中耳の慢性的な炎症により、鼓膜が穿孔したり、中耳の周囲の骨が破壊される疾患です。自覚症状は、難聴や耳漏、めまいなどです。保存的な治療で回復しない場合は、手術が必要となります。手術は、鼓室形成術と呼ばれるもので、顕微鏡下や内視鏡下で細かい操作が必要ですが、当科では、経験豊富な専門医が患者さんの治療を行っています。
原因は様々ですが、補聴器が無効な難聴に至った状態です。このような場合、人工内耳埋込術が適応となります。子供から大人まで、音の世界を取り戻せる手術です。顕微鏡下の慎重な操作が必要ですが、当科では、経験豊富な専門医による多くの実績があります。
副鼻腔の慢性的な炎症により、鼻閉や鼻漏の症状が出現する疾患です。さらに悪化すると嗅覚も障害されてしまいます。保存的治療で回復しない場合は、手術が有効です。手術は内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)と呼ばれるもので、低侵襲で合併症が少ない手術です。当科では鼻科専門医が治療にあたります。
ハウスダストやスギなどのアレルゲンへの暴露によって鼻汁・鼻閉・鼻漏・嗅覚障害が出現する疾患です。当科では、内服や点鼻治療だけではなく、脱感作療法や、内視鏡によるアレルギー性鼻炎の手術なども積極的に行っています。
音声が障害される原因は様々です。声帯にポリープができている場合、手術で切除することで音声は改善します。声帯麻痺が原因なら、喉頭形成術が適応になります。精神的な原因の場合もあり、この場合は音声リハビリなどが適応になります。当科では専門医だけでなく経験豊富な言語聴覚士と一緒に、音声障害の原因に応じた、適切な対応を行っています。
年齢や進行性筋・神経疾患などで、嚥下能力が低下すると、経口摂取が困難になる場合があります。ファイバーや造影検査による正確な評価を行った上で、手術療法(喉頭気管分離術など)を行っています。
頭頸部腫瘍とは顔面から頸部にかけて生じる腫瘍のことです。具体的には1) 甲状腺良性腫瘍、2) 甲状腺癌、3) 唾液腺良性腫瘍、4) 唾液腺癌、5) 口腔癌、6)上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、7) 喉頭癌、8) 鼻・副鼻腔癌、9)外耳癌など多くの種類の腫瘍が含まれます。頭頸部癌の発生部位は摂食、咀嚼、嚥下、発声などの日常生活に重要な機能に関わる上、顔面、頸部などの整容に関わる部位であることから、腫瘍によってあるいはその治療のために機能や整容が損なわれることがあります。このため、いかに治療後のQOLを保てるような治療が提供できるか、が重要なポイントになります。
当科では、早期癌の場合、侵襲の少ない、機能温存手術である内視鏡手術を積極的に行うことで、多くの患者さんにQOLが維持できる癌治療を提供できています。進行癌においても手術療法、放射線療法、化学療法を組み合わせた集学的治療を行うことで、可能な限り機能・形態の温存を目指しています。特に手術療法の場合、再建手術を併用することで、機能障害を最小限にできるようにしています。これらの治療は頭頸部癌の治療経験が豊富な頭頸部癌専門医で行っており、当院では実際、多くの患者さんが治療を受けておられます。また2021年より光免疫療法という最新の治療も、当院で行うことが可能となっています。