商品説明
楡文叢書 5
空海の字書 人文情報学から見た篆隷万象名義
李 媛 著
定価:19,800円(本体価格18,000円+税)
判型:A5 上製
頁数:332
ISBN:978-4-8329-6889-9
Cコード:C3081
発行日:2023-03-31
●本書の特徴
日本現存最古の漢字字書である高山寺本『篆隷万象名義』に情報学、書物学、文字学の三つの視点からアプローチする。原本『玉篇』と『大広益会玉篇』も視野に入れ、古写本を電子テキスト化し、日中の研究の成果を統合して論じる。
●目次
序 文
はじめに
1 本書の目的と方法
2 本書の対象資料
3 本書の構成
4 用語の定義
5 先行研究
6 凡例
〔第1部 多漢字古写本のデジタル化〕
第1章 データベースの構築による情報処理学的な研究方法
1.1 漢字字書データベース
1.2 篆隷万象名義データベース(KTB)
1.3 篆隷万象名義と原本玉篇残巻との対応
1.4 本文データベース化における情報処理上の問題
1.5 本文データベース化から見た文字情報学的な研究方法
1.6 まとめ
第2章 篆隷万象名義の全文テキストと公開システム
2.1 全文テキスト公開の背景
2.2 掲出字認定の成果
2.3 全文テキスト
2.4 公開システム
2.5 まとめ
〔第2部 書物学から写本へのアプローチ〕
第3章 原本調査からみた篆隷万象名義における文字訂正の問題
3.1 原本調査について
3.2 高山寺本に関する先行研究
3.3 本研究の進め方
3.4 複製本による本文解読
3.5 高山寺本の文字訂正をめぐる問題
3.6 天治本新撰字鏡及び図書寮本類聚名義抄における文字訂正
3.7 考察
3.8 まとめ
附録1 A符号有訂正 抹消符
附録2 A符号有訂正 補入符
附録3 A符号有訂正 顛倒符
第4章 篆隷万象名義の近世写本
4.1 近世写本の研究価値
4.2 楊守敬蒐集の篆隷万象名義の近世写本
4.3 高山寺本と近世写本とから見た錯簡の問題
4.4 近世写本による本文研究
4.5 まとめ
〔第3部 デジタル化による写本の本文研究〕
第5章 埋字と脱字
5.1 掲出字数をめぐる問題
5.2 掲出字についての先行研究
5.3 篆隷万象名義における掲出字の種類及び掲出字数の集計について
5.4 埋字と脱字についての分析
5.5 本研究における篆隷万象名義の掲出字の集計
5.6 まとめ
附表1 埋字Aリスト
附表2 埋字Bリスト
附表3 脱字Aリスト
附表4 脱字Bリスト
第6章 字体と字種との区別から見た重出字
6.1 重出字の問題
6.2 重出字に関する先行研究
6.3 篆隷万象名義の重出字についての実際
6.4 原本玉篇残巻との比較
6.5 篆隷万象名義の重出字の分布
6.6 重出字からみる第5帖の特殊性
6.7 重出字の類型
6.8 まとめ
附表5 字体レベル重出字T1
附表6 字種レベル重出字T2
第7章 掲出字の文字同定
7.1 高山寺本の原本字形
7.2 先行研究における文字同定
7.3 掲出字同定の総合
7.4 調査結果
7.5 掲出字翻刻の階層化
7.6 まとめ
第8章 篆隷万象名義における漢文節の意味注記
8.1 篆隷万象名義の中の漢文節
8.2 篆隷万象名義に関する字書的属性と類書的属性
8.3 篆隷万象名義の属性についての先行研究
8.4 原本玉篇残巻
8.5 原本玉篇と篆隷万象名義の注文構成
8.6 篆隷万象名義の意味注記の分類
8.7 篆隷万象名義における漢文節の意味注記の実態
8.8 まとめ
第9章 大乗理趣六波羅蜜経釈文所引玉篇逸文による本文校訂の研究
9.1 日本資料と篆隷万象名義の本文研究
9.2 研究資料
9.3 大乗理趣六波羅蜜経釈文における原本玉篇逸文の分布
9.4 大乗理趣六波羅蜜経釈文における原本玉篇逸文の特徴
9.5 大乗理趣六波羅蜜経釈文の逸文を利用した本文校正
9.6 まとめ
おわりに
参考文献
『篆隷万象名義』用例索引
●著者紹介
李 媛(リ エン/Li Yuan)
1983年生まれ
北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学).
現在:関西大学東西学術研究所アジア・オープン・リサーチセンター「KU-ORCAS」ポスト・ドクトラル・フェロー.
〈主要論文〉
「埋字と脱字:篆隷万象名義の掲出字数をめぐる問題」『訓点語と訓点資料』135、2015年.
「高山寺本『篆隷万象名義』の原本調査報告:文字訂正を中心に」『訓点語と訓点資料』142、2019 年.
「篆隷万象名義における漢文節の意味注記について」『日本語文字論の挑戦:表記・文字・文献を考えるための17章』、加藤重広・岡墻裕剛編、勉誠出版、2021年.
(本書刊行時の情報です)