マンション管理費の支払いがきつい!対処法や一戸建てとの維持費の比較 - よくわかる!不動産売却【ホームズ】

マンション管理費の支払いがきつい!対処法や一戸建てとの維持費の比較

マンションを購入すると、毎月の管理費や修繕積立金などを支払う必要があります。こうした出費について経済的に「きつい」と感じる人も少なくありません。

マンションの管理費の支払いがきつい場合は、生活費を節約したり、最終的には売却などによって対処することもあります。

この記事では、マンションの管理費の支払いがきついと感じている人に向けて、対処法や一戸建てとの維持費の比較などを紹介します。

この記事で分かること

  • マンションの管理費や修繕積立金の基礎知識
  • マンション管理費の支払いがきついときの対処法
  • マンションの管理費以外でかかる維持費
  • 【比較】マンションと一戸建ての維持費
  • マンションの売却を検討するなら無料一括査定がおすすめ

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もくじ

マンションの管理費や修繕積立金の基礎知識

まずは、マンションの管理費や修繕積立金に関する基本的な知識について解説していきます。

  • 管理費の目的
  • 修繕積立金の目的
  • 管理費・修繕積立金の相場

管理費の目的

管理費とは、マンションの共用部分を維持・管理する目的で使われるお金のことです。 具体的には、以下のような用途に使われます。

  • 共用部分(廊下やエントランスなど)の清掃・修繕費用
  • 共用設備(エレベーターや防犯カメラなど)の保守・点検費用
  • 管理会社への業務委託費用

管理費を住民から徴収し、マンションの共用部分をメンテナンスすることで、資産価値の低下を防ぐことができます。住民が快適に過ごすためにも、管理費は必要だといえるでしょう。

修繕積立金の目的

修繕積立金とは、将来行うマンションの大規模修繕工事に備えて積み立てるお金のことです。 大規模修繕工事は、10〜20年周期で実施されるケースが多く、以下のような修繕が行われます。

  • 外壁の塗装や補修工事
  • 屋上の防水工事
  • 給排水管の取替工事
  • その他の補修工事

分譲マンションの修繕工事には、高額な費用がかかるため、毎月一定額を積み立てて備える必要があります。

修繕積立金は、マンションの長期修繕計画に基づいて算出されます。工事や修繕積立金の運営・管理はマンションの管理組合が行うのが一般的です。

管理費・修繕積立金の相場

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、マンション1戸あたりの管理費・修繕積立金の平均は以下のとおりです。

項目 平均(1ヶ月あたり)
管理費 17,103円
修繕積立金 13,378円
合計 30,481円

※管理費・修繕積立金共に駐車場使用料等からの充当額を含む総額
※参考:令和5年度マンション総合調査結果〔概要編〕|国土交通省

なお、管理費・修繕積立金は、マンションの総戸数や築年数などによっても変動します。購入前にそれぞれの金額を確認し、長期的に支払えるかどうかを確認しておくことが重要です。

マンション管理費の支払いがきついときの対処法

マンションの管理費の支払いがきついときは、以下の対処法が選択肢となります。

  • 日常的にできる節約方法を実践する
  • 委託している管理会社の変更を検討する
  • FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談する

日常的にできる節約方法を実践する

マンションの管理費の支払いがきつい場合、まずは日常生活での節約を心がけましょう。 具体的な方法としては、以下のようなものがあります。

  • 電気・ガス・水道の使用量を抑える
  • 食費を見直し外食を減らす
  • 不要な定額サービスを解約する
  • 携帯電話やインターネットの契約プランを見直す

毎月の収入と支出額を把握するには、家計簿をつけるのが効果的です。日々の生活費を抑えることで、管理費を捻出しやすくなります。

また、LIFULL HOME’Sがタワーマンションを過去5年以内に売却したユーザーを対象に、売却を検討したきっかけを調査したところ、以下のような結果になりました。

順位 売却を検討し始めたきっかけ 割合
1 不動産価格が上がっていたので高く売れそうだと思った 37.0%
2 家族環境の変化(同居・出産・結婚・離婚など) 31.4%
3 仕事環境の変化(転職・転勤・リモートワークなど) 22.8%
4 維持・管理費が高いと思った 18.9%
5 家族やご自身の高齢化 13.9%

※参考:売却益1,000万円超が半数以上も「もっと高く売れたかも」の後悔もータワマン売却に関する意識調査結果レポート

「維持・管理費が高いと思った」が第4位にあることからも、マンションの維持費を負担に感じていた人が一定数いることが分かります。

マンション購入の際は、維持費も十分考慮しておく必要があるといえるでしょう。

委託している管理会社の変更を検討する

マンションの管理会社に支払っている委託費用が高い場合は、管理会社の変更を検討しましょう。管理会社を変更する場合、主に以下の手順で進めます。

  1. 管理会社の問題点を理事会で共有する
  2. 複数の管理会社から見積もりを取る
  3. サービス内容や見積金額などを比較検討する
  4. 委託候補の管理会社のプレゼンテーションを開催する
  5. 総会(臨時総会)で管理会社変更を決議する
  6. 委託している管理会社を解約する
  7. 新しい管理会社と契約する
  8. 新旧管理会社による業務の引継ぎを行う

新しい管理会社に変更するには、総会で区分所有者の過半数が賛成する必要があります。管理会社を変更するには、上記のように時間と労力がかかるため、慎重に検討しましょう。

FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談する

どのように家計を見直すか分からない人は、FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談するのも良いでしょう。

FPとは、個人や家族のお金に関する悩みをサポートし、解決策をアドバイスする専門家のことです。FPに相談することで、現状の問題点や解決策、将来に必要なお金などの客観的なアドバイスが受けられます。

FPへの相談を検討する場合、インターネットや日本FP協会のホームページなどから探す方法があります。自分に合うFPを見つけてサポートをもらいましょう。

※参考:FP相談の流れ|日本FP協会

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マンションの管理費以外でかかる維持費

マンションの管理費以外でかかる維持費には、以下のようなものがあります。

  • 税金
  • 住宅ローン
  • 駐車場代・駐輪場代
  • 保険料

税金

マンションを所有していると、固定資産税と都市計画税を支払う必要があります。 それぞれの対象者や税率をまとめると、以下のとおりです。

税金の種類 対象者 税率
固定資産税 固定資産の所有者 1.4%(標準税率)
都市計画税 市街化区域内にある土地・家屋の所有者 0.3%(上限)

毎年1月1日時点の所有者に納税義務が発生し、一般的には一括払いか、4回に分割して納付する方法から選択できます。

なお、居住用マンションの敷地になっている土地は、以下のような税金の軽減措置が設けられています。

土地の面積 固定資産税評価額 都市計画税評価額
200㎡以下の部分(小規模住宅用地) 6分の1 3分の1
200㎡超の部分(一般住宅用地) 3分の1 3分の2

また、マンションが新築や長期優良住宅に認定されている場合、要件を満たすと建物部分の固定資産税評価額が、一定期間2分の1に減額されます。

自治体によっては、税率が異なっていたり、特例を設けていたりする場合があります。詳しく知りたい人は、各自治体に問合せましょう。

参考:不動産取得税、固定資産税・都市計画税(23区内)に関する軽減制度(東京都主税局)

住宅ローン

マンションを購入する際に住宅ローンを利用した場合、毎月返済する必要があります。

住宅ローンの金利は金融機関によって異なります。金利が安い金融機関に借換えることで、住宅ローンの返済負担を軽減することが可能です。

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駐車場代・駐輪場代

自家用車や自転車を所有している場合は、駐車場代や駐輪場代が必要です。

マンションの駐車場は、主に平面式と機械式があり、月額5,000円〜30,000円程度かかります。駐輪場は、一般的に月額1,000円前後が必要となります。

なお、機械式の駐車場は月額料金が高い傾向にあります。安い月極駐車場が周辺にあれば節約につながるため、定期的に調べてみると良いでしょう。

保険料

マンションの所有者は、万が一の災害に備えるために火災保険や地震保険に加入するのが一般的です。住宅ローンを組んでマンションを購入した場合は、火災保険に必ず加入しています。

なお、地震保険は単体で加入できず、火災保険とセットで加入しなければなりません。

火災保険料の契約期間は最長5年間です。保険料は、保険会社や補償内容によって異なるものの、一般的には1年契約ではなく5年の長期契約にした方が抑えやすくなります。

【比較】マンションと一戸建ての維持費は異なるのか

ここでは、30年間にかかるマンションと一戸建ての維持費を比較してみましょう。試算の条件として、マンションと一戸建てにおける1ヶ月あたりの維持費を、それぞれ以下のように設定します。

物件によって税金の額や保険料は変動するため、あくまで目安程度にお考えください。

【条件】※1ヶ月あたり

費用 マンション 一戸建て
税金(固定資産税・都市計画税) 15,000円(※1) 10,000円(※1)
保険料 1,000円 3,000円
管理費 17,000円(※2) -
修繕積立金 13,000円(※2) -
駐車場代 10,000円 -

※1軽減措置の適用などによって変動
※2 前述した「令和5年度マンション総合調査結果〔概要編〕」より引用(100円以下切り捨て)

上記の費用以外にも、建物の修繕費用がそれぞれ必要です。

マンションの場合、共用部分は修繕積立金で対応しますが、専有部分の修繕費用は別途準備する必要があります。

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「2023年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査結果報告書」によると、マンションのリフォームを実施した際の平均費用は、301.7万円でした。そのため、ここでは300万円で設定します。

一戸建ての場合、修繕費用のトータルコストは600〜800万円が目安です。そのため、ここでは700万円で設定します。

以上を踏まえて、30年間にかかる維持費をまとめると、以下のようになります。

マンション 一戸建て
税金(固定資産税・都市計画税) 540万円360万円 240万円
保険料 15万円 30万円
管理費 616万円 -
修繕積立金 482万円 -
駐車場代 360万円 -
修繕費用 300万円(専有部分) 700万円
合計費用(30年間) 2,316万円2,033万円 970万円
1年間あたりの費用 約68万円 約32万円

あくまで仮に設定した条件に基づいた金額ではありますが、一戸建てよりもマンションの維持費の方が多くかかる結果になりました。

一戸建ては支払う費用が少ないものの、修繕費用が高い傾向にあります。一方、マンションは管理費や修繕積立金などを毎月支払う必要があるため、家計の負担が大きくなりやすいでしょう。

維持費以外にも、住宅ローンの返済も行う必要があるため、マンション購入時に入念にシミュレーションする必要があります。

戸建てと比較する際には、購入時にかかる費用だけでなく、ランニングコスも意識しておくべきでしょう。また、立地などにもよりますがマンションの方が資産価値が下がりづらい傾向があります。

マンション管理費の支払いが長期的にきついなら売却も

管理費の支払いが長期的にきついと感じる場合は、売却も視野に入れましょう。マンションを売却することで、管理費の支払いから解放されます。

ここでは、LIFULL HOME’Sが独自で調査した「住まいの売却体験談」における、マンション売却経験者の体験談を2つ紹介します。

(58歳/男性/長崎県長崎市のマンションを売却)

Q:マンションを売却した理由を教えてください。

A:今が売り時だと考えたから、維持費が高いと思ったから

※引用:長崎市のマンションの売却体験談|58歳/男性/契約社員|LIFULL HOME'S(住まいの売却データファイル)

(59歳/男性/神奈川県相模原市のマンションを売却)

Q:マンションを売却した理由を教えてください。

A:維持費が高いと思ったから、住宅・不動産の維持・管理が大変になったから

Q:これから売る人へのアドバイスをお願いします。

A:今回は、名の通った大手企業に仲介をお願いしました。こちらの希望をしっかりと伝えることによって、多くの情報網を駆使して最適な条件を設定して頂けました。仲介業者の選定が重要だと思いました。

※引用:神奈川県相模原市のマンションの売却体験談|59歳/男性/会社員|LIFULL HOME'S(住まいの売却データファイル)

どちらの売却経験者も、マンションの維持費が負担に感じて売却に至った様子が分かります。上記の体験談を踏まえたうえで、マンションを売却する方法を2つ紹介します。

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マンションを少しでも早く売りたい人は、買取も選択肢の1つです。

ここでいう”買取”とは、不動産会社が買主となってマンションを直接買い取る方法を指します。 仲介のように買主を探す手間がかからないため、最短1週間で売却できます。

ただし、買取は仲介での売却相場よりも2〜3割程度安くなるケースが多く、高く売りたい人にはおすすめできません。マンションの売却価格が安くても、とにかく早く売りたい人は買取を、少しでも高く売りたい人は仲介を選ぶと良いでしょう。

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▶︎マンションをすぐ売るには? 売却期間短縮のコツと不動産買取のメリット・デメリット

マンションの管理費に関するよくある質問

ここでは、マンションの管理費に関するよくある質問を3つ紹介します。

  • マンションの管理費が払えないと最終的にどうなる?
  • マンション管理組合の連絡先はどこで調べる?
  • マンション売却時に管理費と修繕積立金は精算される?

マンションの管理費が払えないと最終的にどうなる?

マンションの管理費を払わずに滞納すると、最終的に強制退去させられるおそれがあります。

マンションの管理費を払わないと、管理組合から支払いを催促されます。管理規約によっては、共用施設の利用に制限がかかったり、延滞金を請求されたりするケースもあるでしょう。

催促されても払わないと、強制退去や競売などの法的措置を行使されるおそれがあります。管理費の支払いが困難な場合は、早めに管理組合に連絡していつまでに払えるか、分割払いできるかなどを相談しましょう。

マンション管理組合の連絡先はどこで調べる?

マンションの管理組合の連絡先は、以下のような方法で調べられます。

  • マンション購入時の書類(重要事項説明書や売買契約書など)を確認する
  • マンションの管理会社に確認する

マンションを売却する際は、管理組合に報告する必要があるため、事前に連絡先や手続きの流れを調べておきましょう。

マンション売却時に管理費と修繕積立金は精算される?

管理費と修繕積立金は、マンション売却時に精算されるケースが一般的です。

基本的に、引渡し日の前日までを売主、引渡し日以降を買主が日割り計算で負担します。その他にも、固定資産税や都市計画税も同様に精算されます。

ただし、売主がこれまで積み立てた修繕積立金が返還されることはないので注意しましょう。

マンションの管理費がきついと感じたら早期に手を打とう

マンションを購入しても、管理費や修繕積立金などの維持費は毎月支払う必要があります。マンションの管理費が払えないと、最終的に強制退去させられる可能性があります。

もし、マンションの管理費を払うのがきついのであれば、早期に手を打つことが重要です。日常的にできる節約方法を実践したり、FPへの相談が効果的です。

長期的にきついと感じる場合は、売却を検討することで維持費の悩みから解放されます。マンション売却を依頼する不動産会社を探す場合、不動産ポータルサイトなどが運営する一括査定を利用すれば、一度の入力で複数社に査定が依頼できます。

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記事執筆・監修

矢野 秀一郎(やの しゅういちろう)

不動産会社で2社勤務。1社目では時間貸駐車場の開発営業を中心に携わり、2社目では不動産売買の仲介営業や、一戸建ての分譲工事のプロジェクト、および新築・リフォーム工事の現場監督など、幅広く業務を担当。現在はフリーのライターとして不動産や金融に関する内容を中心にライティング・記事監修を実施。