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同社の表彰理由は以下の通り
都市部からのアクセスが良い立地で、「安全・清潔・イキイキした生活」をコンセプトに、創業者が自分の親を預けたくなる介護施設を目指して設立された。入居のハードルを下げ、年金の範囲内で無理なく支払い続けることができる低価格で、グループ企業であるスーパーホテルの建築設計ノウハウ、賃借ノウハウ、接客ノウハウや社会福祉法人聖綾福祉会(1996年設立)での介護ノウハウの蓄積を生かした高品質なサービス付高齢者住宅を2000年から京阪神エリアに限定して49施設展開している(2018年11月現在)。顧客を「ADL(日常生活動作)が低下したため家庭での介護困難な群」「認知症の進行により家庭での介護困難な群」「医療が必要であるが入院を断られて家庭での介護困難な群」と明確に定義している。
経営幹部の行動の原理原則を「徹底した現場従業員との話し込み」と考えており、現場従業員が月1回以上の経営幹部や上司との面談を行い、会社方針への共感度を向上させる取り組みが実施されている。ただし、同調圧力が高まらないように、施設長に対しては、上司からのパワハラ監視に加えて、対策として全施設長に傾聴研修がなされている。
自律型感動人間を育成するために、個人には10項目からなる目標をチャレンジシートで展開し、現場の介護力を測る指標として社員意識調査で「自律型感動人間度」を確認している。社員同士で仲間への感謝の気持ちを伝えるサンクスバッジ、月刊誌『致知』を朗読する社内木鶏会、5S活動、ワークアウト、委員会活動、役員がすべてに目を通してポイントと実権を与えるフジキャタ提案(富士山の頂上に脚立をのせたら日本一高いところに立てる=元あるものに少しのアイディアを加えることで素晴らしいものが生まれる)などの活動を展開している。ケアマイスターについては、取得率が80%以上に達したために、2018年度より、量から質に、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、マイスターのグレードごとにポイントを付与したケアマイスター・ポイントに変更した。また育休・産休面談ツールを作成し、施設長を対象にした育休・産休研修を実施し、休暇中の社員にも社内報を配信し、職場復帰しやすい環境を提供し、大阪労働局から「えるぼし」企業に認定されている。※えるぼし認定=女性活躍推進企業を認定する制度
こうして80%以上の従業員満足を目標とし、改善を図った結果、目標を超える85%に達している。49施設の中にはSC神戸北のように、既存の介護付有料老人ホーム(有限会社ライフの「ハーモニアス谷上」)の施設と職員(元オーナーの施設長を含む)を引き継いだところもあるが、3ヵ月でESが17%から85%まで跳ね上がった。
離職率は16.8%と全国平均17.2%よりも低い。しかし、施設長が育成途中の3施設の離職率は顕著に高く(この3施設を除くと14.3%)、施設長が鍵になっていることがわかる。このことからも施設長育成には力を入れており、施設長の運営力の標準化と能力向上のために、6段階のグレードの施設長ライセンス制度を導入している。経営理念、介護福祉の知識、施設運営能力等を筆記試験で確認し、施設運営のプロセス・実績と合わせて総合的に評価している。さらに2017年度からは、エリア・マネージャー・ライセンス制度も導入した。その結果、顧客満足度も年々向上して80%を超え、ミステリーショッパーズの調査結果でも、過去3年間はスーパーホテルや同業他社(賃金同水準)を上回っている。その結果、施設稼働率も目標を上回る状態を3年連続でクリアしており、2018年9月には95.8%に達している。その結果としてROI12% (業界平均は1.76%)の高い財務的結果を出している。
グローバル人材の採用に関しては、ブローカーや組合を通さず、9年前に採用したフィリピン人男性正社員が、フィリピンに直接赴き、自社の人材基準への適合を見極め、面接・採用している。(ミャンマーにはスーパーホテルが出ているので、人材を見極める機会もある。) ビザの手配や住環境、さらに全額会社負担で、日本語研修を外部研修機関と提携して、特に介護業界で使う言葉の読み書きの研修を実施している。入社後3週間は応対・接遇・安全・衛生管理・報告書作成等の研修を行うが、さらに全グローバル人材を対象に介護技術向上のための「イキイキ介護スクール」を中心に育成・教育している。グローバル人材向けのケアマイスター試験を実施し、現在まで、シルバー3名、ブロンズ4名のクラス認証が出ている。留学生受け入れから3年を経過し、現在155人の留学生がおり、3~5年で正社員になることを目指している。将来は1,000人規模のグローバル人材を目指しているが、人材不足は介護業界全体の問題なので、こうして育成した人材を他社に派遣することも考えている。またグローバル人材(フィリピン人女性)が、恩返ししたいと西成区で月に1度おにぎりを配り始めた個人活動が、今は会社ぐるみの社会貢献活動に発展している。
民間企業が取り組むことの利点は、介護保険なしでも、フィットネス・ジムや天然温泉(大阪で週2回)といったサービス開発をし、横展開できる速さである。最近では、ある施設でグローバル社員(フィリピン人女性)が提案して新レクリエーション「英会話」を始めると、認知症対策として良いとして、すぐにグローバル社員が配置されている他施設にも横展開した。また、入社3年目の社員が、施設のイベントで作った「猪名寺音頭」が良い取り組みだということで、すぐに「スーパー・コート音頭」として水平展開している。
ずっと面倒を見てくれる安心感を大事にしているので、10年先を見越して、「重度認知症群」「重度医療・ALS群」への対応も始めている。認知症ケア専門士を2020年度には70%以上の施設に各1人以上配置することを目標として取り組んでいる。また、重度医療については2012年7月よりSC東住吉2号館、2018年7月より京・西京極で対応を開始し、ALSについては2018年6月よりSC高石羽衣で受け入れを開始している。
業種 | 医療・介護、有料老人ホーム/高齢者住宅の運営・管理 |
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設立 | 1995年 |
代表者 | 山本 健策 |
所在地 | 大阪府大阪市 |
売上高 | 138億円(2017 年度) |
従業員 | 1,362名 |
株式会社スーパー・コートの使命は、自律型感動人間(自ら考え行動し、その行動に責任を持つ。そして、お客様や仲間への感謝の気持ちを感動に変えていく)の育成を通じて、地域の方々にスーパー・コートがあるから老後が安心だと思ってもらえるようになることです。その為、今後私たちに求められるのは、施設が核となってこその包括的なケアを実現することです。
・多様化する高齢者のニーズに応えることができる質の高いサービスの提供
・機能訓練、看取り、重度医療、認知症への対応能力の向上
など、スーパー・コートだからこそ可能であるケアを行い、当社の独自能力としていきます。
また、社内及び経営理念に共感いただけるビジネスパートナーとの円滑なコミュニケーションを推進するために、ITシステムの活用を強化し、情報共有と伝達スピードの向上を図ります。個人情報に配慮したうえで、介護は医療・薬局の情報を、医療・薬局は介護の情報を相互に参照でき、さらにご家庭でも情報を見ることができるようにします。このことを通じて、質の高いサービスを、地域の事業所と密な連携を図りつつ提供し「関西エリアを中心にITを活用した介護・医療サービスを、トータルで、かつ高い品質で提供する」スーパー・コートならではの独自サービスが確立され「スーパー・コートがあるから老後が安心」という確たるブランドを10年後には作り上げていくことが出来ると考えています。
2000年のスーパー・コートの立ち上げから2003年(施設数4)までは、介護現場におけるマネジメントは施設長個人の力量に任せていました。その結果施設による介護に関する力量や理念浸透にバラつきが大きく、またホスピタリティも低い状態にありましたので、経営理念である「安全・清潔・イキイキした生活」を実現するために2005年より経営品質プログラムを導入しました。導入時に社員全員に対する基礎勉強会を2ヶ月に1回行ったところ、社員が経営理念の重要性に気づき、当初は本社で使用していたものをそのまま現場に持ち込んでいた経営指針書を、介護現場の具体的な事例に則して全面改訂し、2012年にスーパー・コート独自の経営指針書(Faith)を策定しました。その後、経営品質会議において定期的に改訂して、最新版は2016年9月に策定し、独自性のあるものとなっています。これらを用いた経営幹部や上司による話し込みを通じ、自律型感動人間の集まりを創造していく企業文化・風土の醸成を促進させています。
また、10年後のあるべき姿を定めた中長期経営ビジョンを2013年に経営品質会議で策定し、毎年ローリングを行い「第二の我が家」⇒「我が家」⇒「我が家以上」を目指すという考えに至りました。「我が家以上」とは、自宅では得られない心からのおもてなし、癒しの天然温泉、美味しい食事、イキイキとした機能訓練、認知症になっても安心など、スーパー・コートならではのサービスが受けられることです。
経営品質活動を通して「我が家以上」のサービスが提供できるよう、今後も努力してまいります。
お問い合わせ
所在地 | 〒550-0005 大阪府大阪市西区西本町 株式会社 スーパー・コート 介護事業本部 |
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連絡先 |
TEL:06-6543-9043 EMAIL:yasuno@supercourt.co.jp |
担当 | 安野 |