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マーケットコード | KLX250VGS | |
型式 | JBK-LX250V | |
全長x全幅x全高 | 2,130mm×795mm×1,125mm | |
軸間距離 | 1,420mm | |
最低地上高 | 225mm | |
シート高 | 860mm | |
キャスター/トレール | 25°30’/ 73mm | |
エンジン種類/弁方式 | 水冷4ストローク 単気筒 / DOHC4バルブ | |
総排気量 | 249cm3 | |
内径x行程/圧縮比 | 72.0mm×61.2mm / 11.0:1 | |
最高出力 | 18kW(24PS)/9,000rpm | |
最大トルク | 21N・m(2.1kgf・m)/7,000rpm | |
始動方式 | セルフスターター | |
点火方式 | CDI | |
潤滑方式 | ウエットサンプ | |
エンジンオイル容量 | 1.3L | |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション | |
トランスミッション形式 | 常噛6段リターン | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
ギヤ・レシオ | 1速 | 3.000(30/10) |
2速 | 2.000(30/15) | |
3速 | 1.500(27/18) | |
4速 | 1.190(25/21) | |
5速 | 1.050(21/20) | |
6速 | 0.952(20/21) | |
一次減速比/ 二次減速比 | 2.800(84/30) / 2.785(39/14) | |
フレーム形式 | セミダブルクレードル | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック(倒立・インナーチューブ径 43mm) |
後 | スイングアーム(ユニ・トラック) | |
ホイールトラベル | 前 | 230mm |
後 | 205mm | |
タイヤサイズ | 前 | 110/70-17M/C 54S |
後 | 130/70-17M/C 62S | |
ホイールサイズ | 前 | 17M/C×MT3.00 |
後 | 17M/C×MT4.00 | |
ブレーキ形式 | 前 | シングルディスク300mm(外径) |
後 | シングルディスク240mm(外径) | |
ステアリングアングル (左/右) | 45°/ 45° | |
車両重量 | 138kg | |
燃料タンク容量 | 7.7L | |
乗車定員 | 2名 | |
燃料消費率(km/L) | 40.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時) | |
29.5㎞/L(WMTCモード値 クラス2-2、1名乗車時) | ||
最小回転半径 | 2.3m | |
カラー | ブルー21(BLU) | |
発売日 | 2016年5月15日 | |
メーカー希望小売価格 | 58万5,360円(税込み・当時) |
横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。