第47期囲碁新人王戦 あすから決勝三番勝負/相異なった棋風対決に期待

しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年9月21日(水)

第47期囲碁新人王戦 あすから決勝三番勝負

相異なった棋風対決に期待

 囲碁の第47期新人王戦(「しんぶん赤旗」主催)の決勝三番勝負は22日に名古屋市の日本棋院中部総本部で開幕します。決勝に進出したのは、中部の雄・大竹優七段(20)と東京の新鋭・酒井佑規三段(18)。このところ乗りに乗った2人で、ともにいまが絶好調。相異なった棋風の両者による対決に期待が高まっています。

自分らしく打ちたい

写真

(写真)大竹優七段

 大竹七段は、この決勝三番勝負を目前に本因坊リーグ入りを決め、トッププレーヤーの一員に名を連ねました。

 4年連続昇段するなど成績を残しながら、新人王戦では振るわず、予選敗退2回、本戦は初戦突破が1回あるだけでした。今期は1回戦で福岡航太朗三段を破って順調に勝ち上がり、準決勝で前期準優勝の上野愛咲美四段(女流立葵杯・女流棋聖)に勝って決勝に初進出しました。

 「無勝負になりかけた1回戦の福岡戦を、ギリギリのところで勝つことができて波に乗れました」と振り返ります。

 中部総本部所属棋士の決勝出場は、4人目5回目。これまでに優勝者はなく、中部初の新人王への期待が高まっています。

 昨年は30勝17敗、今年は30勝5敗で、現在なんと13連勝中です。棋聖戦でも挑戦者決定トーナメント入りを果たしています。

 大竹七段は「新人王戦はこれまで成績を残せなかった。決勝に勝ち上がれたことは運もあったと思いますが、このチャンスをつかみたい。酒井三段とは真反対の棋風だと思っていますが、自分らしく打ち、その結果、優勝できたらと思います」と決意を語りました。

 おおたけ・ゆう 2001年11月14日生まれ。長野県出身。吉岡薫九段門下。中部総本部所属。16年入段、本因坊リーグ入りにより9月9日付で七段に昇段。

悔い残らぬよう臨む

写真

(写真)酒井佑規三段

 酒井三段は2018年、13歳で入段・プロデビューした逸材です。個性的で、乱戦で力を発揮するタイプです。

 新人王戦は前期ベスト8に進出、2期連続2回目の本戦出場で決勝進出を果たしました。

 1回戦で坂井嵩司二段、2回戦で田中康湧三段(関西棋院)、準々決勝で阿部良希三段(同上・現四段)、準決勝では第44期準優勝で優勝候補の小池芳弘七段を破っての決勝進出です。

 強敵小池戦では「内容的にはギリギリの連続で、はっきり負けの局面もありましたが、粘って逆転し、勝ち切ることができました」と手応えを感じています。

 昨年は十段戦、阿含・桐山杯で本戦入り。今年は碁聖戦でも本戦進出。1回戦で今回の決勝の相手大竹六段(当時)を破り、史上最年少名人の記録を持つ芝野虎丸九段にも勝って、準々決勝まで進出しました。8月には非公式戦ながら、本因坊秀策杯で初優勝しました。この経験を三番勝負に生かしたいところです。

 昨年の成績は26勝10敗。今年はこれまで21勝6敗。

 「入段後1~2年は成績が上がらず悩みました。去年ぐらいから調子は上がってきましたが、まだまだ実力不足です。悔いの残らないように、よく準備して臨みたい」と語りました。

 さかい・ゆうき 2004年4月14日生まれ。東京都出身。囲碁緑星学園出身。18年入段、21年12月三段に昇段。東京本院所属。

弁慶と牛若丸の対決 連想

観戦記者が語る見どころ

 新人王戦の観戦記者・大野鉄平さんに決勝三番勝負の見どころを聞きました。

 最高に楽しみな組み合わせだ。記者はどうしても武蔵坊弁慶と牛若丸の対決を連想してしまう。

 「弁慶」の酒井は豪腕を売りにしている。混沌(こんとん)流とも呼ばれる彼の碁は、乱戦になったときに真価を発揮する。読みの深さと正確さは群を抜いており、相手の石を豪快に仕留め続けてきた。まさに怪力と呼ぶにふさわしい打ち手だ。

 「牛若丸」の大竹はひらひらと舞い、相手の攻撃を巧みにかわすのが得意。なるべく平易な碁形に持ち込むことを好み、大局観と終盤力で勝負する。ただ、たたかいが苦手というわけではない。ここぞという瞬間の切れ味は、十分に備えている。

 勝敗予想は難しいが、きっと両雄が持ち味を存分に発揮する三番勝負になるだろう。

決勝の日程

 第1局 9月22日(木) 名古屋・日本棋院中部総本部

 第2局 9月30日(金) 東京・日本棋院東京本院

 第3局 10月10日(月) 名古屋・日本棋院中部総本部

 (決勝の模様はユーチューブ日本棋院囲碁チャンネルでライブ配信される予定です。いずれも対局開始は午前10時)

トーナメント表


pageup