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「指導者」とは

指導者養成ダイレクターメッセージ

木村康彦JFA指導者養成ダイレクターが語る指導者養成
「楽しく、主体的にアクティブな姿勢で学んでいく場に」

日本サッカー協会(JFA)では、指導者のレベルアップのために、ニーズに合わせた指導者養成講習会や、学び続けるためのリフレッシュ研修会などを開催し、指導者養成を推し進めています。ここでは木村康彦JFA指導者養成ダイレクターに、指導者の存在や役割、指導者が大切にすべきこと、また指導者養成講習会の在り方などにについて聞きました。

※このインタビューは2024年4月15日に実施しました

※このインタビューは2024年4月15日に実施しました

木村康彦JFA指導者養成ダイレクター

選手の成長をサポートできるのが魅力

――2024年2月、新たにJFA指導者養成ダイレクターに就任されました。

木村 2006年にナショナルトレセンコーチ(現、JFAコーチ)に就任して以降、トレセンのほかに、アンダーカテゴリー日本代表やエリートプログラムでの指導、また指導者養成講習会のインストラクター(現、チューター)として、いろいろな活動に携わってきました。代表チームの強化や選手の育成に取り組む中で、指導者の重要性、その役割の大きさも理解していました。今回、ダイレクターに就任し、あらためて責任の重さと同時に、大きなやりがいを感じています。

――海外でも指導者の重要性は認識されており、日本でも今後、ますます重要になってくると思います。

木村 ヨーロッパやアジア諸国を見ても、代表チームが結果を残している国は、指導者養成にしっかり取り組んでいます。もちろん、これまで進めてきた指導者養成も十分素晴らしいですが、さらにブラッシュアップし、より良いものにしていかなければなりません。

――指導者の役割として、どういった要素が挙げられるでしょうか。

木村 多岐に渡ると思います。年代やカテゴリーによって濃淡はありますが、オン・ザ・ピッチでは、安心・安全なプレー環境を創出して、選手に楽しくプレーしてもらうこと、そして選手の可能性を最大限引き出して成長させることなど、サッカー面でのコーチとしての役割があります。それにプラスして、オフ・ザ・ピッチでは、教育者として、またサポーターとして、食事・栄養面のアプローチ、選手の悩みに寄り添うなどメンタル面のケアなども大事です。また、クラブやチームをマネジメントすることも大切な役割になります。

――これまで以上に指導者に求められるものも多くなっています。

木村 サッカー自体が進歩し、新しい要素がどんどん加わっています。指導者自身が停滞することなく学び続けていかなければ、良い指導はできません。社会も大きく変わる中で、現代の選手や子どもに合った指導が必要です。例えば、選手個々のパーソナリティーや成長に応じた個別の指導はこれまで以上に必要になると思います。指導者によって得手不得手はあると思いますが、引き出しを多く持ち、またテクノロジーなども活用しながら、オープンマインド(開かれた心/多様な考えや意見に耳を傾け、他者を理解し、受け入れようとする意欲)で学び続けなければいけないですね。

――オープンマインドで学び続けるというのは大事なワードですね。

木村 その根底には、パッション(情熱)が欠かせません。困難に直面することもあると思いますが、そういうときにこそ、「この選手の能力をもっと伸ばしたい」「チームを強くしたい」という熱い思いが大事です。それは選手たちに伝わりますし、良いアプローチにもつながっていきます。

――指導者としてのやりがいや魅力とは。

木村 選手の成長をサポートできるところでしょうか。その責任が伴いますが、一人一人に何かしらの影響を与えられることは魅力的な部分だと言えます。また私自身、これまで多くの選手に関わる中で、プロ選手になった者もいれば、指導者になって指導者養成講習会で再会した者もいます。どのような形であれ、彼らが成長した姿を見るのは大きな喜びです。

双方向で学び合い、みんなでつくり上げる講習会

――良い指導者を輩出するために、指導者養成講習会の充実は欠かせません。どのような講習会を目指しているのでしょうか。

木村 知識とスキルを習得することに加えて、参加者の知識や経験を活用しながら、チューターと参加者、参加同士といった双方向で学び合い、みんなでつくり上げる講習会にしようとしています。以前は「インストラクター」と呼ばれていたものが「チューター」に変更されたように、講師が答えを持ってそれを教え、参加者が受け身の姿勢で、インプットだけをするような形ではありません。

――チューターの役割や講習会の場づくりで意識していることは。

木村 講習会の中心は参加者の皆さんですので、チューターは学びのプロセスを意識しながら、参加者それぞれに寄り添ってサポートをします。講習会では、定めたカリキュラムにのっとって、必要な知識は押さえますが、それだけではありません。「楽しく主体的な学び」を前提として、グループワークやディスカッションを通して参加者の皆さんがアクティブに主体的に学んでいける場にしています。
また、参加者それぞれの指導現場で役に立つこと、抱えている課題を解決できるなど、講習会で得た学びを現場で生かせるといった観点でもアプローチしています。

――さまざまなバックグラウンドを持った方が講習会に集まるのも魅力の一つと言えます。

木村 講習会には、異なる種別やカテゴリーの方がいたり、ベテランの指導者や学校の先生、お父さん・お母さんコーチがいたり、サッカー未経験者や高校生・大学生などを含めて、多種多様な方が一堂に会します。それぞれ刺激があって得るものは大きいと言えますし、自身が持つ経験をシェアすることで視野も広がるはずです。何より、苦楽を共にする仲間との絆が生まれるのも大きな魅力ですね。

――ライセンス体系は年々更新されています。

木村 「エリートユースA」や「ユースB」を新設し、D級やC級からS級まで基本的なサッカーのコアライセンスを整え、GKやフットサル、フィジカルなど専門分野のライセンスも構築しています。指導者のニーズに応じたコースが用意できています。
指導者ライセンス体系はこちらをご覧ください。

――指導者ライセンス取得後はどのような学びの場を提供していますか。

木村 ライセンスを取得して終わりではありません。登録指導者向けの情報が詰まった「JFAテクニカルニュース」を閲覧できるほか、リフレッシュ研修会なども実施しています。「もっと指導力を高めたい」というニーズも多く、上位ライセンスにつなげるスキルアップ研修会も適宜開催しています。ただ全てのニーズに応えられてはいませんので、今後も、継続した学びの機会の充実も図っていきたいと思います。

――最後に、全国の指導者や指導者ライセンスに興味がある人へのメッセージをお願いします。

木村 講習会には多様な方々が集まり、さまざまなことを学べる貴重な場だと思います。たくさんの刺激やチャレンジがあり、また同時に指導者のネットワークも構築できると思います。ぜひ多くの指導者の皆さんに参加していただけたらと思います。
皆さんと一緒により高いレベルへと進んでいきたいですし、われわれとしても、そのニーズに応えられるように、講習会の質・量ともに充実させていきたいと思います。

木村 康彦(きむら やすひこ)JFA指導者養成ダイレクター

出身地:新潟県
生年月日:1967年4月3日生
指導者資格:S級コーチライセンス
【指導歴】
1999~2003年ローランド・ビュリッヒ(ドイツ)
2003~2005年バイヤー04・レーバークーゼン(ドイツ)アカデミー
2006~2012年JFAナショナルトレセンコーチ(北信越地域担当)
2013年U-15・16・17 日本代表コーチ
2014年U-16 日本代表コーチ
2015年U-18 日本代表コーチ
2016年U-19 日本代表コーチ
2017年U-20 日本代表コーチ
2019年~JFAユース育成・指導者養成サブダイレクター、JFAコーチ(北信越地域担当)
2021年~JFA指導者養成サブダイレクター、JFAコーチ(北信越地域担当)
2024年~JFA指導者養成ダイレクター

JFAの理念

サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、
人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する。

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