ISDN終了を契機に京都生活協同組合にて金融機関との口座振替データ授受にJSOL EDIサービスを利用開始。連合会の会員生協も共同利用を順次開始
金融機関との口座振替データ授受を全銀手順(レガシー手順)で行ってきた京都生活協同組合は、ISDNのサービス終了に向けて準備を進めていた。しかしサービス終了後のデータ授受方法についての金融機関からの回答が不明瞭なため、方針を決めかねていた。そこで、2府3県7生協の連合会であるコープきんき事業連合と打開策を検討。コープきんき事業連合では、7つの生協すべてにメリットが得られることを条件とした提案を募った。結果、JSOLの提案した EDIサービスが、 ISDNサービス廃止後もこれまで通りの業務が維持可能なだけでなく、連合会の会員生協が共同利用することで、運用やコストの面でもメリットが得られる事から選定された。
課題・解決・効果
課題
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ISDNのサービス終了により、金融機関への口座振替データ授受の支障が発生
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金融機関にデータを自動で一括送信する仕組みは維持したい
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全銀手順に対応したセキュアなシステムの構築が必須
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専用回線などのコストを抑えたい
解決
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JSOL EDIサービスを導入
導入効果
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JSOL EDIサービスにより、自動での一括送信の維持が可能に。従前の使い勝手はそのままでISDNサービス終了に対応
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金融機関向け閉域ネットワーク「AnserDATAPORT®」により、セキュアな接続が可能に
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JSOL EDIサービスの経路をコープきんきに集約することで、コストメリットが実現
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将来的にJSOL EDIサービスを利用する生協が増加することも視野に入れた仕組み構築
ISDNサービス終了が、金融機関との口座振替データ授受業務に大きな変更を迫る
組合員にとって「頼もしき隣人たらん」という理念を掲げ、古都京都における宅配事業をはじめ、店舗事業、福祉事業、葬祭事業、共済事業などで組合員の生活を支えてきた京都生活協同組合(以下、京都生協)。システム担当の空本武志氏は「宅配事業などを通して、組合員の皆さんの意見を直接伺い、商品やサービスに反映させていく点を強みとしています」と説明する。
京都生協では組合員からの注文を受けて宅配し、月に一度、金融機関から料金を引き落とすために、30を超える金融機関に対して、毎月約20万件の口座振替データの授受(以下、データ授受)を行ってきた。
ところが、このデータ授受業務に「大きな変更を迫られた」という。金融機関とのデータ伝送に使っていたISDN(INSネット ディジタル通信モード)のサービスが2024年に終了することになったためである。
JSOL EDIサービスは長年使い続けてきた便利機能も使い勝手も維持したままISDN終了に対応可能
「ISDNのサービスが終了すれば、従来の方法が使えなくなります。そこで2020年ごろから情報を収集したり、金融機関に確認を取ったりしていました。しかしはっきりしないことが多く困惑していた状況でした」(空本氏)
以前は、主にISDNを使って約30の金融機関に接続し、全銀手順(レガシー手順)でデータを伝送していた。回線スピードが遅く、伝送には半日程度を要したが、自動で順番に伝送していく仕組みがあったため作業負担はそれほど重くはなかった。
だが金融機関などに聞いて回ったところ、ISDN終了後は「金融機関ごとに1台パソコンを用意し専用アプリケーションを使って接続し、一つひとつ手動で操作して処理する」ことが必要になるため、業務が煩雑になることが想定された。
「今までは、1回の操作で全金融機関に対する一斉送信が実行できました。しかし金融機関ごとに違うパソコン、違う方法となれば自動での一括送信ができなくなり、作業負担が大幅に高まります。また従来のレガシー手順も使えなくなり、データ形式も作り直さなくてはいけません。
それに金融機関ごとに1台パソコンを用意するとなると、30台以上必要となります。置き場所の確保が難しいだけでなく、まったく現実的ではないと苦慮していました」(空本氏)
データ授受業務を担当している経理財務リーダーの西田雅俊氏は、「一つひとつの金融機関に対して手動で操作してデータ授受を実行するとなれば、人為的な操作ミスも起こりやすくなります。データ授受は間違いがあってはいけない業務ですので、自動で一括送信できる方法がないかと探していたところに、JSOL EDIサービスを紹介されたのです」と述べる。
京都生協にJSOL EDIサービスを紹介したのは、生活協同組合連合会コープきんき事業連合(以下、コープきんき)だった。コープきんきは、近畿2府3県にある京都生協を含めた7つの生協が集まった連合会である。コープきんきは7つの生協すべてが直面する課題と認識し、課題解決できる力を有したシステムベンダーのセレクトを担う事となった。
セキュリティーレベルを維持するネットワークサービスを組み合わせたJSOLの提案
JSOLの提案は、「JSOL EDIサービス」と「AnserDATAPORT」を組み合わせたものだった。JSOL のEDIサービスは、JCA手順や全銀手順などの従来型EDI手順からインターネットEDIまでさまざまな通信手順に対応している。さらにJSOLが持つ35年以上のEDIの実績を生かした運用やコンサルティングのサービスを提供するというものだ。AnserDATAPORTは、株式会社NTTデータが金融機関向けに提供するセキュアな閉域ネットワークで、給与などの口座振込や振替などに用いられる。
各金融機関とはJSOL EDIサービスに含まれるAnserDATAPORT接続サービスを利用し、セキュアな環境下でデータ伝送を実現する。JSOL とコープきんきの間に閉域ネットワークを新規に敷設してEDIサービスを動かすという方式を、JSOLは提案したのである。コープきんきと各生協の間にはすでに閉域ネットワークが構築されていたので、各生協はそのネットワークを使い、コープきんきを経由してJSOL EDIサービスを共同利用する形になる。
この提案を「複数の生協で共同利用するのに向いていた」と評価するのは、コープきんきの情報システム部 システム開発グループ マネジャーの村山美紀氏である。
「JSOL EDIサービスはレガシー手順がそのまま利用できるので、操作方法を変えることなく、全ての金融機関に対して自動で一括送信できます。また、EDIを利用するためのネットワークをコープきんきに集約することで、各生協が個別にネットワークを構築してサービスを利用するよりコストを抑えられます」(村山氏)
ただし、JSOL EDIサービスの採用を決断するには、ひとつの懸念があった。それは、接続相手である金融機関がどれだけAnserDATAPORTを利用する予定かという点だ。
そこでJSOLは、ISDN終了に向けた金融業界の動向やトレンドなどを調査、分析した。その結果を見たコープきんきでは「AnserDATAPORTを利用する金融機関は多い。JSOLの提案で行ける」と判断し、早速7つの生協に対して説明を行った。
「JSOLは生協ごとの金融機関数と、データ量を踏まえたコストのシミュレーションをまとめてくれました。提案資料からは、『各生協が自分たちのメリットを理解しやすいように』という配慮が伝わってきました」(村山氏)
この提案に対し、京都生協を含む3つの生協が賛同し、2022年春に「まずは3生協で始めよう」と決まった。最初に着手した京都生協では、各金融機関に対してアンケートを実施し、ISDNサービス終了後の対応状況、契約内容の確認や調整を行った上で、EDIのテストの申請およびテスト日程の調整などを行った。JSOLは、金融機関と連絡を取りながら接続テストを実施し、確認していった。
「多くの金融機関ではスムーズにテストが終了しましたが、金融機関の独自仕様などで、伝送に失敗し原因究明に苦労したケースもありました。京都生協にネットワークの専門家、技術者がいるわけではないので、ネットワークは私たちの弱い部分といえます。そこをJSOLにアウトソーシングしているので、トラブルが発生しても原因の切り分けや究明、関係各所への連絡をJSOLがやってくれたのは安心でした」(空本氏)
半日かかっていた伝送が1時間に短縮
2023年4月、京都生協がJSOL EDIサービスの利用を開始した。すぐに感じたのは伝送時間の短さだった。半日程度を要していた伝送時間が、刷新後は1時間程度で完了するようになった。
「伝送後の確認が管理画面ですぐに見られるようになったことで、業務効率は大きく向上しています。以前は、長い伝送時間の途中で1行ずつログを見ていたのですが、今は気がついたら送信が完了しているので、全て終了ということを確認するだけです」(西田氏) 伝送に関連する業務も負担が軽減された。以前は、作業の後に金融機関に対して件数や金額をFAXで送信していたが、今ではEDIのデータと一緒に照合データを送る形に変更している。
他の生協も順次参加
将来の仕様変更に向けたJSOLの提案にも一定の評価をしている。
「2024年6月にシステム統合が予定されています。本来であれば、新システムに合わせるため、生協側で各金融機関との再契約が必要になるところでしたが、JSOL側の改修提案により、生協側の対応は不要となりました」(村山氏)
2023年夏時点では、京都生協に続く2生協もJSOL EDIサービスの本格稼働に向けて準備を進めている。その際、「京都生協で蓄積されたノウハウが役立つ」と村山氏は語った。
「組合員数、金融機関数ともに一番多いのが京都生協です。京都生協とEDIでつながった実績のある金融機関なら、確実に、効率よく導入が進められます。さらに、ほかの生協も希望すれば、すでに仕組みができあがっているので、負担が少なく参加できるでしょう。共同利用する生協が増えれば、運用やコストのメリットも大きくなるはずです」(村山氏)
企業情報
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会社名
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京都生活協同組合
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本部
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京都市南区吉祥院石原上川原町1-2
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設立
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1964年11月27日
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事業内容
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宅配事業、店舗事業、福祉事業、共済事業、葬祭事業など
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WEBサイト
(2023年10月現在)
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