劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness- [DVD]
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2007/02/21
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星の数ほど人がいて、星の数ほど出会いがあるそして……別れ……
映画の冒頭で、ルリのこの言葉を聞いた瞬間にやはりこれはナデシコなのだと実感出来ました。
なかなかショッキングな内容で始まる劇場版ナデシコを、映画館で見たのは今回が初めて。
映画が公開された当時、私は8歳でしたからね……nhkのbsアニメ劇場で、ccさくらとか見てた時期ですよ(笑)
なぜか父親と一緒にその時期にエヴァを見ていた記憶はありますが……
さてリヴァイバル上映を行うことを知ったのは監督の佐藤竜雄氏のツイートからで、すぐに友人と見ることを決定しました。
新宿バルトナインで21時からの回と23時からの回があり、私は2回めの23時スタートでした。(21時からのはあっという間に予約が埋まってしまったみたいなので)
レイトショー的な時間は、べびプリ以来かな?なんて思ったり(笑)
初めて映画館で劇場版ナデシコを見て、懐かしさなども当然ありますが改めて素晴らしい作品だと思いました。
アキトとユリカがなぜか死んでいて、tv版で最も人気のあったホシノ・ルリを主人公とした映画版(ちなみに私は今でもあらゆる作品のキャラの中で今でも一番ホシノ・ルリが好きです)。
TV版に比べてシリアスな展開ではありますが、キャラの魅力は存分に描かれていました。
例えばルリが最初にアキトの存在が関与している可能性を認識した時。
アキトと口にした時の、彼女の笑み。
それは彼が死んでからその言葉を口にすることはなかなか無くて、そう発することができたことの喜び。
ただただ、また彼の名を呼ぶことができた。
それだけなのに、彼女は普段あまり見せることのない少女らしい笑顔を浮かべていました。
ちょっと頬がピンクに染まったその笑みがもう可愛すぎて悶える!
アキトは復讐者となっていますが、それでもやはりアキトなんだと思えるシーンはやはり「リョーコちゃん」と思わずピンチに声をかけてしまうシーン。
関係ないなら放っておけば良いはずなのに、それでも彼は声をかけてしまった。
変わってしまってもやはり彼は「アキト」であり、見捨てることなんてできなかったというのが痛いほど伝わってきました。
昔は昔と言いながらも、やはり彼にとってナデシコという「過去」は大切なものなんだというのが分かります。
テンカワ特製らーめんのレシピをルリに渡すシーンは、何度見ても切ない。
カッコつけと攻めるルリに対し、改造された姿を晒すアキト。
本当は、見せたくなどなかったのだと思います。そんな自分の姿を。変わってしまったテンカワアキトと。
死んだままにしていたのは、危険に晒したくないのももちろんあったと思いますが、見られたくなかったという気持ちも多少あったような気がします。
もう君に、ラーメンを作ってあげることはできない…
このセリフが切なくて、とにかく切なくて。
彼が五感の大半を奪われた時、すぐに納得はしなかったでしょう。何とかならないか、様々なことをしたことは容易に想像ができます。
それでも、できなくて。自分のらーめんの味が再現できているかも分からなくて。
それが料理人である彼にとってどれほど辛いことだったか。
TV版終了後に家族となったルリのために、ラーメンを作ってあげることもできなくて。
このセリフがいかに、テンカワアキトという人物が死んだと彼自身が思っているかを表現していました。
泣くだろこれは……
友人はアカツキナガレが「金持ちなめんなよ」と三枚目を演じるシーンが好きとのことでしたが、そのシーンで気になったのはむしろメグちゃんとホウメイガールズたちでした。
ライブ会場に敵が来た……という設定で最初は笑顔でライブを実行していた彼女たち。
しかし迫り来る敵が銃を向けた時に、彼女たちは彼らをまっすぐ見つめました。
ああ、これは彼女たちの戦いなんだというのが非常に伝わってきました。
ディストーションフィールドは展開されているものの、むき出しの殺意はやはり怖いと思います。
それでも揺るがない彼女たちの目は、戦っていることを私たちに伝えています。
宇宙にいったメンバーたちとは違うやり方で、彼女たちだからこそできる戦い方で。
アキトと特に関わりの深い彼女たちですから、やはり様々な想いがあったのだとでしょう。
昔見た時には、これに気づけませんでした。あの表情のカットには、これが彼女たちの戦い方なんだというメッセージが込められているのだと思います。
イネスさんが説明お姉さんとして登場するシーンも素晴らしかった。
珍しく照れの入った、はにかんだような表情。
死亡したことにして隠れていた彼女も、やはりみんなと会いたかったのだと思います。
かつての自分を思い出していたのでいたのか、説明しましょうと照れながら話すイネスさんは正直可愛かった。
きっとこれも、ずっと言いたかった言葉なんでしょう。ルリのアキトと同じように(笑)
他にも銭湯のカポーンと言ったシーンや、3人娘とのやりとり、ウリバタケさんのこんなこともあろうかと……など見どころはたくさんありますが、なんといっても最後の戦闘シーンが熱い。
アキトが決着をつけた時、エステバリスの目から漏れるオイル。それはまるで涙のようで……
この演出はニクい。そして熱い!
やはり劇場版を見終わった他の方々もこのシーンについて話している姿がチラホラ見えました。数あるロボットアニメの演出の中でも、屈指の名シーンと言っても過言ではないでしょう。
EDの「Dearest」に入ると、劇場内には音楽とわずかな息遣いしか響かなくなり、曲が終わるその瞬間までをかみしめようとする空気が全体に作られていました。
ああ、みんな本当にナデシコが好きなんだ……そんな空気を会場内で共有できました。
今回のリヴァイバル上映で、様々なシーンの魅力に改めて気づきました。
そして大画面で見る迫力もさることながら、1番は臨場感のある音楽。
エステバリスの戦闘シーンで流れる音楽を聞いた時、震えるほど懐かしくなりました。
体全体でナデシコを体感している、劇場で見るからこその体感だったと思います。
家で見ても当然楽しめますが、劇場で見たほうがもっと楽しめました。
本当に行って良かった。
機動戦艦ナデシコは、本当に素晴らしい作品なので、未視聴の方はぜひぜひ。
昔好きだったなあ……という方はブルーレイボックスとか買うと良いんじゃないでしょうか!(笑)
『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』を、みんなで見よう!
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