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先週、宮崎駿監督の引退を受け急遽紅の豚が放送されました。
いやあ、見終わった後自然と泣いていました。
号泣というわけではなく、一筋の涙が頬を伝う……と言ったレベルでしたが。
昔からその辺の子どもと同じようにジブリが好きだった私は、小学生くらいまでの頃はラピュタが一番好きでした。
中学生くらいから、それと同じくらい紅の豚が好きになっていました。
ユーモアもエスプリも、そしてダンディズムも持ち合わせているポルコに憧れて。
ジブリのヒロインの中でも、フィオやジーナは特に好きになっていました。
そんな私は先週の放送まで、紅の豚は見終わった後やっぱり面白いなあもう!くらいの感想でした。
魅力は色々ありますが、見終わった感想は「面白かった」という一言で大体まとめられます。
それが先週の放送を見た時、「切ない」という感想を持ちました。
切なさを感じた時、私は泣いていました。
終盤までは、単純に物語を楽しんでいたと思います。
ポルコとフィオのやり取りにニヤニヤしたり、空中戦にワクワクしていたり。
しかし最後に、作中で楽しかったやり取りが「過去」としてフィオに話された時、たまらなく切なくなりました。
私が今楽しんでいたポルコたちの光景が、急激に「過去の楽しく懐かしい時間」という扱いを受けた時に、胸に来るものがありました。
以前なら気にならなかったそのナレーションが、刺さる。
きっとそれは、私の通り過ぎていった懐かしく楽しい過去を喚起させるものだったから何だと思います。
まだまだ20代前半の若造ですが、それでも20年余りの「通りすぎていった過去」があります。
その時間を、あの映画の最後は私たちに思い出させているのでしょう。
20代前半の私でさえ、こうなるという事実。
私より年上の方は、さらに思うことは多いでしょう。
積み重ねてきた過去。あの映画の終盤は、その積み重ねの分だけ見た人の想いを溢れさせる。
子供の頃よりは、私も単純に年をとったということなのでしょう。
楽しかった過去を、振り返ることがある程度には。
ナレーションで、あっさりと後日談を語るというのがもう反則的に切ないんですよね。
まさにそれが、先ほどまで見ていたフィオ争奪戦が過去であることをはっきりと主張していて。
淡々としながらどこか爽やかで、しかし切ない終わり。
あの終盤のナレーションを、私はそう評します。
今まであまり気にならなかったのが嘘のように、このシーンが好きになりました。
最後のEDテーマは反則でしょう。涙腺ブレイカーにも程がある。
約束された涙の歌というレベル。まだ泣いていない若い方もこの意味を、いつか理解すると思います(偉そう)
「時には昔の話を」
もうこの歌を含め、本当にラストは我々の過去を喚起させますね。ズルい!
時には昔の話を(映画ver.)加藤登紀子/宮崎駿「紅の豚」水彩画集 - YouTube
「紅の豚」が、面白い映画から「面白くて泣ける」映画になりました。
数年後見た時、私はきっと今より涙を流すのでしょう。
- アーティスト: サントラ,加藤登紀子,久石譲
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