LEAPS-ナサズシテナス-
LEAPS-ナサズシテナス-
時間が醸し出すモノの退廃美は、完成時から少しずつその構成要素が減衰していく「趣き」にあり、建築をつくる行為では表せないことがほとんどです。
古い建物をリノベーションしたような「古着的な心地よさ」が主題となったこの家では、あえて不定型なデザイン構成や下地材を仕上素材とした〈完成を為さない〉表現により、あらかじめ減衰させた状態として設計し、「趣き」までに必要な過程が近くなるよう考えました。
角地かつ三角形という敷地の3辺に壁を立てて周辺からの視線の干渉を抑え、次に採光と通風のため3隅に狭間を設けることで、3つの壁が個々に確立を見せる構成としています。それら無作為にも見える3つの壁の狭間により、〈開口は窓〉という形式を意識させず、狭間を開口としたバルコニーやガレージで建物の構成要素を減じています。
また、その狭間の一つからは、少し先にある鎮守の杜が眺められ、何気ないソトへの繋がりを持たせています。(photo:今西浩文)
注文住宅
建築家
竹内 美穂+加藤 純
一級建築士事務所 作人