(追記あり) 「かわいいだけじゃだめですか?」はアイドル/ダンスボーカルグループ曲の理想のチャート動向では - イマオト - 今の音楽を追うブログ -

イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) 「かわいいだけじゃだめですか?」はアイドル/ダンスボーカルグループ曲の理想のチャート動向では

(※追記(11月27日6時10分):アンジュルム「初恋、花冷え」におけるビルボードジャパン総合ソングチャートの当週順位を当初8位と記載していましたが、正しくは9位でした。つきましては訂正後の表に差し替えております。また同曲はサブスク未解禁につき、再生回数欄の表記を"(不明)"から"(未配信)"に訂正しています。心よりお詫び申し上げます。)

 

 

 

最新11月20日公開分ビルボードジャパンソングチャートではトップ10内に5曲が初登場。フィジカルセールス指標上位5曲がすべて入った形ですが、CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」がフィジカルセールス指標5位ながら総合ではロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」に次ぐ2位に到達した点に注目です。

(上記は11月20日公開分ビルボードジャパンソングチャートのCHART insightについて、フィジカルセールス指標の上位順に並べ直したもの。総合順位は左側に表示されています。なお総合および各指標の順位は20位までが表示されています。)

 

11月20日公開分ビルボードジャパンソングチャートで初めてトップ10入りした5曲の指標構成は大きく異なります。今回は金曜に公開しているCHART insightからヒットを読む カテゴリーのエントリーに倣い、5曲のCHART insightをチェックします。

<2024年11月20日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 当週初めてトップ10入りした作品のCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」(総合2位 フィジカルセールス指標5位)

・NEWS「あっちむいてほい」(総合4位 フィジカルセールス指標1位)

・IS:SUE「THE FLASH GIRL」(総合6位 フィジカルセールス指標2位)

・僕が見たかった青空「好きすぎてUp and down」(総合8位 フィジカルセールス指標4位)

アンジュルム「初恋、花冷え」(総合9位 フィジカルセールス指標3位)

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」と他の4曲との大きな違いは、ストリーミング指標の獲得有無にあります。

CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」は既に前週の段階でストリーミング指標が18位となり、総合でも19位に上昇していました。この曲、さらに同じくKAWAII LAB.に所属するFRUITS ZIPPERについては前週ブログで採り上げたのですが、「かわいいだけじゃだめですか?」はフィジカルセールス指標初加算週にストリーミング指標も13位に順位を上げ、総合2位に躍進した形です。

ストリーミング、そして動画再生指標(11→9位)の上昇は、「かわいいだけじゃだめですか?」がTikTokUGC(”踊ってみた”に代表されるユーザー生成コンテンツ)で人気を得ていることが背景にあります。それぞれの人気を示すチャートではTikTok Weekly Top 20で5連覇の後2週続けて2位、Top User Generated Songsチャートでは最高位となる3位を記録。この人気がソングチャートの接触指標群に波及したことが見て取れます。

また当週、CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」のダウンロード指標は75→38位に上昇しています。フィジカルリリースに伴い所有の選択肢が増えましたが、コアファンと(曲は気になるが歌手のファンというわけではない)ライト層が乖離している場合はこの指標が動きにくい特徴があります。それを踏まえるに、CUTIE STREETにはコアファンに昇華する可能性のあるライト層が付いてきたといえるかもしれません。

 

短尺動画等の人気がストリーミングや動画再生にきちんと波及、ストリーミングが伸びてきたタイミングでフィジカルをリリースし総合チャートで上位進出、そしてフィジカルセールス指標初加算時にデジタルでの所有行動も確認…これらはアイドルにとって理想のチャートアクションではないでしょうか。またコアファンの拡大に伴い歌手活動が安定していくことにもつながると考えられます。

 

 

他方、フィジカルセールス指標1位のNEWS「あっちむいてほい」は、デジタルでもリリースされながらストリーミング指標が加点されていません。サブスクに強い歌手でもすべての曲がヒットするわけではありませんが、この曲の動向からはライト層、そしてコアファンもデジタルに明るいわけではないと読み取れるでしょう。NEWSは「チャンカパーナ」がヒットを続けるゆえ、その曲との連動企画の用意等が有効かもしれません。

そしてアンジュルム「初恋、花冷え」については、多くのハロー!プロジェクト所属歌手同様にサブスクで解禁されておらず、ストリーミング指標が(動画のオーディオストリーミングが極度に強くない限り)加点されない状況です。ハロー!プロジェクトでは先輩にあたるモーニング娘。'24が昨日公開のTHE FIRST TAKEで「恋愛レボリューション21」を披露していますが、ここからサブスク等に波及できないのは機会損失でしょう。

 

 

KAWAII LAB.所属歌手がストリーミング人気に伴い総合ソングチャートを上昇していることを踏まえ、前週このようなタイトルのブログエントリーを記しました。結果的に『第75回NHK紅白歌合戦』への出場は叶いませんでしたが、今回のチャート動向が数ヶ月前にみられていれば状況は変わったかもしれません。KAWAII LAB.の動向を、STARTO ENTERTAINMENTやハロー!プロジェクト等は意識する必要があると考えます。

勿論、この5曲については次週の動向も注視しなければなりません。その点は来週金曜のエントリーで分析しますが、CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」は最も高い位置にとどまる可能性が高いでしょう。