Pearl Flute Gallery Tokyo Report
東京上野にあるPearl Flute Gallery TOKYOは、いつでもベストコンディションのPearl Fluteがショーケースに並べられ、アクセサリーやケース、楽譜やCDなどが揃うまさにフルートティストの為の空間。レッスンに通うユーザー、フルートに関するお悩みを持つ方を心地よく迎えてくれる素敵な場所です。
先日、そんなPearl Flute Gallery TOKYOへお邪魔し、スタッフのみなさんに貴重なお時間を割いていただき取材を行いました。石橋楽器の各店舗でも販売中のPearl Fluteですが、普段聞けない基本的なお話から、カタログを見ただけではなかなか伝わらないその魅力について存分に語っていただきました。
パールフルートギャラリー東京 マネージャー
溝口 雅之さん
インタビューに答えていただいたのは、Pearl Flute Gallery TOKYOマネージャーの溝口 雅之さん。技術者として製造の現場を経験し、現在はリペアマンとしてもPearl Fluteユーザーを支える溝口さんにPearl Fluteについて伺いました。
≪溝口さんの経歴≫
【1987年パール楽器製造株式会社入社、国内フルート工場勤務、1991年台湾フルート工場へ異動、現地の製造技術等を習得、指導し、1995年帰国。
その後国内フルート工場修理担当として又、パールフルートギャラリー東京、修理部門を2004年まで担当。2012年からパールフルートギャラリー東京マネージャーとして現在に至る。】
◆パールフルートギャラリーとは
名前は聞いたことあるけど、実際にどんな場所で何が出来るところなのか解らないという方も多いと思いますので、簡単な説明をお願いしました。
溝口さん≫
パールフルートギャラリーは、フルーティストがパールフルートを自由に試奏出来る場所です。吹奏楽でフルートを担当している学生の方から、趣味で演奏されている方、もちろん演奏家の方までどなたでもご自由にご利用いただけますので、お気軽にご来店下さい。
また、トッププレイヤーによるレッスン教室や、リペアブースも併設しており、パールフルートに関するすべてのご相談に対応しています。
パールフルートを吹いてみたいという方はもちろんの事、フルートに関するお悩み・ご質問も承っておりますので、お気軽にお越し下さい。
◆パールフルートの魅力
現在ではさまざまなフルートメーカーが存在し、特に日本国内のフルートメーカーは世界で活躍するフルーティストに高い評価を得ています。そんな中でもフルーティストから絶大な支持を受けるパールフルートの魅力について、お伺いしました。
溝口さん≫
私たちが作り上げるパールフルートの魅力のひとつは、明るい透明感のある音色にあると思っています。また、ユーザーの皆様からは「音程が良く音の繋がりが良い」、「響きが柔らかく、柔軟に音色が変えられる」と評価をいただいております。
その他、後程ご説明致しますパールフルートの得意とする1本芯金・ピンレスシステムというメカニズムを全機種に採用し、こだわりを持って製品製造を行っています。
◆1本芯金・ピンレスシステム
パールフルートといえば、エントリークラスからハンドメイドクラスまで全機種に搭載されている「1本芯金・ピンレスシステム」が特徴的です。パールフルートには当たり前のように搭載されていますが、卓越した技術があるからこそ出来るそのメカニズムについて、解説していただきました。
溝口さん≫
「1本芯金」:
左手の芯金をセンターポストまで分けることなく1本で通し、芯金が動かない構造です。左手のパーツが芯金の動きに影響されずに独立して動く事で、スムーズなキィアクションが得られます。
「ピンレスシステム」:
まず、従来芯金とキィを固定する方法は芯金・キィに穴をあけ細い釘を打ち込むような方法で固定していました。この従来の方法ですと、芯金・キィに穴をあけることで芯金が曲がりなどのトラブルに弱くなってしまっていました。その上、キィの隙間から汗の侵入を許してしまい、芯金の腐食・曲がりの原因となると考えられています。
パールフルートは釘を打ち込む代わりに、キィ・パーツに雌ネジをデザインし、ねじ止めで芯金を固定するピンレスシステム開発することでその問題を解決し、汗の進入を防いで芯金の腐食や曲がりなどのトラブルが起こり辛いメカニズムを開発しました。
▲1本芯金
▲ピンレスシステム
◆頭部管について
フルートの音色は頭部管で決まる!!なんて聞いたことは無いですか?
やはり、各メーカー頭部管は非常にこだわりを持って開発・製造されているようで、さまざまなユーザーの好みを叶えられるようモデルが販売されています。今の音色に満足出来ずにお悩みの方は、選択肢として頭部管を代えてみるのはいかがでしょうか。
しかし、サックスやトランペットのマウスピースなどと比べると、気軽に買ったり出来る値段じゃない上、試したり出来る環境が少ないのも事実ですよね。
Pearl Flute Galleryでは、様々なモデル・材質の頭部管が試奏可能なので、Pearl Flute Galleryスタッフの方にアドバイスを貰いながら理想の音色を作ることが出来るかもしれません。今回はPearl Flute Galleryスタッフの山崎さんにご協力いただき、現在販売中の頭部管4機種について吹き比べを行いました。
-カーヴド・テーパー採用-
「VO」 :カーヴド・テーパーを採用し、あらゆる音域で豊かな音量を発揮します。
バランスの良い吹奏感と幅広いダイナミックレンジが得られます。
(F-6700シリーズ以上のモデルに標準搭載)
「VF」 :VOと同様のカーヴド・テーパーを採用し、独特のリッププレート形状をもつ頭部管です。
パワフルなサウンドと幅広いダイナミックレンジが特徴で、海外のトップフルーティストに愛用されています。
「VC」 :カーヴド・テーパーを採用し、VFの持つ幅広いダイナミックレンジはそのままに、程よい抵抗感を持たせた頭部管。
コントロール性を重視した、柔らかい音色が特徴です。
-ストレートテーパー採用-
「PHN-1」 :パールサウンドのルーツとも言うべき、柔らかくしっとりとした音色が特徴で、
繊細な音色の変化に素早く対応するタイプです。
「PHN-3」(受注生産品モデル) :アンダーカットが施されていないタイプで、クラシックな響きが得られます。
溝口さん≫
現在、Cantabile以上のモデルでは5種類「VO,VF,VC,PHN-1,PHN-3(受注生産)」の頭部管からご自分のサウンドに合わせて選んでいただく事もオプションとして可能です。
(在庫状況にもよりますので、予めギャラリーにお問い合わせください。)
※指定がなければ標準搭載の「VOタイプ」が付属致します。
VIDEO
◆フルートユーザーにやってほしいお手入れについて
お手入れ方法については、楽器を購入した際の説明書や入門用の教則本に記載があったり、部活の先輩に教えて貰ったり、インターネットで調べたりしてやっていただいていると思いますが、本当にその方法が正しいのかな?と不安になった事がある方もいらっしゃるかもしれません。演奏後ケースにしまうまで、最低限ユーザーにやってほしいフルートのお手入れ方法を教えていただきました。
溝口さん≫
演奏後は、必ず掃除棒・ガーゼクロスを使用して、管内の水分を取り除いて下さい。演奏の途中でも水分が多く感じられたら、可能な場合には掃除棒を通すようにして下さい。
(サックス・クラリネットのスワブ通し・金管楽器のつば抜きと同じですね)
よくご相談を受ける、タンポ(パッド)のベタつきを防止するには日頃からのケアが効果的です。クリーニングペーパーをタンポとトーンホールの間に挟み、軽くタップさせて下さい。この時に引っ張ってはいけません。
後は、クロスで本体表面の汚れを軽く拭き取りましょう。キィは縦に、タンポが痛む(毛羽立つ)原因になるので、タンポがクロスに触れない様に気を付けて下さい。演奏後はケースにしまい、出来る限り湿度を一定に保ち、衝撃などが加わらないように保管しましょう。