商品説明
南原 繁 「戦争」経験の政治学
川口雄一 著
定価:8,800円(本体価格8,000円+税)
判型:A5 並製
頁数:358
ISBN:978-4-8329-6896-7
Cコード:C3021
発行日:2024-03-20
●本書の特徴
戦後日本の精神的ファウンダーとしての南原繁――著作集未収録の作品を博捜しつつ、昭和初期の講義プリントとの対照、著作の異版との比較を通して、さらに当時の思想家(左右田喜一郎、蠟山政道、難波田春夫、和辻哲郎、田邊元、田中耕太郎など)との対比によって、戦前・戦中・戦後の時代と対峙する南原の学問的・思想的内実を明らかする。南原政治哲学を近代日本思想史に位置付ける力作。
●目次
凡例
序章 問題の所在と方法:南原の政治思想の内在的理解に向けて
1 南原繁の生涯とその時代:対象の概観
2 問題の所在:南原を対象とした諸研究から
3 本書の方法:二つの視角と手続き
第1章 「価値並行論」および「理想主義的社会主義」:その理論と思想史的位置
1 問題の所在:南原の政治哲学の「中核」をめぐって
2 「価値並行論」の成立・展開・変容:南原の言説追跡
3 南原の「大正デモクラシー」経験:左右田喜一郎と蠟山政道の「文化価値」論
4 「理想主義的社会王義」の成立:南原の「戦争」経験と政治哲学
5 結びにかえて:戦後における「価値」論とその行方
付録 講義プリント×「政治哲学序説』対照表
第2章 「世界秩序」構想と「立憲」主義:「正義」概念との関連
1 問題の所在:「世界秩序」・「立憲」主義と「正義」価値
2 戦前における「世界聯邦国家」と「純粋共和政」:「世界の公民的憲法」の構想
3 戦時期における「全体的協同主義」と「純粋立憲政」:国際経済の「組織的計画」の構想
4 戦後における「世界連邦」構想と日本国憲法:「永久平和」―「正義」の理念の帰結
5 結びにかえて:「永久平和」―「正義」とその担い手としての「共同体」
第3章 「共同体」主義の制度構想と学問的方法:「政治上の合理主義」論とその対極
1 問題の所在:南原の「戦争」経験の契機とその内容をめぐって
2 「政治上の合理主義」と「共同体」:戦前におけるリベラル・デモクラシー批判の展開
3 戦時下の「政治上の合理主義」論とその対極:ゲオルゲ・クライス=「國體明徴」批判の展開
4 「政治上の合理主義」の制度構想と学問的条件:戦後の理論的帰結
5 結びにかえて:「戦争」経験の契機と「政治上の合理主義」
第4章 「共同体」主義と宗教・人格・國體:和辻哲郎の倫理学との対照
1 問題の所在:「共同体」主義と「神政政治思想」とをめぐって
2 南原の政治哲学における「共同体」の位相:「政治」と「宗教」との間
3 和辻の倫理学における「共同体」原理:「宗教」と「芸術」との間
4 結びにかえて:南原の「神政政治思想」批判の思想史的意義
第5章 「国家と宗教」論とその射程:ナチズム批判・「日本神学」批判から戦後「人間革命」論へ
1 問題の所在:「国家」と「宗教」との間の論理をめぐって
2 南原のナチズム批判:戦前と戦中との間
3 南原の田邊哲学=「日本神学」批判:「批判主義」と「日本的キリスト教」との論理
4 南原における「国家と宗教」の論理:戦中と戦後との間
5 結びにかえて:二重革命としての戦後「人間革命」論
終章 南原における「戦争」経験の政治学
あとがき
主要参考文献
人名索引
●著者紹介
川口 雄一(カワグチ ユウイチ)
1982年 東京都生まれ
2013年 成蹊大学大学院法学政治学研究科博士後期課程修了・博士(政治学)
現在 成蹊大学法学部ほか非常勤講師
専攻 日本政治思想史
(本書刊行時の情報です)