来週水曜に発表される10月26日付ビルボードジャパンソングスチャートが今から楽しみで仕方ありません。というのも、上位登場が確実な2曲が本日解禁されたのです。
10/12(月)
— back number staff (@backnumberstaff) 2020年10月11日
back number
新曲「エメラルド」
配信リリース決定!!
本日21時からスタートするTBS系日曜劇場『危険なビーナス』の主題歌「エメラルド」をドラマ第一話放送直後の日付変わって10/12より配信限定(ダウンロード・ストリーミングとも)でリリースします!https://t.co/FLQA6Hi0Zu pic.twitter.com/MyV2ofDhHu
back numberについては、「エメラルド」サブスク解禁に向けての準備が行われていました。
6thアルバム『MAGIC』
— back number staff (@backnumberstaff) 2020年10月4日
10月5日(月)よりストリーミング配信開始!
「瞬き」「オールドファッション」「HAPPY BIRTHDAY」「大不正解」など計12曲収録https://t.co/rtRDhtjxuQ
同時に収録4曲のMVもYouTubeのback numberチャンネルにてフルバージョン公開!https://t.co/Tcy5GygSWb
ぜひご利用下さい! pic.twitter.com/CWo3CMzPI3
ベストアルバム『アンコール』(2016)より後の作品がサブスクおよびフルバージョンでのミュージックビデオ未解禁だったことへは以前にも疑問視していたのですが、これでback numberもサブスクを積極的に活用する姿勢が見えてきました。
そして本日はLiSA「炎 (ほむら)」も先行解禁。
【配信開始】劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 主題歌、LiSAの新曲「炎」が配信スタート!
— LiSA_STAFF (@LiSA_STAFF) 2020年10月11日
16日の劇場版公開までにたくさん聴いて、是非映画館に足を運んでください!
■炎 DLページhttps://t.co/1qgnNhrLH5
■シングル 炎 プリオーダーhttps://t.co/SgQDbHRrpN#LiSA#炎ほむら#鬼滅の刃
LiSAさんは既にデジタルのみで解禁する曲もありましたが、シングルCD表題曲を、CDが明日以降手に入る状況ながら配信を先行で用意したのは面白い試みです。
back number「エメラルド」そしてLiSA「炎」が本日解禁した理由は、タイアップ作品の余韻をさらに強固なものにしたり、作品公開への期待を膨らませる役割もありますが、ビルボードジャパンソングスチャートのデジタルやシングルCD初加算週のポイントを大きく伸ばすためでもあるはずです。同チャートは構成される8指標がすべて月曜集計開始となり、10月26日付ソングスチャート(集計期間:10月12~18日)においてはデジタル解禁日から一週間分がフルで加算されるわけです。
月曜解禁により大きなうねりを作り上げることができた曲には馴染み深い作品が多いのです。たとえば星野源「アイデア」。
朝の連続テレビ小説主題歌として、そのドラマスタートから3ヶ月以上経過してのリリース。シングルCDは未リリースながら上記ミュージックビデオもデジタル解禁に合わせ、しかもフルバージョンにて公開、Twitter施策等も採られたこの曲は2018年9月3日付で首位を獲得し翌週も連覇を達成しています(ただしサブスク解禁および他の曲のフルバージョンでのミュージックビデオ解禁は翌年夏となります)。実は初登場で首位に立った週、back number「大不正解」もシングルCDセールス初加算週に当たるのですが、ダブルスコアに近いポイント差となっているのです。
またCDでもリリースされた曲の例としては米津玄師「Lemon」が挙げられます。今年8月リリースのアルバム『STRAY SHEEP』発売日までサブスクを解禁しない状況は上記「アイデア」と同じですが、ダウンロードをドラマ『アンナチュラル』(2018 TBS)の放送回直後ではなく月曜0時に解禁したことでこちらも大きなうねりを作ることができました。ダウンロード初加算週である2018年2月26日付でビルボードジャパンソングスチャート2位に初登場すると、シングルCD初週セールスに長けた作品に阻まれ5週間首位を獲れなかったものの高ポイントをキープ。そしてシングルCDセールス加算2週目である同年4月2日付にて遂に首位を獲得したのです。
「アイデア」とは異なり、解禁スケジュールはダウンロード開始→ミュージックビデオフルバージョン公開→シングルCDリリース→シングルCDレンタル開始と2~3週の間隔が空いていますが、言い換えればタイミングをずらして投入することで4つの波を作ることができ、首位に至るまで常時1万ポイント以上を獲得し高い熱を持続させたのです。LiSA「炎」においてもCDレンタル解禁日はCD発売から17日後に当たるため、この「Lemon」シフトに近い形となるでしょう。
(ただ、私見と前置きして書くならば、シングルCDレンタル解禁において歌手もしくはレコード会社の意向が反映され解禁日が一斉にならないことは気になります。レンタル解禁日遅らせ施策は米津玄師さんや坂道グループ等、特にソニーミュージック系列に目立つ気がします)。
back number「エメラルド」そしてLiSA「炎」からはこの2曲が想起された次第。曲への支持、タイアップ作品の人気により大ヒットも見込めるのではないかと思うのですが、あとは現在未解禁のミュージックビデオがどのタイミングで発表されるかが気になるところ。back numberは自身のYouTubeアカウントを解説し『MAGIC』収録曲を含めフルバージョンで解禁しているため「エメラルド」でもフルバージョンでの解禁が期待できる一方、LiSAさんは大ヒットした「紅蓮華」(2019)がショートバージョンとなっていることが引っ掛かります。ショートバージョンが動画再生指標上昇に貢献しづらい件はこのブログで幾度となく述べています。
ショートバージョンの可能性は懸念されるものの、しかしミュージックビデオにおいても両者は最高のタイミングでの投入を狙っていることでしょう。次週以降のチャート動向が実に楽しみです。そしてこれら楽曲の投入タイミングである集計期間初日0時の解禁が標準化されれば、チャート上でも、そして音楽業界全体が活性化されるものと考えます。