『デフ・ヴォイス〜法廷の手話通訳士』(文春文庫)で話題をさらった丸山正樹氏、初めての児童書『水まきジイサンと図書館の王女さま』に続く第2弾。コーダである手話通訳士の再婚相手の子ども、美和が主人公。美和の仲良しの英知は、前作最後で引っ越し、転校してしまった。場面緘黙症の英知とは手話で会話をしていた美和は、転校後は手紙でやりとりを始める。美和には妹ができ、ほんとうのお父さんではないアラチャンをなんと呼べばいいか考えているうちに、いろいろと悩み始める。一方いつもいく床屋さんで止まったままの大きな掛け時計が気になり、英知との手紙のやりとりのなか、全てが微妙にからみあっていく。手話でのコミュニケーションの重要性への理解も深まり、子どもたちに向けて知ってほしいテーマがさりげなく盛り込まれた作品。巻末に手話の説明付き。
<目次>
1 大ニュース
2 床屋さんの壁(かべ)かけ時計
3 役に立たなくなってもたいせつなものって?
4 「本当のお父さん」
5 妹ができた!
6 うちには鬼は来ない?
7 鬼の正体
8 その手話は「さよなら」じゃなくて
受賞歴: