耳鼻咽喉・頭頸部外科 | 外科系 | 診療科 | 九州大学病院

耳鼻咽喉・頭頸部外科 外科系

基本概要

外来窓口 外来3F
初診日 火・木
再診日 月・水・金
ご連絡先 092-642-5681
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診療科紹介

耳鼻咽喉・頭頸部外科では耳、鼻、口、のど、顔面、頸部の病気を取り扱います。
この領域には、聴覚、嗅覚、味覚、平衡覚といった日常生活を営む上で重要な「感覚」や、摂食、嚥下という
「生命の維持に重要な機能」や、発声、構音という「コミュニケーションに重要な機能」があります。
耳鼻咽喉・頭頸部外科医はこれらの感覚や機能の障害を治療し、患者さんのQOL(Quality of Life: 生活の質)の向上を目指しています。

主な対象疾患とその治療

耳科疾患
1) 慢性化膿性中耳炎/真珠種性中耳炎

中耳の慢性的な炎症により、鼓膜が穿孔したり、中耳の周囲の骨が破壊される疾患です。自覚症状は、難聴や耳漏、めまいなどです。保存的な治療で回復しない場合は、手術が必要となります。手術は、鼓室形成術と呼ばれるもので、顕微鏡下や内視鏡下で細かい操作が必要ですが、当科では、経験豊富な専門医が患者さんの治療を行っています。
 

2) 高度感音難聴

原因は様々ですが、補聴器が無効な難聴に至った状態です。このような場合、人工内耳埋込術が適応となります。子供から大人まで、音の世界を取り戻せる手術です。顕微鏡下の慎重な操作が必要ですが、当科では、経験豊富な専門医による多くの実績があります。
 

鼻科疾患
1) 慢性副鼻腔炎

副鼻腔の慢性的な炎症により、鼻閉や鼻漏の症状が出現する疾患です。さらに悪化すると嗅覚も障害されてしまいます。保存的治療で回復しない場合は、手術が有効です。手術は内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)と呼ばれるもので、低侵襲で合併症が少ない手術です。当科では鼻科専門医が治療にあたります。
 

2) アレルギー性鼻炎

ハウスダストやスギなどのアレルゲンへの暴露によって鼻汁・鼻閉・鼻漏・嗅覚障害が出現する疾患です。当科では、内服や点鼻治療だけではなく、脱感作療法や、内視鏡によるアレルギー性鼻炎の手術なども積極的に行っています。
 

咽頭・喉頭疾患
1) 音声障害

音声が障害される原因は様々です。声帯にポリープができている場合、手術で切除することで音声は改善します。声帯麻痺が原因なら、喉頭形成術が適応になります。精神的な原因の場合もあり、この場合は音声リハビリなどが適応になります。当科では専門医だけでなく経験豊富な言語聴覚士と一緒に、音声障害の原因に応じた、適切な対応を行っています。
 

2) 嚥下障害

年齢や進行性筋・神経疾患などで、嚥下能力が低下すると、経口摂取が困難になる場合があります。ファイバーや造影検査による正確な評価を行った上で、手術療法(喉頭気管分離術など)を行っています。
 

頭頸部腫瘍

頭頸部腫瘍とは顔面から頸部にかけて生じる腫瘍のことです。具体的には1) 甲状腺良性腫瘍、2) 甲状腺癌、3) 唾液腺良性腫瘍、4) 唾液腺癌、5) 口腔癌、6)上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、7) 喉頭癌、8) 鼻・副鼻腔癌、9)外耳癌など多くの種類の腫瘍が含まれます。頭頸部癌の発生部位は摂食、咀嚼、嚥下、発声などの日常生活に重要な機能に関わる上、顔面、頸部などの整容に関わる部位であることから、腫瘍によってあるいはその治療のために機能や整容が損なわれることがあります。このため、いかに治療後のQOLを保てるような治療が提供できるか、が重要なポイントになります。
当科では、早期癌の場合、侵襲の少ない、機能温存手術である内視鏡手術を積極的に行うことで、多くの患者さんにQOLが維持できる癌治療を提供できています。進行癌においても手術療法、放射線療法、化学療法を組み合わせた集学的治療を行うことで、可能な限り機能・形態の温存を目指しています。特に手術療法の場合、再建手術を併用することで、機能障害を最小限にできるようにしています。これらの治療は頭頸部癌の治療経験が豊富な頭頸部癌専門医で行っており、当院では実際、多くの患者さんが治療を受けておられます。また2021年より光免疫療法という最新の治療も、当院で行うことが可能となっています。
 

主な手術・治療

鼓室形成術

慢性中耳炎/真珠腫性中耳炎に対し行います。中耳炎により穴が開いた鼓膜や真珠種に破壊された中耳の微細な構造物を清掃し、可能なら鼓膜から内耳までをつなぎ直して聴力改善を図ります。鼓室形成手術は2-3時間の手術で、通常3-7日程度の入院を要します。
 

人工内耳植込術

補聴器の効果が不十分な高度感音難聴に行います。機能しなくなった内耳に電極を挿入し、本体を頭蓋骨に固定します。人工内耳植込術は2-3時間の手術で、通常3-5日程度の入院を要します。
 

内視鏡下鼻・副鼻腔手術

内服治療でも治らない慢性副鼻腔炎に対して鼻内より内視鏡で拡大して副鼻腔の入り口を大きく開けて鼻腔との通気を改善する手術を行います。通気の邪魔になっている鼻の粘膜腫脹(ポリープ)があれば同時に切除します。また副鼻腔にたまった膿や真菌塊も取り除きます。手術は、通常全身麻酔下で行われ経過がよければ1週間程度で退院となります。
 

口蓋扁桃摘出術

慢性扁桃炎、扁桃病巣感染症(IgA腎症、掌蹠膿疱症、胸肋鎖骨過形成症など)、小児の睡眠時無呼吸症候群に対して行います。全身麻酔下に経口的に両側口蓋扁桃を摘出します。通常の手術よりも術後出血のリスクが高いとされておりますので、術後1週間程度の安静をかねて経過観察入院を要します。
 

耳下腺腫瘍切除術

良性耳下腺腫瘍に対して主に行っている手術です。耳下腺の内部に顔面神経という表情筋を動かす神経が走行しており、その損傷により術後の顔面神経麻痺が問題となります。当科では、顔面神経刺激装置を使用して安全に治療が行えるように配慮しております。良性腫瘍であれば、術後1週間以内で退院が可能です。

その他

初診は火曜と木曜の午前中ですが、予約制です。初診の際は、かかりつけ医から予約センターを通して予約ください。専門外来は、月曜の午前は耳外来再診、水曜の午前は鼻外来再診、金曜の午前は腫瘍外来再診、金曜の午後は音声・嚥下外来再診となっています。