1999年受信報告

公益財団法人 日本中毒情報センター

はじめに

(財)日本中毒情報センターの(JPIC)の活動も、1999年で13年目を迎えた。情報提供には、本稿の報告対象となる電話応答以外に、書籍やCD-ROMはもちろん、ファクシミリの自動応答システムやインターネットも利用している。インターネットについては、従来から、厚生科学研究「中毒情報の自動収集、自動提供システムの構築とそのパイロットスタディ」によって、愛媛大学救急医学教室白川洋一教授、越智元郎助教授にご支援をいただき、愛媛大学(apolloサーバー)より発信していた。昨年は、毒物混入事件を契機に図られたJPICの機能強化策のひとつとして、JPICに独自のサーバーを導入し、解毒剤に関する情報や一般公開が可能と判断した中毒起因物質の毒性情報を収載したホームページ(http://www.j-poison-ic.or.jp)を4月1日から発信している。
ホームページへのアクセス件数は、ミラーサイトとして発信をお願いしている愛媛大学(apolloサーバー)へのアクセスも含め、77,000件と前年比で約3倍の増加となっている。また、タバコ専用応答電話(06-6875-5199)の昨年1年間の利用件数は10,158件(1日約28件)、さらに、1997年2月より開始した中毒自動情報Faxシステムには、1,404件の利用があり、オペレータによる電話応答以外の媒体の利用件数は着実に増加している。
電話応答による情報提供は従来と同様の体制で行い、今回も1999年の受信記録をすべて昨年同様の方法で集計解析し、以下に報告する。

1. 集計方法

集計の対象は、1999年1月1日から1999年12月31日までの1年間に受信したヒトの急性中毒に関するデータ36,515件である。受信データにはダイヤルQ2、医療機関専用有料電話、賛助会員専用電話で受信した記録すべてが含まれる。欠損項目については、不明件数として集計対象に加算して、相対構成比を計算した。なお、対象には「タバコ専用応答電話」の利用件数10,158件は含まれない(この件数を加えると1999年1年間にJPICが受信したタバコに関する問い合わせ件数は15,505件となる)。起因物質については、昨年と同様、複数物質を摂取した場合であっても、データ処理上すべて1種として記録し集計した。

2. 集計内容とその結果

1)都道府県別 受信件数と連絡者のうちわけ

2) 起因物質別 受信件数と連絡者のうちわけ

3)患者年齢層別 受信件数と連絡者のうちわけ

4)起因物質別 患者の性別と年齢層別 受信件数

5)発生場所別 受信件数

6)起因物質数別 受信件数

7)患者年齢層別 受信件数と発生状況のうちわけ

8)年齢層別 摂取経路別 受信件数

9)起因物質別 年齢層別 受信時症状の有無

10)起因物質分類別 受信件数上位品目

11)品目別 受信件数

外皮用薬のうち陽イオン界面活性剤含有外皮用薬は、公衆衛生用薬の陽イオン界面活性剤含有殺菌消毒剤の件数に加えた。
芳香剤、消臭・脱臭剤の件数は、従来別々に計上していたが、最近の商品は区別しにくいものが多く、今回からまとめて計上した。
気分をゆったり、リラックスさせる目的で売られているアロマテラピー用オイルの問い合わせが増加し、エッセンス油が前年に比べ倍増していた。

12)発生時刻分布

13)動物の中毒に関する受信件数

おわりに

集計の結果、問い合わせられた起因物質や事故発生状況の傾向は例年とほぼ同様の結果を示した。品目別受信件数においては世相を反映し、わずかではあるがその傾向に変化がみられた。また、集計結果には示していないが、外国製品(日本国内では販売・流通されておらず、国外から持ち込まれたことが明らかなもの)の問い合わせ件数は、129件あった。これら外国製品の中には、インターネットを介した個人輸入で購入した製品が目立っていた。
外国製品に加え、国内で毎年新規に販売されたり、処方変更される商品は膨大な数に達するが、少なくともその成分・組成等は、商品が市場に登場すると同時に把握できれば、より的確に情報提供できる。新しく合成・発見される化学物質や、次々に解明される既存の化学物質の毒性情報も含め、これらの情報をいかにして継続的に効率よく収集するかが、中毒情報センターにとっての課題である。
最後に中毒110番の賛助会員専用電話以外の問い合わせ電話番号を紹介する。

[中毒110番]
ダイヤルQ2 
0990-50-2499 24時間 無休(大阪)
0990-52-9899 9:00~17:00 12/31~1/3を除く(つくば)

医療機関専用有料電話
06-6878-1232 24時間 無休(大阪)
0298-51-9999 9:00~17:00 12/31~1/3を除く(つくば)

賛助会員専用電話
(賛助会員にのみ専用番号を通知。1年毎更新)
なお、賛助会についての資料請求は、以下へFaxにてお申し込み下さい。
(財)日本中毒情報センター本部事務局 FAX 0298-56-3533 TEL 0298-56-3566