森でたった一人暮らすハリネズミ。ある春に、物知りのモグラとともだちになりました。目がよく見えなくて土の中に暮らすモグラと、土の上に住んでいるハリネズミでは、見えるものも、好きなものも違います。心配症でおせっかいのハリネズミはつい、モグラの家は暗すぎるんじゃないか、とか、きれいな花を見せてあげたい、とか思ってしまうのですが、モグラにはモグラの世界があることに少しずつ気づいていきます。そして、二人にはもっと大きな違いがありました。命の長さです。いつかやってくるお別れにも、ハリネズミのためにモグラはちゃんと準備をしていたのでした。
二人のやりとりがあたたかなユーモアとともに描かれた短いお話8つ収録。
<目次>
ともだちになった日 5
土のなかには音がいっぱい 17
星の川 27
雨の日のとくべつ 33
冬ごもりのやくそく 43
土のなかにはにおいもいっぱい 55
ごはんをたべたくない日 65
わすれない青い空 75
今、殺伐とした世の中で、人と人との関わりの薄さに心が乾いていく思いがしています。『いつまでもともだち』は、そうした今、生きとし生きるものの持つ原点を気づかせてくれる大切なものがちりばめられていて、ハッとしたり、ふわーとあたたかい気持ちになるものでした。生きて後に「死」を迎えることも、素直に優しく、また何とも哀しい涙する受け止めで、心に残ります。子ども達はもちろん、大人の、そして高齢の方々にも読んでいただきたい一冊です。(70代)