※書籍のお試し読みには会員ログインが必要です。

書籍のお試し読み

書籍のお試し読みにはマイページ会員ログインが必要です。
マイページ会員にご登録頂けますと様々な特典が受けられます。
マイページ会員特典の詳細はこちら

本

井上和弘の経営革新全集第５巻

儲かる組織に作り変える

●社員1人当たりの利益を最大にする井上式組織づくり
　中小企業だからこそ実現可能な「社員1人当たりの経常利益400万」「総人件費イコール経常利益」の高収益組織をいかにつくるか──人手不足が深刻化するなか、コンサルタント歴50年の井上和弘氏が、会社の成長を担うコア社員を確保し、同時に生産性を上げて、利益を最大化する組織づくりを、４つの事業形態別に（労働集約型／設備集約型／設備・労働集約型／知的集約型）多くの事例をあげて解説。

　　・４つの事業形態ごとの生産性向上策とヒト対策…
　　　(労働集約、設備集約、設備・労働集約、知的集約)
　　・労務コスト上昇に備える全ノウハウを公開
　　・同族・一族組織の問題を豊富な事例で解決策を提示

形　態	定　価	会員価格	購　入
書籍	14,300円	12,100円	カートに入れる

形態	会員価格（定価）	購入
書籍	12,100円（14,300円）	カートに入れる

※表示は全て税込（10%）価格です。

この商品についてのお問い合わせ

閉じる

本の概要

発刊年: 2021年

ISBN: 書籍 978-4-89101-450-6

Ａ５判　上製　本文３９０ページ

著者紹介

井上和弘 (いのうえかずひろ)アイ・シー・オーコンサルティング会長

　インフレ期25年、デフレ期25年、計50年の指導歴をもつ日本屈指の「儲かる会社づくり」の実力コンサルタント。これまで500余社を直接指導、オーナー社長のクセを知りつくし、次々と零細企業を中堅企業へと導き、一部上場はじめ株式公開させた企業も10数社にのぼる。経営指導に東奔西走する傍ら、弊会主催「後継社長塾」の塾長を30年務め、今まで500人以上の後継者育成に携わる。
　株式会社アイ･シー･オーコンサルティング会長。株式会社サン・ライフ(JASDAQ上場)取締役、キング醸造株式会社取締役、日本経営合理化協会理事等を兼務。
　1942年大阪府生まれ。早稲田大学卒業、イタリアフローレンス大学留学。

セミナー情報

セミナー

【東京・他】2025年4月～2026年3月全12講（合宿）

第38期「後継社長塾」

目次・まえがき

著者からのメッセージ

　日本は今後、急激に人口が減少し、人手不足が常態化する時代となります。
　そうなれば、正社員もパート・アルバイトも採用難となり、賃金が上昇することに加えて、社会保険料などの法定福利費も上昇し、何らかの手を打たないかぎり、固定費の中で大きな割合を占める人件費は膨らんでいきます。

　そういう中、経営者は成長を担うコアの人材を確保し、同時に生産性を上げ、社員１人当たりの利益を増やしていく経営が強く求められます。

　本書は、今後、中小企業が継続的に利益を稼ぎ出すための組織のあり方と、生産性向上のための具体的な実務について、４つの事業形態（労働集約型／設備集約型／設備・労働集約型／知的集約型）ごとに、それぞれ多くの事例をあげて解説します。

　コンサルタント歴50年の私の指導先には、「社員１人当たりの経常利益が400万円」「総人件費イコール経常利益」という、中小企業だからこそ実現可能な高収益会社がいくつもあります。どの会社も賃金は相場より高いものの、総人件費を抑える組織となっています。
　本書が、みなさまの経営のヒントとなることを願って上梓します。　　　　　　　　　　　　　　

本書の目次

序章　２０２０年からの中小企業の経営課題

　　　　大不況が来た！そのとき社員は
　　　　人の採用は命取りになる
　　　　経営は第一に経済合理性の追求が求められる
　　　　縮む日本でビジネスする中小企業の経営課題

１章　総人件費イコール経常利益のマッハ経営を目指そう！

　　１．私が考える組織デザイン図
　　　　これからの組織デザイン図
　　　　非正社員が正社員の数を追い越す？
　　　　会社が人を選ぶのではなく人が会社を選ぶ時代
　　　　「コア社員」の数は最小限に抑えよ
　　　　コア社員は人事異動で次の人を育成せよ
　　　　若い人を抜擢せよ
　　　　非正社員を活用せずに競争に勝つことはできない
　　　　シニアがもっている技術や経験を活用しよう
　　　　今や第四次産業革命の真っ只中

　　２．マッハ経営を目指そう！
　　　　究極のマッハ経営とは
　　　　中小企業の経費の多くは労務費
　　　　損益分岐点売上操業度を考えよう！
　　　　労働生産性と労働分配率の発想の違い

２章　労働集約型ビジネスのヒト対策

　　　事業形態によってヒト対策は異なる
　　　労働集約型ビジネスの問題
　　　人を集める
　　　労務管理はマズローの５段階を基本にする
　　　労働集約型ビジネスはシステム化が欠かせない
　　　人を定着させる
　　　働く人の都合に合わせる
　　　労働者の少ない国カナダに学ぶ
　　　正当な単価をいただく
　　　労働集約型ビジネスは設備装置を活用して生産性を上げる
　　　労働集約型ビジネスから抜け出す
　　　粗利益を上げる
　　　仕組みで利益を上げる

３章　設備集約型ビジネスのヒト対策

　　　設備集約型は設備生産性を追求するビジネス
　　　古い生産設備を使いたがる経営者
　　　設備集約型の経営者に求められるもの
　　　設備投資はしたいが資金がない！
　　　キャッシュフローを理解している経営者
　　　中古機械を買い回して成功している事例
　　　パチンコはまさに設備集約型ビジネス
　　　無人化思考でマッハ１に近づく
　　　どこで儲けるかの見極め
　　　ファブレスでありながら巨額の設備投資を続けるアップル

４章　設備・労働集約型ビジネスのヒト対策

　　　利益が出にくいビジネス
　　　旅館の後継ぎがいない！
　　　固定資産をもたず運営に特化する
　　　私（井上）からのアドバイス
　　　ホテル業を継いだ後継社長の挑戦
　　　ＩＴを活用して旅館改革をした陣屋
　　　大病院のほとんどが大赤

５章　知的集約型ビジネスのヒト対策

　　　専門能力で稼ぐビジネス
　　　知的集約型で稼ぐ人材の給料は高給
　　　知的人材を集めて闘う
　　　コンテンツ（内容）はタレントの能力
　　　文科系の人材を必要としないアマゾン
　　　年齢の若さは関係ない

６章　同族・一族組織の課題

　　　組織は頭から腐る
　　　日本の会社の99％は同族会社
　　　一族経営のメリットとデメリット
　　　業績の上がる理想的な組織
　　　難ある同族をどうするか
　　　同族会社は若さを失う
　　　兄弟経営の争いの要因は３つ
　　　役員、幹部の辞めさせ方
　　　高額退職金を支給する
　　　役員整理はモメルと困難極まる
　　　道理にはずれた困った一族役員の例
　　　女性に役員職は無理？
　　　会社経営は情で動かない

７章　あつめる・かためる・しめる

　　　腹心の部下を揃える
　　　有能な片腕が３人いれば組織は動く
　１．あつめる
　　　「あつめる」とは
　２．かためる
　　　「かためる」とは
　　　どこにも負けない福利厚生の充実を図る
　　　コミュニケーションパイプを詰まらせるな
　　　全社方針発表会を開いて一体感をつくりだす
　　　労務管理は学ばざるして効果なし
　　　②安全の欲求
　　　③社会的欲求
　　　④自我の欲求
　　　⑤自己実現の欲求
　　　　　　　日本人にはマズローの欲求５段階説の上に「奉仕欲求」がある
　３．しめる
　　　石か瓦かを見分けよ
　　　しめることを忘れてはならない
　　　人員を減らさないと、月々の赤字が止まらない
　　　退職勧奨とは
　　　人事考課は年２回やること
　　　人事考課表作成にエネルギーを使わない

８章　時代遅れの営業組織になっていないか

　　　旧態依然の営業活動
　　　営業が得意な社長によく見られる傾向
　　　売上が低下すると営業社員の欠点に目がいく
　　　ブームが去って売上激減は営業の問題か
　　　本当に営業が必要か
　　　営業活動は必要としない建設会社
　　　あなたの会社の営業部は何をしていますか？
　　　人を変えるのではなく人種を変える

９章　労務コストの上昇に備えよ

　１．残業代の割増率アップに備える
　　　法定福利費は一種の税金です
　２．パート・アルバイトの社会保険加入への対策
　　　社会保険は見過ごせない労務コスト
　　　社会保険加入の適用条件がさらに厳しくなった
　３．無期雇用転換への対策
　　　期間の定めがなくなる
　４．高齢者継続雇用への対策
　　　高齢者の雇用継続
　５．障がい者雇用への対策
　　　障がい者法定雇用率の引き上げ
　６．有給休暇消化の一部義務化
　　　中小企業への猶予措置はなし
　７．人材確保・定着のコストに備える
　　　未曽有の人手不足時代
　８．労務コストアップへの対策まとめ

10章　必要最小の組織が一番儲かる

　　　最小の会社は倒産しない
　　　小さい会社が一番儲かる
　　　経営者にとっては規模拡大は夢？
　　　売上を追わないＮ社
　　　小規模会社にお役人は来ない
　　　コミュニケーション（意思疎通）は小さい組織のほうがいい
　　　労働問題は図体が大きいゆえに発生する
　　　必要最小の組織が一番儲かる
　　　見栄をはらない経営が大事
　　　お金の社外流出に注視せよ
　　　働かなければ座して死す
　　　手離れの悪さを商売にできないか？

はじめに　著者／井上和弘

　2000年４月に、日本経営合理化協会出版局より『儲かるようにすべてを変える─社長の経営革新』を上梓して、はや20年が過ぎました。お陰様で大好評を得て、その後、

　　第１巻　儲かるようにすべてを変える
　　第２巻　稼ぐ商品・サービスづくり
　　第３巻　カネ回りのよい経営
　　第４巻　会社を上手に任せる法
　　第５巻　後継者の鉄則
　　第６巻　承継と相続おカネの実務

　と経営革新シリーズ６冊、累計６万部を出版させていただきました。
　振り返れば2000年、私は、「これから日本経済はインフレからデフレへと大きく変化する。一刻もはやく、経営において『たたむ・削る・変える』を実行しないことには、会社は危機の中に巻き込まれてしまう！」という強い危機感を感じたのです。
　すなわち、「土地の含み益を担保にして資産を膨らませれば儲かった時代が終わり、資産で膨れ上がった贅肉体質の会社は、一日でも早く、含み損を掃き出して筋肉質な体質に変えないと危ない！」と警告を発したのです。
　インフレ期とバブル期を体験した経営者は、経営で重要な「利益率×回転率」の基本を忘れ、売上を上げれば利益が取れると錯覚して、やたら売上至上主義に走り、流動資産の売掛金、商品在庫、固定資産の土地・建物・機械・有価証券が膨れに膨れていたのです。

　商売は「ヒト・モノ・カネ」で成り立っていますが、儲かる経営を実現するには、

　　・気温
　　・体質
　　・体温

　の３つが大切です。
　「気温」とは、企業を取り巻く環境のこと、日本は今もってデフレが続いています。
　「体質」とは、おカネ、つまり財務体質のこと。私は『儲かるようにすべてを変える』と『カネ回りのよい経営』で、財務体質の強化策を述べました。
　その途中で、儲かる会社づくりも大切ですが、会社を次代へ引き継ぐことも経営の重要課題ですので、会社を譲る側の社長と会社を継ぐ側の後継者に向けて、事業承継の成功策を著わしました。
　そしていよいよ、最後に残った「体温」について述べなくてはならなくなりました。
　「体温」とは、人の問題です。
　77歳の喜寿を迎えて、私には執筆に費やすエネルギーが消えかかっており、最後の気力を振り絞って、本書をまとめました。

　会社という人の集団は、トップの思いと社員の考えとのあいだに大きな差、つまり体温差が生まれてしまいます。経営陣の中ですら、体温差からくる社長と専務の争い、兄弟喧嘩が生まれ、会社の内部から崩壊するという悲しい現実をいくつも見てきました。

　20年前、取り巻く環境の変化は、インフレからデフレでした。
　そして20年たった今日は、さらに取り巻く環境が変わって、日本は世界一の「少子高齢化社会」となりました。とんでもない未知の労働環境が出現しているのです。
　子供の人口が減り、今の０歳児は18年後には就業者となりますが、全体の就業者人口は激減します。人口の３分の１は65歳以上の老人となり、長寿社会となって社会保障費が膨大に膨れ上がり、それにともなって労務コストも上がっていきます。
　外国人労働者とロボットが増えるとはいえ、今までと同じように、

　　・自社で働いてくれる社員を集められるか？
　　・賃金水準が高くなり、人件費を払って利益は出るのか？
　　・ＩＴオペレーション管理で、日本品質が維持できるか？

　よほど経営者の考えを変えないと、「労務倒産社会」が出現するのです。
　人の採用も重視しなければなりませんが、社員１人が生み出す付加価値も重視しなければならない時代がくるのです。
　社員に高い給与を払うためには、高い付加価値（粗利益）をたたきだす収益体質に変化させなくてはなりません。
　安い商品は海外からいくらでも入ってくる時代です。日本は人口減少にともなって需要が減り、供給過剰に陥らないためにも、より独自性の高い高付加価値商品が求められるのです。
　その一方で、日本では働く人の供給は減るばかりです。
　この大難問を嘆くことなく、われわれは解決していかねばなりません。これらの難題を解決するには、あらゆる業種業態において、ローテクからハイテクへ、人的体力勝負から知的労働勝負へと、人と組織をつくり変えていかなければならないのです。

　今までどおりの商品を、今までどおりの人員で、今までどおりの商習慣で、真面目にやりつづけても、これからは売上利益を増やすことができません。
　誰もやらない、誰もできないニッチなマーケットで、異常なまでの顧客志向に立ち、先端的な商品・サービスを開発して、なおかつ日本的な手を抜かない生真面目な会社しか勝利者にはなれないのです。
　組織集団で一番難しいのは、従来どおりで良しとした「売りモノ」や「社風」、そして「戦い方」や「武器」を変えることです。
　新しいやり方がいくら合理的であっても、従来のやり方でやるほうが楽なのです。
　私たちがアドバイスした資金繰りや効率的な銀行交渉、払い過ぎの税金の節税策などは、実際に目に見えておカネが増えるので、どの会社も喜んで受け入れてくれますが、人事面となると、正解が目に見えて現れてきません。

　この20年の指導先の中で、人が採用しづらい運送業で、売上を100億から300億に伸ばし、働く人を３倍に増やした会社、１５００人の社員がいる外食産業で、同業が人手不足で困っている中で、外国人を雇用せずに、労使一体で悠々と経営している会社があります。
　これらの経営者は、これからの未来に向かって、しっかりした人対策を打っておられます。
　そして、働く社員に不満がないのも、他の同業者より良い労働条件を提示できているからです。そのためには、自社の売り場に顧客が押し寄せ、自社が提示する価格で買ってもらえる商品力があるかどうかです。
　しっかりと収益を上げているからこそ、社員に還元できているのです。

　あなたの会社で、もう必要でない仕事をしている時代遅れの部門がないでしょうか。
　人に頼らずとも、機械やロボットでできる仕事はないでしょうか。
　ノスタルジーに浸っている時代ではありません。会社は過去に生きるのではなく、未来に向かって生きなくてはならないのです。
　どうか最後までお読みくださり、人的難題を解決していただきたいのです。

　　２０１９年10月吉日

　