連続セミナー2023「人とAIが共生する社会に向けた情報技術」-情報処理学会

連続セミナー2023「人とAIが共生する社会に向けた情報技術」

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第2回【6月27日(火) 10:00~12:00】

AIセキュリティ-インフォデミックから人々を守る-


近年、AIを利用した多くの製品やサービスが世の中に浸透し、AIの意思決定が人々の生命や多くの産業に影響を与えるものになっている。AIによる意思決定から人間が徐々に排除されていく中で、設計原理としてAIセキュリティを考慮する必要性が高まっている。本セミナーではAIセキュリティをテーマに全2回にわたって、AIの脆弱性からシステムをいかに守るか、インフォデミックからいかに人々を守るかについて考える。
  • [10:00-10:10]オープニング

    大塚 玲
    大塚 玲(情報セキュリティ大学院大学 情報セキュリティ研究科 教授)

    【略歴】1991年大阪大学工学研究科博士前期課程修了。2002年東京大学大学院工学系研究科電子情報工学専攻博士課程修了。博士(工学)。2005年4月より産業技術総合研究所。2017年4月より情報セキュリティ大学院大学教授。電子情報通信学会、情報処理学会、IEEE、IACR、IFCA各会員。電子情報通信学会バイオメトリクス研究専門委員会(BioX)顧問。JNSAサイバーセキュリティ産学連携協議会チェア。人工知能学会安全性とセキュリティ研究会(SIG-SEC)主幹事。
  • [10:10-10:40]Session1「インフォデミック時代におけるフェイクメディア克服の最前線」

    越前 功

    顔、音声、身体、自然言語などの人間由来の情報をAIが学習し、本物と見紛うシンセティックメディアの生成が可能になった。シンセティックメディアは、コミュニケーション分野やエンターテイメント分野など様々な用途で活用されている。一方で、シンセティックメディアの負の側面として、詐欺や思考誘導、世論操作を行う目的で、フェイク映像、フェイク音声、フェイク文書といったフェイクメディアを生成、流通させる事例が発生しており、社会に恐怖や混乱を引き起こす不確かな情報の氾濫「インフォデミック」が危惧されている。本講演では、このようなフェイクメディアによる脅威を概説するとともに、講演者らがJSTの戦略事業(CREST)のもとで現在進めている研究プロジェクト。「インフォデミックを克服するソーシャル情報基盤技術」(CREST FakeMedia)の最新の研究成果について紹介する。

    越前 功(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授)

    【略歴】1997年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了(応用物理学)。日立製作所システム開発研究所を経て、現在、国立情報学研究所 情報社会相関研究系 研究主幹・教授。同研究所 シンセティックメディア国際研究センター長。東京大学 大学院情報理工学系研究科 電子情報学専攻 教授。2010年ドイツ・フライブルク大学客員教授、2011年ドイツ・マルティン・ルター大学客員教授。2016年 情報セキュリティ文化賞、2014年 ドコモ・モバイル・サイエンス賞など受賞。IFIP TC11日本代表。博士(工学)(東京工業大学)。
  • [10:40-10:45]休憩

  • [10:45-11:15]Session2「高度化するフェイクニュースの実態」

    笹原 和俊

    2016年の米国大統領選では、フェイクニュースがSNS上に氾濫して社会を混乱させた。2020年は、新型コロナのパンデミック発生にともない、反ワクチン言説や陰謀論が氾濫した。2022年には、ロシアのウクライナへ侵攻に関係してSNSがプロパガンダの拡散に使用されたり、生成AIによるコンテンツの拡散が生じている。嘘やデマ、陰謀論やプロパガンダ、フェイクコンテンツ、こうした虚偽情報がSNSを介して大規模に拡散しする現象は、人間と技術の相互作用が生み出す複雑な現象であり、私たちの日常生活や民主主義を脅かす深刻な社会問題である。本講演では、フェイクニュースの拡散に関わるミクロ要因(認知バイアス、社会的影響)やマクロ要因(エコーチェンバー、フィルターバブル)に関する計算社会科学の知見を紹介する。また、フェイクニュースの拡散を抑止するためのプラットフォームレベルでの行動介入技術について紹介する。

    笹原 和俊(東京工業大学環境・社会理工学院 准教授)

    【略歴】2005年東京大学大学院総合文化研究科修了。博士(学術)。名古屋大学大学院情報学研究科助教・講師を経て、現在、東京工業大学環境・社会理工学院准教授。国立情報学研究所客員准教授。専門は計算社会科学。主著に『フェイクニュースを科学する 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ』(化学同人)、『ディープフェイクの衝撃 AI技術がもたらす破壊と創造』(PHP研究所)がある。
  • [11:15-11:20]休憩

  • [11:20-11:50]Session3「AIとディスインフォメーション─法的規制の動向から─」

    湯淺 墾道

    AIの利活用に際して懸念されている問題の一つが、ディスインフォメーションへの利用である。近年、ディスインフォメーション対策はサイバーセキュリティの主要課題の一つとなっているが、各国における対策や法的規制の態様はさまざまである。米国ではディスインフォメーションを通じた選挙干渉には連邦軍も対処に当たることを可能としたほか、中国ではデータセキュリティ法を制定してAI関連技術の研究開発に利用するデータ自体に規制を加え、EUではAIの利用形態自体に対する規制の動きがある。各国における法的規制の動向を紹介し、法的規制の是非自体も含めてAI関連技術の研究開発を妨げずにその社会的弊害の発生を抑止する方法について考えることとしたい。

    湯淺 墾道(明治大学 ガバナンス研究科 教授)

    【略歴】1970年生。青山学院大学法学部卒。慶應義塾大学講師、中央学院大学講師等をへて2004年九州国際大学法学部講師、2005年助教授、2008年教授、副学長。2011年情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科教授、2012年学長補佐、2020年副学長。2021年明治大学専門職大学院ガバナンス研究科教授。総務省情報通信政策研究所特別研究員、国立研究法人科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(情報社会における社会的側面からのトラスト形成)プログラム総括ほか。
  • [11:50-12:00]クロージング

    大塚 玲
    大塚 玲(情報セキュリティ大学院大学 情報セキュリティ研究科 教授)

    【略歴】1991年大阪大学工学研究科博士前期課程修了。2002年東京大学大学院工学系研究科電子情報工学専攻博士課程修了。博士(工学)。2005年4月より産業技術総合研究所。2017年4月より情報セキュリティ大学院大学教授。電子情報通信学会、情報処理学会、IEEE、IACR、IFCA各会員。電子情報通信学会バイオメトリクス研究専門委員会(BioX)顧問。JNSAサイバーセキュリティ産学連携協議会チェア。人工知能学会安全性とセキュリティ研究会(SIG-SEC)主幹事。
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