政権電論TVでもわざわざ見城徹社長自ら登場してプロモーションをしていた新書「暗殺」。
すごく面白くて興味深かったので皆様にも読んでいただきたく今回はレビューしていきます。幻冬舎から出版された柴田哲孝氏の『暗殺』は、2022年に起きた安倍晋三元首相の暗殺事件を題材にしたフィクションであり、社会的・政治的な背景を深く掘り下げたスリリングな物語です。この書評では多くのレビューや情報を基に、本書の魅力とその社会的意義について詳細に探っていきます。
フィクションとノンフィクションの境目
『暗殺』は、奈良県で元総理が銃撃され死亡するというショッキングな事件から始まります。その場で逮捕された41歳の男性が本当に犯人なのかを巡る疑問を中心に物語が展開します。手製の銃で背後から襲撃し、宗教団体との繋がりを主張する男ですが、事件の背後にはもっと大きな陰謀が隠されていることが示唆されています。本書の魅力の一つは、フィクションでありながらも、現実の事件に基づいた詳細な描写です。例えば、アマルガム弾（水銀と他の金属の合金）の存在や、その痕跡を消すための執拗な輸血という描写は、非常に具体的でリアルです 。このリアルさにより物語に引き込まれ、フィクションと現実の境界を意識しながら読む楽しさを味わう事ができると思っています。
社会的・政治的背景
『暗殺』は単なるサスペンス小説に留まらず、社会的・政治的背景を深く掘り下げています。特に、安倍元首相と特定の宗教団体（本書では実名は避けていたが実際は統一教会）との関係、警察の捜査の不備、そして政治的陰謀についての考察が興味深いです。多くのレビューでは、これらの要素が物語に深みを与えていると評価されています 。
多くの読者が『暗殺』を高く評価しており、その中にはフィクションと現実の境界を意識しながら楽しんでいるという声が多く見られます。特に、真犯人の存在や事件の背後にある陰謀についての描写が、読者の想像力を掻き立てる要素として挙げられています 。
ーリアリティとフィクションの絶妙なバランスー
個人的には「フィクションではあるが、事実の部分が多く含まれており、どこまでが事実でどこからがフィクションなのか確認しながら読むのが楽しかった」と推理小説的でありながらも史実なのでパラレルワールドを見せられている感覚に陥りますが。特に、安倍元首相の暗殺事件に関する陰謀論に興味を持っている人には、非常に興味深い作品であると評価しています。
ー社会問題に対する洞察ー
「物語が陰謀論的な要素を含んでいるため、単なるエンターテインメントにとどまらず、現実の社会問題について考えさせられる」とも感じます。この点が『暗殺』の大きな魅力の一つであり、読者にとっての価値を高めています 。
ー歴史的背景の巧みな描写ー
下山事件や赤報隊事件のような過去の歴史的暗殺事件も登場し「歴史的背景を丁寧に描写しており、読んでいて非常に学びがある」部分も大いにあります。特に、安倍元首相の政治的な経歴や、その死を巡る陰謀論に対する考察が深く、日本の近代史に興味がある人にもおすすめできる作品です 。
作者：柴田哲孝氏とは
柴田哲孝氏は1957年に東京都で生まれました。日本大学芸術学部写真学科を中退後、フリーのカメラマンとして活動し、その後作家に転身しました。彼はフィクションとノンフィクションの両分野で広く活躍しており、特に社会問題や歴史的事件を題材にした作品に定評があります 。
彼の代表作には『下山事件 最後の証言』、『TENGU』、『クズリ』、『五十六 ISOROKU異聞・真珠湾攻撃』などがあり『下山事件 最後の証言』では、第59回「日本推理作家協会賞・評論その他の部門」と第24回日本冒険小説協会大賞（実録賞）をダブル受賞し、『TENGU』では第9回大藪春彦賞を受賞しています 。柴田氏の作品は、詳細なリサーチと緻密なプロットで知られ、読者に対して深い洞察を提供し、社会問題について考えさせる力を持っています。
まとめ
本書の社会的意義
『暗殺』は、現代社会における陰謀論や政治的背景について考察する絶好の機会を提供します。物語の中で描かれる警察の捜査の不備や政治的陰謀は、現実の社会問題を反映しており、読者に対して現実の事件について再考を促します。また、安倍元首相の暗殺事件を通じて、日本の政治や社会の在り方について深く考えるきっかけを提供します 。柴田哲孝の『暗殺』は、サスペンスとしての完成度が高く、フィクションと現実の境界を巧みに描くことで、読者を引き込みます。社会問題や陰謀論に興味がある読者には特におすすめの一冊です。興味を持った方は、ぜひ手に取ってみてください。
