毎週木曜以降は最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えします。
9月26日~10月2日を集計期間とした最新10月5日公開分(10月10日付)ビルボードジャパンソングスチャートは、Ado「新時代」が2週連続、通算6週目の首位を獲得しました。
【ビルボード】Ado「新時代」、YOASOBI「夜に駆ける」に並ぶV6達成 Tani Yuuki「もう一度」総合10位にジャンプアップ https://t.co/83qXxB4AAO pic.twitter.com/O85R5SncRM
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) October 5, 2022
Ado「新時代」はラジオやTwitter指標の順位を下げているものの、カウント対象の6指標がすべて50位以内に入り人気が安定。ストリーミングは1100万回超えを達成しています。これにより通算首位獲得週数はYOASOBI「夜に駆ける」と並び、歴代7位タイとなりました。
『“JAPAN HOT 100”の総合首位獲得記録は以下のとおり。
— Kei (@Kei_radio) October 5, 2022
星野源「恋」11回
Aimer「残響散歌」9回
LiSA「炎」8回
Official髭男dism「I LOVE...」7回
Official髭男dism「Pretender」7回
米津玄師「Lemon」7回
YOASOBI「夜に駆ける」6回
Ado「新時代(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」6回』 https://t.co/a8yPtyVoQo
(記事の引用部分はツイートの『』内で表示。以下同様。)
Ado「新時代」のポイント前週比は90.0%。テレビ出演等目立ったアクションがない場合、デジタルに強い曲のポイント前週比が1割近くダウンするのは通例で「新時代」もそれに倣ったと言えますが、今回トップ10入りした曲においてポイント、順位共に急上昇した作品があります。それがTani Yuuki「もう一度」、そしてなとり「Overdose」です。
・23→10位 Tani Yuuki「もう一度」(ポイント前週比149.8%)
リリース後初の1週間フル加算となりトップ10入りを果たしたTani Yuuki「もう一度」は、獲得ポイントのおよそ4分の3をストリーミングが占めています(上記CHART insightでは青で表示)。ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートでは25→7位に上昇していますが、この理由をビルボードジャパンはこのように書いています。
『前週25位から当週7位にジャンプアップしたのは、Tani Yuukiが9月21日にリリースした新曲「もう一度」。2021年5月にTikTokでサビ部分のみ先行公開されていた楽曲で、(中略) 当週は、最初の1週間フル集計を迎え、再生回数は前週比162%まで伸ばして5,972,867回を記録した。』 https://t.co/U2bcWPus8x
— Kei (@Kei_radio) October 5, 2022
昨年5月のTikTok先行公開に関しては、以前このブログでも取り上げています。
TikTok先行公開(このブログでは”チラ見せ”とも紹介)は、リリース前からの動画活用、そして音源正式リリースの渇望を高める効果があります。またTani Yuukiさんによる「W/X/Y」は上記ブログエントリーで紹介した後、4週間におけるポイント前週比が98.7~101.3%内で推移しており、新曲「もう一度」の登場やそれに伴う各種施策等もプラスに作用したと捉えていいでしょう。
・10→7位 なとり「Overdose」(ポイント前週比121.4%)
なとり「Overdose」は現段階でDAM、JOYSOUND共にカラオケ未配信であるゆえ加算対象指標は5つとなりますが、その5指標の順位がすべてアップしたことが総合ソングスチャートの記事から判ります。
『前週総合10位にジャンプアップした、なとり「Overdose」は7位にランクアップ。ストリーミング、ダウンロード、動画(100位圏外)、Twitter、ラジオ(100位圏外)の5指標で順位を上げており、特に、ストリーミングは前週7,084,241再生から当週8,254,427再生と、約100万再生増加させる躍進を果たした』 https://t.co/a8yPtyVoQo
— Kei (@Kei_radio) October 5, 2022
そしてこの「Overdose」も、TikTokで今年5月に音源の一部が解禁。こちらについては前週初めてトップ10入りしたタイミングで、ブログにて紹介しました。
ビルボードジャパンは最新ソングスチャートの記事にて、Tani Yuuki「もう一度」におけるTikTok先行公開効果を紹介していますが、実はこのような記載は海外でも。最新10月8日付米ビルボードソングスチャートで3位、同日付グローバルチャート(Global 200およびGlobal Excl. U.S.)を制したサム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」について、米ビルボードは記事にてヒットの背景に8月のTikTok先行公開を挙げています。
『Smith and Petras began teasing the single on TikTok in August, with it being used in over 450,000 clips on the platform to date. (Its official video premiered Friday, Sept. 30, with any resulting gains contributing to next week’s, Oct. 15-dated charts.)』 https://t.co/kxR9Cy25QN
— Kei (@Kei_radio) October 5, 2022
『Smith and Petras began teasing the single on TikTok in August, with it being used in over 450,000 clips on the platform to date. (Its official video premiered Friday, Sept. 30, with any resulting gains contributing to next week’s, Oct. 15-dated charts.)』 https://t.co/pi8Nhy5b1f
— Kei (@Kei_radio) October 5, 2022
最新の米ビルボードおよびグローバルチャートトップ10速報については、火曜のブログエントリーにて翻訳し、紹介しています。
すなわち、ビルボードジャパンも米ビルボードも、TikTok先行公開がチャート施策に有効であると実感している、それゆえのチャート解説記事への掲載であるということが見て取れます(実際、サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」はTikTokにて、45万以上もの動画に使用されています)。先述した通り、TikTok先行公開はリリース前からの動画活用、そして音源正式リリースの渇望を高める効果をもたらすのです。
さて、気になるのはTani Yuuki「もう一度」、なとり「Overdose」に共通した、動画再生指標の高くなさ。というより、Tani Yuuki「もう一度」では”欠損”という事態が発生しています。ビルボードジャパンソングスチャートを予想する紅蓮・疾風さんは今回の動画再生指標欠損問題を指摘されています。
Hot 100 結果詳細 & 予想反省②#BUMPOFCHICKEN「#SOUVENIR」#TaniYuuki「#WXY」#Official髭男dism「#ミックスナッツ」#なとり「#Overdose」は想定内の動向。#TaniYuuki「#もう一度」DLが大きく上振れたが、まさかのMV欠測。 @yu___09___11,@taniyuuki_staff は早急に事態改善へと動く必要がある pic.twitter.com/uxYHQvno5w
— 紅蓮・疾風 (@ideal_charts) October 5, 2022
追記
— 紅蓮・疾風 (@ideal_charts) October 5, 2022
なとり「Overdose」もYouTubeとの紐付けが上手くいっていないようです(完全欠測ではないですが)。@Siritoriyowai_ は早急に事態改善に向け動く必要があります。 https://t.co/QQ5RcYmiyI
先述したCHART insight(各ミュージックビデオの下に掲載)では動画再生指標が赤で表示されますが、「もう一度」では動画再生指標が未カウントの状況となっています。一方、集計期間は異なりますが9月23~29日におけるYouTubeのミュージックビデオランキング(→こちら)ではTani Yuuki「もう一度」が12位に入っており、欠損と断言可能です(なおこのランキングでは、なとり「Overdose」は100位以内に登場していません)。
この問題の解決を急ぐ必要がありますが、Tani Yuukiさん、なとりさん共に自主レーベル発ゆえ、ともすれば解決へ早急に動けるのか、欠損を解決できるだけの動画(アップロード等)に関する知識は持ち合わせているのかを不安視する自分がいます。
この問題は、メジャーレーベルや所属芸能事務所から発信された曲のほうが、経験等に基づき早急な解決に至れると考えます。Tani Yuukiさんの作品は音楽配信代行業者であるTuneCore Japanを介してリリースされているため、音楽配信代行業者、ならびにそれらを活用する個人単位でも、動画再生指標を欠損させない知見を持つ必要があるでしょう。欠損させない仕組みを学べる環境があるならば、より好いでのはないでしょうか。