「矯正歯科治療に関する意識調査」アンケート調査結果リリース
2020年11月12日
― 後悔しない矯正歯科へのかかり方 ―
全国の20代~60代男女1030人に「矯正歯科治療に関する意識調査」を実施
“矯正歯科の専門性についてホントに理解してますか?!”
矯正歯科治療は専門性の高い治療だと認識しているにもかかわらず、
医院選択では「治療費」や「通院の利便性」を重要視している人が回答の 6 割以上!
20代女性の4割弱が医院とのトラブルや悩みを聞いたり経験したことがあると判明。
~後悔しない矯正歯科へのかかり方の留意点を提示~
(「公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会」調べ)
矯正歯科専門開業医の全国組織である公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会では、全国の 20 代から 60 代の男女1030人に、「矯正歯科治療に関する意識調査」を実施しました。
【 調査の要約 】
① 矯正歯科の専門性を認識している人は全体の約8割と高水準でした。
② 20代男女は、矯正歯科治療に興味を持っている人が多く、4割以上でした。
③ 矯正歯科治療を受ける医院を選択する上で最も重視することは「治療費」、次で「通院の利便性」でした。
④ 全回答者のうち、医院とのトラブルや悩みを聞いたり経験したりした率は3割弱でした。
⇒性年代別に見ると20代女性が最も高く、4割弱でした。
⑤ 矯正歯科治療に関心が高い20代女性では、治療先の金銭に関するトラブルが最多でした。
⑥ 歯科医院のホームページ掲載内容に対する規制があることを知っている人は1割でした。
【 結果:弊会の見解 】
矯正歯科治療は専門性が高いと言う認識が、国民に定着してきたようです。この10年あまり、「矯正歯科の専門性の高さ」を発信してきた弊会の啓発活動は、その成果の一翼を担ってきたものと考えます。
また、昭和23年の医療法制定時、標榜科名として「歯科」のみであったものが、1978年改正時に「矯正歯科」と「小児歯科」が加えられ、2008年には「歯科医学的処置のうち歯科医学的知見等に照らし特定の領域を表す用語」として「矯正歯科」と「口腔外科」が挙げられたことも、矯正歯科の専門性に対する認識の向上につながったと思われます。
一方、歯科医師で歯科医院を開設すれば歯科医業の診療科名を自由に標榜できることは認識されていないようで、矯正歯科治療を受診する際、歯科医院選択で重要視していることは「治療費の安さ」と「通院の利便性」という回答が多かったことから、矯正歯科の専門性について本質的な部分については未だ十分に理解されていないと考えています。
【 調査概要 】
調査目的:一般市民が矯正歯科治療に関して正しい知識を有しているかを調査するため。
調査実施機関:株式会社マクロミル
調査対象:マクロミルモニタ20~69歳の男女 サンプル数:1030人 調査エリア:全国
調査期間:2020年3月31日(火)~4月1日(水) 調査方法:インターネットによる調査
【本件に関する問い合わせ先】
公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会 (広報代行)共同ピーアール株式会社
PRアカウント本部11部 担当:大須賀、佐藤
Email: kyosei.mk-pr@kyodo-pr.co.jp
【 調査結果※一部抜粋※ 】
■回答者プロフィール
Q1: あなたご自身の矯正歯科治療について考えをお聞かせください。
・矯正歯科治療経験者は全体の1割、治療を受けようと考えている人は3割弱でした。
・男女とも20~30代で治療経験率が高かったです。
・20代男女は、矯正歯科治療を受けてみたい考える人が多く、4割以上でした。
Q7: 矯正歯科治療において医院とのトラブルや悩みを経験した事がありますか?(治療を受けたことがない場合は、他の誰かから聞いたことがありますか?)(いくつでも)
※治療経験別は、治療受けた(受けている)人/興味がある人/その他の3区分)を意味します。
※治療経験別2は、選択肢のままの4区分を意味します。
・全回答者の約3割弱がトラブルや悩みを経験したり聞いたりしていました。
性年代別に見ると、20代女性が最も多く4割弱でした。
・自身が治療経験層のトラブル・悩み経験率は4割強で、内容としては、「金銭面」「予約が取りにくいなどの医院の診療形態」「治療方針」が上位に挙がりました。
【 弊会の見解 】
トラブル経験者の中では金銭面に関するものが、他の項目よりやや多く、特に20 歳代の女性に多く現れていることから、若い女性の層で安価な広告に惑わされて、後にトラブルとなっている状況が推測されます。
また、この層では治療結果に関するトラブルも他の層より高い数字を示しており、安価で高いクオリティーを求める傾向にあるように思われます。この層への矯正歯科治療を受ける際の注意喚起・啓発活動が重要と考えています。
Q10: 矯正歯科治療は専門性が高い治療だと思いますか?
・年代・性別関係なく8割弱が、矯正歯科治療は専門性が高いと思っているようです。
Q9:あなたが受診しようとする(受診した)矯正歯科の選択基準は次のうちどれですか?(いくつでも)
・約5割が、医院を受診する際に「通院が便利であること」、「噂や口コミ」、「費用」を重要視していました。
・医院のホームページの内容を重要視している人が3割いました。
・矯正歯科専門の医院であることを最重要視している人は約1割にとどまっていました。
・性年代別に見ると、女性の20~30代は「噂や口コミ」、40~50代は「通院に便利」がトップでした。
【 弊会の見解 】
矯正歯科の専門性の高さを認識しているにもかかわらず、いざ自らの矯正歯科治療を受ける医院選びとしては、近いや便利などの「コンビニエンス志向」となっているようです。また、医院選びとなる情報源としてホームページが重視されている結果が得られましたが、2018年に医療広告ガイドラインの規制対象としてホームページなどのweb上の情報も加えられたことを踏まえて、「歯科医院のホームページにも危険な情報が潜んでいる場合がある」ことを広く啓発していく必要があると考えます。
Q3:歯並びを治す矯正歯科治療を受けるとしたら(既に受けた方は、受けるにあたり)医院選択について最も重要視するのは次のどの項目ですか?一つ選択してください。
・矯正歯科治療の医院選択において、「費用が安価」であることが最も重要視され、「通院に便利な立地条件」と
「矯正歯科専門の歯科医院」であることは同程度で次点でした。
・女性において、矯正歯科専門の歯科医であることは、年齢の上昇に伴い最重要性が高まる傾向でした。
【 弊会の見解 】
矯正歯科治療を受ける際の医院選択の基準として、矯正歯科の専門性の担保とは違う部分で医院選択がなされていた点で、国民の認識が「専門性」に重点を置かれていないことを弊会は問題視しています。残念ながら現状では、「矯正歯科」と看板やホームページに書かれている歯科医院が全て矯正歯科治療についての専門知識を持ち、治療できる十分な技術を身につけた歯科医師が必ずそこに居ると言う保障はないと申し上げなければなりません。男女とも20歳代では「矯正歯科専門の歯科医院」を選択するという意識が低いことを問題視し、この世代への啓発活動を行ってゆく必要性を痛感しています。
Q5:「歯科矯正治療」を受けるにあたり「矯正歯科」だけでなく「歯科・矯正歯科」や「小児歯科・矯正歯科」のように複数の診療科目が看板に書かれた歯科医院について、あなたの考えに一番近いものをお選び下さい。
※治療を受けていない人は受けると想定してお答えください。
・看板標榜を気にしない人が4割弱で最も多くを占め、一般的に看板や標榜科目への意識は低かったです。
・複数の診療科目が書かれていることについては、色々な治療を受けられるという観点で利便性を感じられており、矯正歯科治療は専門性が高い治療と感じている人においても同様の捉え方をされているようです。
【 弊会の見解 】
歯科医院に掲げられている看板の標榜を「気にしていない」が、矯正歯科と記載があれば専門性が高い治療を受けることができ、その上で、他の歯科分野の治療も併せて受けることができれば便利だと思うのは当然のことだと考えます。「矯正歯科」という診療科目が歯科医院の看板に記載されていても、必ずしも矯正歯科治療の専門的知識と技術を担保しているとは限らないのです。歯科医院の看板に記載できる医療法で定められている標榜科目は「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「口腔外科」この4つに限られています。ところが、歯科医師であればその歯科医師の専門性に関係なく先に揚げた4つの診療科目を標榜することが可能であることを、国民には周知されていません。
さらに、医療法で定められている標榜科目に該当しない「審美歯科」「ホワイトニング」「インプラント」などは、標榜をしてはいけない診療科目であることを付け加えさせていただきます。
Q8:歯科医院のホームページの掲載内容に対して規制があることをご存じですか?
・歯科医院のホームページの掲載内容に対する規制があることを知っている人は1割と、ほぼ認知されていない状況が確認されました。
【 弊会の見解 】
医療機関のホームページに問題のある記載が多数あった事実を踏まえ、2018年に医療広告のガイドラインがホームページ等WEB上の記載にも適用されるに至った経緯や、医療機関のホームページの閲覧のポイントなどについて国民に周知する必要があると考えています。
【 弊会からの提言 】医院選びの6つのポイント=矯正歯科診療所が備えるべき6つのポイント
■公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会とは
・日本臨床矯正歯科医会は、矯正歯科の専門開業医が所属する国内最大の団体です。
「よい咬み合わせときれいな歯並びによって心身の健康を育むこと」を目的とし、「見た目の美しさ」だけでなく、咬み合わせの改善、咀嚼(そしゃく)機能の向上、口全体の健康増進など、総合的な「正しい矯正歯科治療」に取り組んでいます。
・矯正歯科治療の専門家集団です。
歯科にも矯正歯科治療を専門に行うところもあれば、歯周病治療やインプラント治療を中心に手がけるところがあります。その中でオルソドンティスト(Orthodontist)とは、矯正歯科治療に特化した歯科医のことをいいます。
・日本臨床矯正歯科医会のメンバーは、矯正歯科治療の専従医です。
オルソドンティストになるには、歯科大学または大学歯学部に6年間通い、臨床研修を修了して国家試験に合格した後、大学付属病院の矯正歯科や臨床研修機関指定施設で歯科矯正学の理論と臨床に関する専門的な指導を受け、自己研鑽(けんさん)を積まねばなりません。
市民1000人に聞く「矯正歯科?」
72.6%が「歯並びは第一印象を左右する」と回答。
「お見合い」、「入社試験の面接」などの場面で歯並びが重要視される傾向に!
一方、咬み合わせの悪さが原因で起こる”お口の健康トラブル”に対する認知は、
顎関節症56.8%、虫歯54.7%、歯周病44.7%とまだまだ不十分
矯正歯科専門開業医の全国組織である矯正歯科医会(正式名称:一般社団法人 日本臨床矯正歯科医会、会長:平木建史)は、8月8日の「歯並びの日」に向け、全国の10~50代の男女計1,000名を対象に、『歯並びと矯正歯科治療』に関する意識調査を2009年6月に実施しました。
調査の結果、歯並びは第一印象を左右すると回答した人が72.6%にものぼり、近年における日本人の歯並びへの関心の高まりが浮き彫りになりました。さらに、歯並びが美しいとよい結果が得られそうな人生における大切な場面で、62%が「お見合い」、53.7%が「入社試験の面接」と回答していることから、第一印象が重視されがちな場面で歯並びは美しい方がよいとの認識を持っている人が多いことが伺えます。
また、健康面では、「歯の咬み合わせが悪いことが原因で発症のリスクが高くなると思うお口まわりのトラブル」を問う質問において、その認知は、最も高い「顎関節症」でも56.8%、次いで「虫歯」54.7%、「歯周病」44.7%と、まだまだ不十分な結果となりました。
「歯並びと矯正歯科治療に関する意識調査」 結果概要
(1)男女1000人のうち、72.6%が歯並びは第一印象を左右すると回答。さらに、芸能人だけでなく一般の人にとっても歯並びは大切だと思うと回答した人は67.9%スポーツ選手にとって歯並びは大切だと思うと回答したのは、63.9%
(2)歯並びが美しいとよい結果が得られそうな人生における場面で、「お見合い」が62%で最も多く、次いで「入社試験の面接」53.7%、「デートの時」50%、「ビジネスの商談の時」47.3%
第一印象が重視される場面で歯並びは重要と考えられている傾向
(3)歯並びに自信がない人は46.2%と約半数にのぼり、歯をみせて笑うことに抵抗を感じると回答した人は25.9%で、4人に1人が笑顔に自信がもてないと感じている結果に!
(4)美しい「肌」よりも美しい「歯」を手にいれるためにお金をかけたいと感じている人が多い
1万〜10万円未満 「歯」:405人 「肌」:384人
10万〜50万円未満 「歯」:90人 「肌」67人
50万〜100万円未満「歯」:18人 「肌」:9人
(5)歯は見た目の美しさだけではない、身体の健康を考える上でも重要!
咬み合わせの悪さが原因で起こる”お口のトラブル”に対する認知は、顎関節症56.8%、
虫歯54.7%、歯周病44.7%とまだまだ不十分
(6)本会の調べでは、不正咬合の疑いのある人は63.4%
顎関節症をはじめとする”お口のトラブル”になる前に、予防意識を
(7)家計の節約項目において、「歯科医療費」が対象となるのは11.5%と低い
歯科医療、デンタルケアへは、必要不可欠な項目であり、不況下においても変わらない現状
(8)2007年〜2009年の3年間で、実際に矯正歯科治療を受けたことがある人は3.1%ポイント上昇し、矯正歯科治療経験者は増加傾向にある一方で、矯正歯科治療に対する情報不足が原因でなかなか治療に踏み切れていない人が多い現状も明らかに!
1. 男女1000人のうち、72.6%が歯並びは第一印象を左右すると回答
さらに、67.9%が芸能人だけでなく一般の人にとっても歯並びは大切だと思うと回答!
スポーツ選手にとって歯並びは大切だと思うと回答したのは、63.9%
「歯並びで第一印象が左右されると思うか」との問いに、20.4%が「思う」、52.2%が「やや思う」と回答し、合計72.6%もの人が第一印象における歯並びの大切さを感じている結果となりました。(表1参照)
さらに、「芸能人だけでなく一般の人にとっても歯並びは大切だと思うか」との問いに対し、21.7%が「思う」、46.2%が「やや思う」と回答していることから、67.9%の人が「芸能人だけでなく一般人にとっても歯並びは大切である」と考えていることが明らかになりました。また、昨今、プロゴルファーやマラソンランナーなどのトップアスリートが矯正歯科治療装置(ブレース)を歯につけて競技している姿がよく見られるようになったせいか、「スポーツ選手にとって、歯並びは大切だと思うか」との問いに対しては、28.0%が「思う」、35.9%が「やや思う」で合計63.9%の人がスポーツ選手にとって歯並びと咬み合わせを整えることは重要であると認識していることがわかりました。(表2参照)
表1
表2
2.歯並びが美しいとよい結果が得られそうな人生における場面で、「お見合い」が62%で最も多く、次いで「入社試験の面接」53.7%、「デートの時」50%、「ビジネスの商談の時」47.3%
続いて、実際にどのような場面で”歯の見た目”の大切さを感じているか、人生における様々なシーンで歯並びが美しいとよい結果が得られそうな場面を問う質問をしたところ、「お見合い」62%、「入社試験の面接」53.7%、そして「ビジネスの商談の時」47.3%と回答していることから、第一印象が重視されがちな場面で歯並びは美しい方が有利との認識を持っている人が多いことが明らかになりました。(表3参照)
さまざまな場面で「歯並び」が意識されている結果が明らかになりましたが、その「歯並び」が美しい人から受ける印象についてさらに詳しく聞いたところ、「清潔感がある」78.7%、「健康的」78.6%と多くの人が回答しているほか、「上品」62.4%、「育ちがよい」54.3%との回答も多い結果となりました。(次頁表4参照)
矯正歯科医会はこの結果について、以下のように述べています。
「今回の調査の結果で、歯並びが美しい人から受ける印象として、健康的というイメージ以外に、上品、育ちがよいという印象を持っている人が多いことがわかりましたが、米国では子供が生まれると、矯正歯科治療のために貯金をはじめる家庭が多く、矯正歯科治療を受けられない子供は育ちがよくないと認識されてしまう傾向にあるようです。また、日本とは違って、米国は虫歯や歯周病の治療も自費なので、予防歯科を目的に子供の頃に矯正歯科治療を行うことが当たり前と考えられています。その結果、矯正歯科治療は、日本よりも米国の方が広く普及している現状がありますが、今回の調査でこのような結果となったことは、日本においても米国のような意識が広がりつつあると考えています。」
表3
表4
3. 歯並びに自信がない人は46.2%と約半数、歯をみせて笑うことに抵抗を感じる人は25.9%
1000人中4人に1人が笑顔に自信がもてないと感じている結果に!
歯並びの重要性は認識してはいるものの、「歯並びに自信があるか」との問いに対して、「あてはまらない」22%、「ややあてはまらない」24.2%で、合計46.2%が歯並びに自信を持っていない現状が浮き彫りになりました(表5参照)。
さらに、「歯をみせて笑うことに抵抗を感じるか」との問いに「感じる」は8.1%、「やや感じる」17.8%で合計25.9%となり、4人に1人は笑顔に自信がもてていない現状が明らかになりました(次頁表6参照)。
表5
表6
4. 美しい「肌」よりも美しい「歯」を手にいれるためにお金をかけたいと感じている人が多い!
続いて、美容面において歯はどのくらい重要視されているかを探るため、一般的に気にする人が多いと考えられる「肌」と比べ、「今よりも美しい歯と肌を手に入れるために、かけてもよいと思う金額」と質問しました。その結果、「10〜50万円未満」の選択肢で「肌」が6.7%、「歯」が9.0%、「1〜10万円未満」の選択肢でも「肌」38.4%、「歯」40.5%と、美しい「肌」よりも美しい「歯」を手に入れるためにお金をかけたいと感じている人が多いことがわかりました。(表7参照)
歯は見た目だけでなく、体全体の健康維持にも関係するため、見た目の美しさだけでなく機能面でも歯を良好に保つことが大切だと感じている人が多いことがうかがえます。
表7
5.歯”は見た目の美しさだけではない、身体の健康を考える上でも重要!
咬み合わせの悪さが原因で起こる”お口のトラブル”に対する認知は、顎関節症56.8%、虫歯54.7%、歯周病44.7%とまだまだ不十分
「歯の咬み合わせが悪いことが原因で発症のリスクが高くなると思うお口まわりのトラブル」を問う質問(複数回答)において、その認知は、最も高い「顎関節症」でも56.8%、次いで「虫歯」54.7%、「歯周病」44.7%と、まだまだ不十分な結果となりました。(次頁表8参照)
矯正歯科医会は、この現状について、以下のように述べています。
「顎関節症の原因のひとつとして、咬み合わせの悪さが挙げられます。顎関節症になると、口を開けづらくなったり、顎の関節やこめかみが痛んだり、首や肩がこったりと、さまざまな症状があらわれます。顎関節症は、昨今、20〜30代女性にも増えており、その大きな原因となる咬み合わせには注意する意識が必要です。」
表8
6. 本会の調べでは、不正咬合の疑いのある人は63.4%
顎関節症をはじめとする”お口のトラブル”になる前に、予防意識を
続いて、現在のお口まわりの状態として、「歯並びにガタガタがある」、「上の前歯の真中と、下の前歯の真中がズレている」など、不正咬合の疑いがあると考えられる状態について当てはまるかを聞きました。結果、「全てに当てはまらない」と回答した人は36.6%であり、逆に、全体の63.4%の人は、何かしら不正咬合の疑いがあると考えられる結果となりました。(次頁表9参照)
前問で、顎関節症や虫歯、歯周病など、お口まわりのトラブルに対する認知が低い現状が浮き彫りとなりましたが、これらの疾患は不正咬合が原因となることが多いため、その潜在患者さんは63.4%と多いと考えられ、今からの予防意識が必要です。
その予防のひとつとして、今、矯正歯科治療は子供だけではなく大人においても注目が高まっており、本会の調査においても、過去2年間で矯正歯科治療を経験した患者さんのうち、20代以降の患者さんの割合が増えている現状があります。(次頁表10参照)
また、治療を経験した患者さんに対し、治療後の満足度を聞いたところ、「矯正歯科治療を受けてよかったと思う」が71.5%と高い結果となり、「デンタルケアへの関心が高まった」52.3%と、”予防歯科”への意識が上昇する傾向があります。(次々頁表11参照)
表9
表10
表11
7. 家計の節約項目において、「歯科医療費」が対象となるのは11.5%と低い
歯科医療、デンタルケアは、必要不可欠な項目であり、不況下においても変わらない現状
「現在のあなたの家計において、節約しようと思う項目をお選びください」との問いに対し、「食費」が52.1%、「衣料費」が49.9%と高い傾向でしたが、「歯科医療費」は11.5%と、「医科医療費」の13.3%と比べても低く、「歯科医療」は人々にとって必要不可欠な項目と考えられます。(表12参照)
表12
8. 2007年〜2009年の3年間で、実際に矯正歯科治療を受けたことがある人は3.1ポイント上昇!矯正歯科治療経験者は増加傾向にある一方で、矯正歯科治療に対する情報不足が原因でなかなか治療に踏み切れていない人が多い現状も明らかに!
矯正歯科治療経験者の割合は、2007年から2009年で3.1ポイント増加していることが今回の調査から明らかになりました(表13参照)。この結果から、歯並びや咬み合わせを重要視する人が増えていることがうかがえる一方で、矯正歯科治療に関する知識について、以下の項目を選ぶ形式で調査した結果、矯正歯科治療に対して誤った認識を持っている人が多い現状が浮き彫りになりました。
「歯ぐきさえ健康ならば、何歳であっても矯正歯科治療ができることを知っていますか」との問いに対して、86.9%が「知らない」と回答し(表14参照)、「舌の癖が歯並びに影響を与えることを知っていますか」との問いに対しては、81.7%が「知らない」と回答しました(表15参照)。また、「矯正歯科治療に保険がきくケースがあること」については、81.9%が「知らない」と回答しています(次頁表16参照)。
矯正歯科治療は”子どもの時に行うもの” との認識はまだまだ根強く、昨今変わりつつある矯正歯科治療の現状についての認識が浅いと考えられます。
表13
表14
表15
表16
日本臨床矯正歯科医会(会長:平木建史)では、予防歯科への意識について、以下のように述べています。
「家計において歯科医療の重要性が認識されている一方で、不正咬合の可能性が疑われる人は63.4%と、非常に多いと考えられます。近年、8020達成者が増えていることは喜ばしいことですが、欧米諸国と比べると日本の達成率はまだ低いといえます。咬み合わせが悪いことが原因で「顎関節症」を引き起こしてしまうことに対する認知もまだまだ不十分であり、また、歯を失う最たる原因は「虫歯」と「歯周病」ですが、咬み合わせのバランスが悪いと虫歯や歯周病になるリスクが高くなり、歯並びが悪いと歯に汚れが付きやすく、かつ、歯磨きも難しくなるので、口の中を衛生的に保つのが困難になります。
咬み合わせ、歯並びを気にしている方はまず、専門的な研修を積み重ね、多くの症例を経験している矯正専門の歯科医で相談することをおすすめします。すぐに矯正歯科治療を開始するわけではなく、まずは口腔内の環境や歯に対する生活習慣の改善などを指導し、顔全体のバランスも考慮した上で、患者さんにとって最良の治療法をご提案します。また、調査の結果では、歯ぐきさえ健康であれば何歳になっても矯正歯科治療が可能であることを知らない人が多い結果となりましたが、最近では、20代、30代、40代の女性など、健康と美しさに関心の高い方たちが、大人になってから矯正歯科治療を行うケースも増えています。矯正歯科治療は、単に歯並びをきれいにするだけではなく、治療後の人生において自分の歯でおいしく食事ができる可能性を高めます。年齢を重ねると、歯周病などのリスクが高まり、歯並びに問題があるとさらに悪くなることがあります。歯の健康は長生きのもとでもありますから、歯並びを軽んじず、”予防歯科”に対する意識を高めて欲しいです。」
調査概要
サンプル数:10代〜50代の男女各500人、合計1000人
調査方法 :インターネット調査
調査地域 :全国
実施時期 :2009年6月19日〜6月20日
一般社団法人 日本臨床矯正歯科医会について
日本臨床矯正歯科医会は、矯正歯科専門開業医が所属する国内最大の団体で、1973年に発足し、30年以上の活動実績を持っています。2005年に法人化し、現在の会員数は500名を超える規模となっています。「よい咬み合わせときれいな歯並びによって心身の健康を育むこと」を目的とし、単に「美」を目的とした治療ではなく、咬み合わせの改善、咀嚼(そしゃく)機能の向上、口全体の健康増進など、総合的に取り組む矯正歯科治療を行っております。
http://www.jpao.jp/
本件に関する報道関係各位からのお問い合わせ先
日本臨床矯正歯科医会 広報事務局