岩手日報社発行の文芸誌「北の文学」第89号の優秀作は、北上市村崎野の浅野文月さん(47)の小説「飛んだ男の残したものは」に決まった。

 浅野さんの作品は、刑務所出所者を雇う土建会社を舞台に、番頭の視点から業界の裏側をリアルに描いた物語。登場人物を巧みに書き分け、深い闇の世界を浮かび上がらせた作品と高く評価された。応募は10回目で、81号で初入選した。

 89号の応募は小説26編、文芸評論1編だった。事務局の予備選考を通過した小説10編を最終候補として選考会を開催。編集委員の鈴木文彦さん(東京都、盛岡市出身)、久美沙織さん(長野県、盛岡市出身)、大村友貴美さん(横浜市、釜石市出身)の合議により優秀作1編と入選作3編を選んだ。

 優秀作には賞状と賞金10万円を贈り、入選作と共に11月発行の「北の文学」89号に掲載する。

 入選作は次の通り(敬称略)。

 ◇小説▽「サヨナラ」相川健斗(36)=北上市▽「潮騒と陽炎」森本翔太(34)=盛岡市▽「狐沢橋」齊藤千蟻(72)=盛岡市