サイバーセキュリティ対策活動への協力者に感謝状贈呈
2020年9月、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)は、サイバーセキュリティ対策活動に特に顕著なご貢献をいただいた方に感謝の意を表して記念の盾とともに感謝状を贈呈しました。
2019年度は、国内の多くの組織でマルウェア Emotetの感染被害が明らかになりました。また、複数のSSL VPNの脆弱性を狙った攻撃が長期間にわたって行われ、脆弱性を放置したままの組織では、ネットワーク侵害を受けました。さらには、フィッシングサイト確認件数も日を追うごとに増加するなど、広範囲でセキュリティインシデントが発生した年でした。
JPCERT/CCは、こうした国内のサイバー攻撃の被害を低減するために、インシデントへの対応支援活動、インシデントを未然に防ぐための早期警戒活動、マルウェア分析、ソフトウェア製品等の脆弱性に関する調整活動を行っています。これらの活動を円滑かつ効果的に進めるためには、皆様からの情報提供やさまざまなご協力が欠かせません。
JPCERT/CCでは、サイバーセキュリティ対策活動に対する皆様からのご厚意とお力添えに深く思いをいたし、第7回目となる2020年度は次の方に感謝状と記念の盾を贈呈いたしました。
NTTセキュアプラットフォーム研究所 秋山 満昭 様 |
NTTセキュアプラットフォーム研究所の秋山 満昭氏は、サイバーセキュリティに関わる学術研究分野において、研究倫理に関するワークショップの委員や「日本学術振興会(JSPS)サイバーセキュリティ 第192委員会 サイバーセキュリティの研究倫理を考えるWG」の事務局を務められるなど、研究倫理に基づく公開プロセスの普及啓発において先導的な活動を行ってこられました。特に、研究過程で発見した脆弱性などのセキュリティ上の問題点について利害関係者と事前に調整し、必要な手続きを経てから情報を公開する、Responsible disclosureを数多く実践されています。 JPCERT/CCの脆弱性コーディネーション活動においても、ご自身の研究の論文公開に先立って、発見した脆弱性をご報告いただき、関係者とのスムーズな調整やアドバイザリ記事の作成などに多大なるご協力をいただきました。また、JPCERT/CC主催の開発者ミーティングにおいて、Responsible disclosureの重要性、とりわけ脆弱性の発見者と開発者の協力関係の重要性について講演をいただく等、JPCERT/CCの啓発活動にもご協力いただいています。 |
理化学研究所 市原 卓 様 |
株式会社インターネットイニシアティブ 九州支社 今井 健 様 |
2019年度にJPCERT/CCに報告されたインシデント数は20,147件となり、近年で最も多くの報告が寄せられた年となりました。 要因としては複数ありますが、そのひとつに日常的にインシデントの報告をくださる協力者・組織の増加が挙げられます。 JPCERT/CCではこうした多くの方のご協力が、インターネット上のインシデントの早期収束につながると考えています。 理化学研究所の市原 卓氏、株式会社インターネットイニシアティブの今井 健氏、ヤフー株式会社の大角 祐介氏、伊藤忠商事株式会社 IT企画部 ITCCERT様は、昨年度、それぞれ数百件もの高度かつ詳細な情報を届け出いただき、JPCERT/CCのインシデントコーディネーションに大きく貢献いただきました。 前述のトップインシデントレポーターの方々は、ご自身の調査活動などで発見したフィッシングサイトやWebサイト改ざんなど、自組織に直接関わりのない国内に影響を及ぼす可能性のあるインシデントについてもご報告をいただきました。 また、SNSを通じて積極的にインシデント情報を収集、公開するなど、さまざまな場所でインシデントの早期発見、収束につながる活動をされています。 今回は、特にインシデントコーディネーションに大きく貢献いただいた4組織に感謝状を贈呈させていただきましたが、その他にも多くの報告者の方々に日々ご協力いただいております。JPCERT/CCに報告をくださったすべての方々に、この場を借りて感謝申し上げます。 引き続きJPCERT/CCの活動にご協力いただければと存じます。 |
ヤフー株式会社 大角 祐介 様 |
伊藤忠商事株式会社 IT企画部 ITCCERTの皆様 |
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JPCERT/CCからの感謝状の贈呈について:
国内においてサイバーセキュリティインシデントの被害の低減に大きく貢献した方に感謝の意を表することを目的に「JPCERT/CC感謝状制度」を2014年4月に制定いたしました。これに基づいて、顕著なご貢献をいただいた方々に、年1回JPCERT/CCより感謝状を贈呈させていただくものです。
JPCERT/CC 感謝状