時計業界でとみに話題になりがちなロレックス。
とりわけ新作発表前夜ともなれば、予想や相場で業界内も時計ファンの間でも、ソワソワした雰囲気が流れます。
2020年は、様々な社会情勢が絡み合い、9月1日がXデー!すなわち、ロレックスの新作公開日です!
ロレックスが公式HPで発表した前宣伝のシークレット動画では、どうもサブマリーナがモデルチェンジになるのでは・・・そんな予測が立てられていましたが、見事的中(もっとも、リーク画像等が出回っていましたが・・・)!
サブマリーナデイト・ノンデイトともに新型への移行が判明しました。
こうなってくると、「あるモデル」がレアロレックスとして認定されそうです。
その「あるモデル」とは、新ギャランティ(新保証書)が付属した個体です!
この記事では、ロレックス サブマリーナの新作動向を解説するとともに、今後の稀少性や相場について考察いたします。
※掲載する情報は2020年9月現在のものとなります。
目次
ロレックス サブマリーナ 116610LN・116610LVが生産終了!?
サブマリーナは2010年発表・約10年製造された、ロレックスを代表するダイバーズウォッチです。
そこまでご長寿モデルというわけではありませんが、黒サブ・グリーンサブの2つのバリエーションがあること。加えて超人気どころであることから、比較的流通量が多く、安定した価値を誇ってきました。
スペックはこちら。
製造期間:2010年~
ケースサイズ:直径40mm×厚さ13mm
搭載ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
定価:黒943,800円/緑987,800円
「安定した」とは言え、そこは今をときめくスポーツロレックス。
近年の全体的な相場高騰の煽りを受けて2012年頃から右肩上がりに高騰(ただし2016年前半は円高市況を受けて値下がり)。
さらに2019年、数々のロレックス並行価格が「過去最高値」を記録する中で、負けじと相場を釣りあげていきました。
その勢いが顕著だったのは、グリーンサブこと116610LVです。
116610LVはロレックスのコーポレートカラーにあたるグリーンをベゼルと文字盤にまとったハイソな一本です。先代のRef.16610LVもまた、グリーンベゼルが採用されていました。「サブマリーナ50周年」にあたる2003年に、アニバーサリーとして発売されたのです。
しかしながら116610LVで以て「グリーンサブは完成された」という声は少なくありません。
文字盤もグリーンでフレッシュになったこと。さらにはセラクロムがベゼル素材に採用され、独特の高級感を放つに至ったためです。
そんなサブマリーナ勢ですが、2020年に入り、さらに価格を高騰させます。2019年の「過去最高値」を、凌駕する勢いで。
その理由が、にわかに流れた「生産終了説」です。
ロレックスは数多くのロングセラーを抱えています。デザインコードは基本的に初代意匠を受け継いでいますが、要所ようしょをブラッシュアップしつつ、進化していることが特徴的なブランドでもあります。
この進化の過程で型番も変更していくのですが(マイナーチェンジに留まる場合もあり)、モデルチェンジ後にいわゆる「生産終了」「廃盤」となったモデルの相場が上がるという、ロレックスならではの現象が時計業界ではまことしやかに囁かれています。
もちろん必ず上がるというわけではありませんが、この現象の噂が噂を呼び、新作発表前夜に「生産終了モデルへの考察」および「生産終了すると思しきモデルへの買い集中」が起こっていることは事実。
現在は、サブマリーナ 116610LV、次いで116610LNで如実に確認されているのです。
もともと、現行発売から10年が経過する2020年は「サブマリーナの廃盤が怪しい」と言われていました。
なぜならサブマリーナはこれまで10年スパンでモデルチェンジが行われることが多かったためです。
また、近年ロレックスは32系の新世代ムーブメントの移行に力を入れているのですが、まだ3針デイトにはメスが入れられていませんでした。
その先鋒を切るのが、サブマリーナ 116610系なのではないか、と・・・!
さらに言葉を重ねると、新作発表の6日前にあたる8月26日、恒例のシークレット動画が流されました。それが、こちらです。
出典:https://www.instagram.com/rolex/
ロレックスは例年、新作発表前夜にシークレット動画で発表モデルの一部を前宣伝します。もちろん秘密主義は徹底されており、その全ては公開されません。
でも、この動画、ほぼ100でサブマリーナですよね・・・?意表をついてシードゥエラーやディープシーの可能性もありますが、前者は2017年、後者は2018年と直近でモデルチェンジしているので、考えづらいでしょう。
なお、既にご存知の諸氏も多いでしょうが、7月1日にロレックスの弟分にあたるチューダーが先んじて新作発表を行いました。そのモデルは、ブラックベイ58の鮮やかなブルーモデルです。
出典:https://www.tudorwatch.com/ja
チューダーは現在、ロレックスとは異なる路線を突き進んでいます。とは言えロレックスとの関係は今なお密接。
2018年には同時に赤青ベゼルのGMTモデルをリリースした経緯もあります。
そのため、チューダーと足並みを揃えてロレックスもサブマリーナの新作を発表する可能性が、きわめて高いと考察できますね。
【2020年9月1日追記】速報!ロレックス 新作サブマリーナを発表!
出典:https://www.rolex.com/ja
問題のXデー。やはりサブマリーナが登場しています!
リファレンスは126610LVおよび126610LN。ぱっと見は変更点はあまりないように思われますが、なんとケース直径が41mmへとアップサイジングされました!
サブマリーナは、1950年代から40mmサイズを堅持しています。また、スポーツロレックス自体も40mmが多いですね。そこを1mmアップした意図はわかりませんが、新旧で決定的な違いが出たことに変わりはありません。
ちなみにラグがシュッとスリムになり、フォルムは優美に。サイズは大きくなったのにどこか5桁ヴィンテージ時代のサブマリーナを想起させる新作です。
出典:https://www.rolex.com/ja
グリーンサブの文字盤仕様が16610LVに回帰し、黒になったことも見逃せませんね。116610LVは「ハルク」というアメコミのヒーローの名で呼ばれていましたが、カーミット(セサミストリートのキャラクター)に再び戻ったことを意味します。
なお、新型ムーブメントCal.3235への移行も完遂しました。
今後、116610がいつ生産終了になるかはわかりません。
もちろんいずれは廃盤になるのでしょうが、今のところロレックスからアナウンスはありません。
もっとも、併売されるかもしれませんが、それは長期間ではないでしょう。
つまり、116610LV・116610LNの供給は、いずれストップすることを意味します。
新作サブマリーナ ノンデイト 124060の存在も見逃せない
もっとも、ノンデイト サブマリーナの114060もモデルチェンジとなりました。
むしろ、今回の2020年新作では、ロレックスが事前に公開していたティザー広告含めてノンデイトサブマリーナ 124060の方にフォーカスされていたと言っていいかもしれません。
なぜなら直径41mmケースになったことに加えて、3針ノンデイト初となる新世代ムーブメントCal.3230が搭載されることとなったためです。
デイト同様に、まだ生産終了かどうかはわかりません。とは言え併売されるとしても、そう長い期間ではないことは間違いないでしょう。
また、まだ実機を見ていないのでわかりませんが、サブマリーナが結構大きな変化を遂げるたことも気になるところ。
と言うのも、前述したディープシーや昨年発表のヨットマスターのように外装面が大きく変わらなければ、新旧で相場の開きは小さくなる傾向にあります(発表当初は話題性もあり、ご祝儀価格が続くでしょうが)。
一方で今回の新作はサイズ・そしてグリーンサブに至っては文字盤カラーが変わっています。
そのため新旧ともに需要が高まる可能性が大きいことを、否定できません。
レアロレックス確定か。新ギャラ付属のサブマリーナ 116610LN・116610LV
前項で「新型・旧型の相場」に言及しました。これは、まだ新作が流通していない現時点では何とも言えません(発表後、時間をおかずして販売開始とのことでしたが)。
ただし、確実に旧型(まだ本稿執筆時点では現行ですが)でレアロレックスの仲間入りを果たし、相場を上昇させるであろう個体が挙げられます。
それは、「新ギャランティ(保証書)」が付属した個体です。
ロレックスは2020年に入り、保証書の仕様を変更しました。
ロレックスの保証書は、時代によって変遷を辿っています。
古くは紙ギャラが、現行で最も多いのはプラスティック製カードのギャランティでしょう。とりわけカードギャラは人気が高く、デイトナ 116520などは新旧で相場が異なる場合があります。
ただし、2020年の仕様変更で話は変わってきました。
2020年に入り、海外ユーザーからちらほらと新ギャラの話がSNS上で流れ始め、5月あたりから国内入荷が始まると一気に注目度アップ。
さらに7月からは国内正規店で販売個体への新ギャラ付属がスタートし、じょじょに市場に流通するようになってきました。
この「じょじょに」というところがミソ。
新ギャラは、必ずしも万人に受け入れられているわけではありません。
確かにスタイリッシュですし、電子管理になったことで面倒な保証書請求ハガキなども書かなくてよくなりました。購入時に、すぐに発行されるようです。
しかしながら従来あった「購入者」(および国番号や販売店欄)の記載欄がなくなり、「リファレンス」「シリアル」「購入日(こちらでは販売店のスタンプが押印されているようです)」のみ。なんだか正規店で買う旨味が少なくなった・・・そんな声も聞かれました。
でも、まだ流通量が従来型と比べて圧倒的に少なく、新ギャラ付属個体はきわめて稀少です。その稀少性ゆえに、デイトナなどは通常個体よりも10万円ほども高い相場を形成しています。
この稀少性は、新ギャラ個体が出回るにつれて落ち着いてくるでしょう。もちろん多少の相場の多寡はあるかもしれませんが、現在の相場の開きが続くとは考えづらいです。
※画像は従来型のプラカードギャラ
ただし、生産終了個体を除いて、です。
なぜなら、生産終了した個体の新ギャラ期間は、一年にも満たない短さ(ロレックスは秘密主義なので、正確な新ギャラ投入月日はわかりません)!国内正規品に至っては、もし存在していればわずか1~2か月と言うことになります。
繰り返しになりますが、いつサブマリーナ 116610LV・116610LN・114060が生産終了になるかはまだわかりません。ただし、既にまたはそう遠くない未来であることが予測できます。
であれば・・・新ギャラ付きが、レアロレックスとして語り継がれることでしょう。
次項では、そんなサブマリーナの現在の相場動向について解説いたします。
ロレックス サブマリーナ 116610LNおよび116610LV 価格動向調査2020
サブマリーナの現在の新品並行相場がこちらです。
①サブマリーナ 116610LN
2019年9月の新品並行相場:120万円台~
2020年9月の新品並行相場:150万円台~
①サブマリーナ 116610LV
2019年9月の新品並行相場:160万円前後~
2020年9月の新品並行相場:230万円台~
前述の通り、黒サブの定価は943,800円、グリーンサブは987,800円です。
ロレックス新作発表後、確実にどちらも相場を上げており、116610LNの現在の新品並行相場は160万円前後。中古であっても、130万円台後半~160万円近くが当たり前と言ったような相場感となってきました。
しかしながら特筆すべきは、やはりグリーンサブ 116610LVでしょう。
もともと新作発表前夜から、200万円に手が届こうという新品並行相場で、中古であっても状態が良ければ遜色のない勢いを誇っていました。
そして現在、新品並行相場は220万円超え・・・「急騰」と言っていいでしょう。
なお、併せてノンデイト 114060の新品並行相場もご紹介いたします。
①サブマリーナ ノンデイト 114060
2019年9月の新品並行相場:100万円台~
2020年9月の新品並行相場:130万円台~
114060の定価は832,700円です。
「まだ安く買えるロレックス」であった時代は過ぎ去り、2019年頃から100万円超えが当たり前に。
さらに2020年5月以降、ロレックスの減産(新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言やロックダウン下で、多くの時計メーカーが工場を休業せざるを得ず、あるアナリストの見解ではロレックスは年間製造時間の12%以上を失っているとのこと)が影響して、一気に相場上昇。
現在は新品・中古ともに116610LNに肉薄する勢いです。
そう、最近のロレックス相場上昇は、こちらの「減産」の影響が少なくありません。
品薄は加速し、依然として「モノ」がありません。
そんな中で、サブマリーナが新作発表・生産発表・・・?
相場が跳ね上がる可能性大です(もう跳ね上がっている、と言われればそれまでですが)。
繰り返しになりますが、新旧に違いがない場合はこの限りではありません。
しかしながら一つ言えること。それは、今サブマリーナを所有されている方は、大きな売り時を迎えている、ということです。
現在、116610系にしろ114060にしろ、誕生以来の最高値を更新しています。
これに伴い買取相場は飛躍的に上がっており、当店GINZA RASINでも黒サブマリーナ 116610LNは未使用品1,330,000円、中古品1,270,000円。
グリーンサブマリーナ 116610LVは未使用品1,850,000円、中古品1,800,000円。
ノンデイト サブマリーナ 114060は未使用品1,140,000円、中古品1,080,000円。
※キャンペーン価格/条件あり。記事執筆時点での価格です。現在非常に変動が激しいため、詳細はお問合せください。
随時変動しているとは言え、かなり高額買取だと、自負しております。
例えば、もし2015年頃に116610LVを90万円でご購入された方がいらっしゃったら、倍近くの利益を手にする可能性があります。
もちろんお買取りは時計のコンディションや付属品の有無によっても異なってきます。でも、かつてないほど売り時を謳歌できることは事実。
このビッグウェーブを見逃すな!!!
まとめ
ロレックスの新作発表。
ついに生産終了かと名高いサブマリーナ 116610LN・116610LV、およびノンデイト 114060についてと、新ギャラ付属個体について解説いたしました。
なお、ロレックスの中にはまだ生産終了説が濃厚なモデルはあります。
例えばエクスプローラーIIがそれです。また、サブマリーナ デイトが新作発表され、当然コンビの116613LBや116613LN,あるいは無垢モデルの相場動向も気になるところ。
次の発表時期は2021年1月とも言われています。
また続報が入り次第、当サイトでお伝えいたします!
文:鶴岡
■ロレックス サブマリーナ ノンデイト 114060の相場動向【2020】
■急騰!ロレックス サブマリーナ 116613LN・116613LBの最新相場
■2020年、生産終了しそうなロレックスを時計買取店のスタッフが大胆予想!
この記事を監修してくれた時計博士
池田 裕之(いけだ ひろゆき)
- (一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
- 高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
1982年生まれ・熊本県出身。
20代でブランド販売店に勤務していく中で、高級時計に惹かれ、その奥深さや魅力を知っていく。29歳で腕時計専門店へ転職を決意し、GINZA RASINに入社。
豊富な時計への知識を活かして販売・買取・仕入れに携わり、2018年8月にはロレックス専門店オープン時、店長へ就任した。販売・買取ともにリピーターが多い。時計業界歴17年。