中古住宅を購入する際、外見や価格だけでは判断できないリスクについても考慮する必要があります。
なぜなら、土地や建物には見た目では分からない問題が潜んでいることがあり、後々大きなトラブルに発展するケースもあるからです。
この記事では、買ってはいけない中古住宅の特徴について、土地と建物それぞれの視点から詳しく解説します。失敗しないための見極め方も紹介するので、中古住宅選びで後悔しないためにも、ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- 買ってはいけない土地の主な特徴
- 買ってはいけない建物の主な特徴
- 買ってはいけない中古住宅の見極め方
- 買ってはいけない中古住宅に関するよくある質問
もくじ
【土地】買ってはいけない中古住宅の主な特徴
中古住宅を選ぶ際、土地の特徴は重要な要素の1つです。
なぜなら、土地の条件は住宅の利便性や安全性に直結し、将来の資産価値にも大きく影響するからです。
ここでは、買ってはいけない土地の主な特徴を紹介します。
- 利便性が著しく悪い
- 地域の治安が悪い
- 災害のリスクが高い
- 周辺に空き家が多数存在する
- 地盤がしっかりしていない
- 隣地との境界線が不明瞭である
- 再建築不可の土地である
利便性が著しく悪い
利便性が悪い土地は、中古住宅購入後に生活の不便さを感じやすく、資産価値も低下しやすいため注意が必要です。
利便性が高いとは、日常生活で必要な施設や交通手段へのアクセスが良好であることを意味します。
一方で利便性の低い、以下のような土地は、日常生活に支障をきたすだけでなく、将来的に売却を考えた際に資産価値が大幅に下がるリスクがあります。
- 最寄駅やバス停まで徒歩30分以上かかる
- スーパーや学校が遠くて車が必須になる
- 商業施設や病院が近くに全くない
- 公共交通機関の本数が少ない
- インフラが整っていない
上記は、特に高齢者や子どもがいる家庭にとって大きなデメリットになるでしょう。
土地の利便性は、生活の質や資産価値に直結します。購入前に周辺施設や交通手段を確認し、実際に生活するイメージを持つことが重要です。
地域の治安が悪い
治安の悪い地域にある中古住宅は生活の安心感が損なわれるだけでなく、資産価値も大幅に低下しやすい傾向にあります。
治安が悪い地域では夜間の外出が不安になるなど、日常生活の安全が脅かされるおそれがあります。さらに、治安が悪い地域に住むことは、教育環境にも悪影響を及ぼす可能性があり、不動産の資産価値を低下させる原因となります。
警視庁が提供している『事件事故発生マップ』などで確認すると、治安の悪さを判断することが可能です。例えば、以下のような事案の発生状況を確認できます。
情報 | 概要 |
前兆事案情報 | 子ども・女性に対する声かけ・つきまとい事案など |
アポ電情報 | 特殊詐欺の犯行予兆電話 |
犯罪情報 | 侵入窃盗、ひったくりなど |
※参考:事件事故発生マップ|警視庁
治安は日常生活の安心感に直結するため、周辺の犯罪情報や住民の評判をしっかりと調査することが大切です。
災害のリスクが高い
日本は自然災害が多い国であり、特に地震や洪水、土砂災害のリスクがある地域は安全性に問題があります。災害が発生すると住宅に甚大な被害が出るだけでなく、修復費用が発生するリスクも高まります。
また、リスクの高い地域は災害保険の費用が高額な傾向にあり、長期的なコストも考慮しなければなりません。
例えば、河川の近くにある土地や、地盤が軟弱であることが判明している地域、過去に大きな地震や洪水が発生したエリアは、災害リスクが高いとされています。
自治体が発行している『ハザードマップ』を確認し、災害のリスクが低い地域を選ぶことが重要です。
周辺に空き家が多数存在する
周辺に空き家が多数存在するエリアの物件は住環境が悪化しやすく、将来的に資産価値が下がるリスクが高くなるでしょう。
空き家が多い地域は住民の入れ替わりが少なく、地域のコミュニティが衰退しやすい傾向にあります。
また、空き家は適切に管理されていないことが多く、老朽化や犯罪の温床となることも少なくありません。周辺環境が悪化し、治安や生活の質が低下するおそれが高まります。
例えば、郊外の古い住宅地で住民の高齢化により空き家が増えている地域があります。このようなエリアでは建物が放置されることで雑草が生い茂り、ゴミの不法投棄が発生しやすくなります。
また、空き家に侵入者が入り込むこともあり、治安面での不安も見逃せません。土地を購入する際は、購入前に周辺環境をよく調査することが大切です。
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地盤がしっかりしていない
地盤が弱い土地に建てられた建物は、地震が発生した際に大きな揺れを受け、建物の倒壊や傾きのリスクが高まります。特に、日本は地震大国であり、耐震性の低い建物は危険です。
また、軟弱地盤の地域では、地盤沈下や液状化現象が発生するおそれがあり、建物自体が損傷するリスクも少なくありません。建物の安全性が確保されにくく、長期的な修繕費用や保険料が高額になる場合もあります。
例えば、過去に河川が氾濫した地域や埋立地は、地盤が弱いことがほとんどです。埋立地は地震や豪雨の際に液状化が発生するリスクが高く、住宅の基礎が破損するおそれがあります。
また、地盤沈下が進行している地域では、建物が徐々に傾いていくことがあり、居住中に不安を感じることになってしまいます。
地盤がしっかりしているかどうかは、事前に『地盤調査報告書』や 『ハザードマップ』を確認することで把握できます。
隣地との境界線が不明瞭である
隣地との境界線が不明瞭な土地は、将来的なトラブルのリスクが高いため購入はおすすめできません。
隣地との境界線が明確でない土地では、隣接する土地の所有者と境界を巡る争いが発生するおそれがあります。特に、日本では境界線の管理が曖昧な古い土地が多く、後々になって隣人との間でトラブルが起こりやすくなっています。
例えば、古い住宅地では境界杭が劣化して見えなくなっているケースが少なくありません。この場合、測量を行わないと正確な境界が分からず、隣接地と自分の土地がどこで区切られているのかが不明確です。
隣地との境界線が不明瞭な土地は、将来的に隣人とのトラブルや法的問題を招くリスクが高くなるため、不動産会社に相談しても境界線の問題が解決できない場合は購入を避けたほうが良いでしょう。
再建築不可の土地である
再建築不可とは、現在の建物が取り壊された場合、新たな建物を建てることができない土地のことを指します。
これは、法律で定められた接道義務を満たしていない土地で多く見られます。建築基準法では、建物を建てるためには4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないとされています。
例えば、狭い路地裏に位置する古い住宅では、再建築不可のケースが多くなります。このような土地では売却時にも買主が見つかりにくく、資産価値が大きく下がるおそれがあります。
再建築不可の土地は、長期的な資産価値の低下や建て替えの制限があります。購入前に土地の接道条件を確認し、再建築が可能かどうかを調査しましょう。
【建物】買ってはいけない中古住宅の主な特徴
老朽化や法的な問題を抱えている建物は、将来的に大きな負担となるおそれがあります。
ここでは、買ってはいけない建物の主な特徴を紹介します。
- 新耐震基準を満たしていない
- 建築基準法に違反している
- 雨漏りが著しく目立つ
- シロアリ被害の形跡がある
- 建物に亀裂や傾きが見られる
新耐震基準を満たしていない
日本では、1981年に建築基準法が改正され、新耐震基準が導入されました。
この基準では、建物が震度6〜7の大地震にも耐えられることが求められています(※)。それ以前に建てられた建物(旧耐震基準)はこれらの規模の地震に対する耐久性が劣っており、倒壊のリスクが高まります。
旧耐震基準の建物は将来的な売却には向きませんが、購入費用が抑えられる点がメリットです。どうしても旧耐震基準の建物が気になる場合は、耐震診断を実施しましょう。
※参考:その他の建物の耐震化:その他の建物の耐震化:進めよう耐震化|東京都耐震ポータルサイト
建築基準法に違反している
建築基準法に違反している建物は住宅ローンの利用が難しいため、購入は避けるべきです。
法令に違反して建てられた建物は、増改築や修繕が制限されることが多く、物件の資産価値が大きく低下するリスクがあります。
また、違法建築が原因で住宅ローンの融資が受けられないこともあります。建築基準法違反の例は、主に以下のとおりです。
- 建ぺい率、容積率を超過している
- 地域ごとに定められた建物の種類や大きさ以外の建物の建築
- 増改築で現行の建築基準法を違反している
購入前に役所で建築確認申請の記録を確認し、建物が適法に建てられているかをチェックすることが重要です。
雨漏りが著しく目立つ
雨漏りが目立つ建物は、構造的なダメージが進行しているおそれがあるため、購入は避けたほうが良いでしょう。
雨漏りは建物の屋根や外壁の防水機能が損なわれている証拠であり、放置すると建物内部にまで浸水し、構造材が腐食する恐れがあります。特に、木造住宅では木材が湿気に弱く、腐敗やシロアリの被害が発生しやすくなります。
また、雨漏り修繕の費用は、屋根や外壁の状態に応じて数万円から数百万円に及ぶことがあります。購入前に雨漏りの原因と修繕履歴を確認し、今後どれほど必要かを判断することが大切です。
シロアリ被害の形跡がある
シロアリ被害のある建物は、構造に深刻なダメージを与えるおそれがあります。
シロアリは木材を食い荒らし、特に木造住宅の構造部分に深刻なダメージを与える害虫です。シロアリによる被害は見た目で分かりづらいことが多く、進行すると建物の強度が著しく低下します。
被害が進行している建物は修繕費が高額になるだけでなく、修繕後も再発リスクがあるため注意が必要です。
建物に亀裂や傾きが見られる
建物に亀裂や傾きが見られる場合、構造自体に問題があるおそれがあるので、購入の判断は慎重に行うべきでしょう。
建物に亀裂が入っていたり、傾いていたりする場合は、地盤沈下や構造的な欠陥が原因となっているおそれがあります。これらの問題は時間とともに悪化し、最悪の場合、建物の倒壊につながるため危険です。
建物に亀裂や傾きが見られる場合は、早急に専門家による調査が必要です。問題が解決できない場合は、将来的な修繕や安全性を考慮して購入は避けたほうが良いといえます。
買ってはいけない中古住宅の見極め方
中古住宅の購入においては、物件の選び方次第で後々のリスクやトラブルが大きく異なります。ここでは、買ってはいけない中古住宅の見極め方を紹介します。
- 自分でも多少の知識を身につけておく
- 余裕のあるスケジュールを立てる
- チェックリストを作成して確認漏れをなくす
- 事前に周辺環境を確認しておく
- ホームインスペクションを検討する
自分でも多少の知識を身につけておく
中古住宅には新築にはない特有のリスクが伴います。
例えば、建物の老朽化や隠れた瑕疵(欠陥や欠点)などがあります。不動産会社や建築士にすべてを任せるのではなく、購入者自身も基本的な建築や法律の知識を持っていると、判断力が向上し、重要なポイントを見逃しにくくなります。
特に、建築基準法や新耐震基準、シロアリ被害の兆候など、基本的な知識を知っておくことで物件選びに役立つでしょう。
余裕のあるスケジュールを立てる
中古住宅を購入する際、焦って決めてしまうと重大な見落としが発生するおそれがあります。例えば、内見の時間を十分に確保せずに購入を急ぐと、後になって建物の重大な欠陥が見つかることも少なくありません。
また、住宅ローンの審査や契約手続きには時間がかかることが多く、余裕のないスケジュールではトラブルが発生しやすくなります。
急いで購入を決めるのではなく、余裕を持って慎重に検討することで、満足のいく住宅選びが可能です。
チェックリストを作成して確認漏れをなくす
中古住宅の購入時には、建物の状態や法的な問題など、確認すべき事項が多数あります。
特に、初めて中古住宅を購入する場合は物件に対する期待や不安が入り混じり、重要なポイントを見逃してしまうことも少なくありません。
例えば、チェックリストには以下の項目を含めるといいでしょう。
- 建物の耐震性(新耐震基準を満たしているか)
- シロアリや雨漏れの兆候
- 周辺環境や交通アクセスの確認
- 建築基準法の違反有無
- リフォームや修繕の必要性
不動産会社と相談しながら、これらの項目を内見や契約前に一つひとつ確認することで、重大な見落としを防ぎ、安心して物件を選ぶことができます。
事前に周辺環境を確認しておく
住宅そのものが問題なくても、周辺環境が悪いと住み心地に大きな影響を及ぼします。
例えば、騒音や交通量、夜間の治安など内見だけでは分からない情報も多くあります。近くにゴミ処理場や工場がある場合、生活の質に影響することも少なくありません。
具体的な確認方法として、内見の前後に現地を複数回訪れることが有効です。特に、平日と週末、昼と夜の雰囲気は大きく異なり、あらゆる時間帯に訪問することで実際の生活環境がどのようなものかを把握できます。
また、近隣の住民に聞き込みを行うことで、治安や日常生活の雰囲気についてもリアルな情報を得ることが可能です。
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ホームインスペクションを検討する
中古住宅の購入時には、ホームインスペクション(住宅診断)を検討することで、建物の隠れた問題を事前に把握し、購入後のトラブルを避けることができます。
ホームインスペクションとは建築士などの専門家が住宅の状態を診断し、構造的な問題や設備の劣化状況をチェックするサービスです。
中古住宅には見た目では判断しにくい老朽化や欠陥が潜んでいることがあり、特に築年数が経過した物件ではそのリスクが高くなります。
例えば、外観はきれいに見える住宅でも、屋根や基礎部分にひび割れが発生している場合、地震時に倒壊のリスクが高まることがあります。
このような問題を見逃さないためにも、ホームインスペクションを活用することで、購入後に大きな修繕費用がかかるリスクを避けることが可能です。
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買ってはいけない中古住宅に関するよくある質問
ここでは、買ってはいけない中古住宅に関するよくある質問を紹介します。
- 中古住宅の築年数はいつが狙い目?
- 買ってよかったと思える中古住宅の特徴は?
- 中古住宅を買って大失敗したらどうすればいい?
中古住宅の築年数はいつが狙い目?
一般的には築20〜30年の中古住宅が狙い目とされていますが、物件の状態が重要です。
築年数が20〜30年の中古住宅は建物が比較的しっかりしており、価格が手ごろになる傾向にあります。また、この期間に大規模修繕やリフォームが行われている場合も多く、購入後すぐに大規模修繕が必要になるリスクを減らすことも可能です。
しかし、定期的なメンテナンスが行われていないと劣化が進んでいるケースもあるため、状態をしっかりと確認することが重要です。
買ってよかったと思える中古住宅の特徴は?
買ってよかったと感じる中古住宅の特徴として、立地や建物の品質、メンテナンス状況がバランスよく整っている点が挙げられます。
例えば、駅近くや周辺施設が充実している立地は、長期的な資産価値も高まりやすくなります。住宅自体も定期的なメンテナンスが行われており、問題が少ない物件は、購入後のリフォームや修繕コストを抑えることができるため、安心して暮らせるでしょう。
中古住宅を買って大失敗したらどうすればいい?
中古住宅を購入して失敗した場合、まずは状況を冷静に把握し、適切な専門家に相談することが重要です。
例えば、購入後にシロアリ被害や雨漏りが発覚した場合、まずは専門業者に依頼して被害状況を確認し、修繕費用の見積もりを取得します。その後、住宅の保証や売主との契約内容を確認し、必要に応じて売主に修繕の対応を求めることが可能です。
中古住宅を買って大失敗した場合も、冷静に専門家の助けを借りながら、最適な対応策を見つけることが大切です。
買ってはいけない中古住宅の特徴を押さえておこう
中古住宅を購入する際は、慎重な見極めが必要です。特に災害リスクの高い土地や建物のシロアリ被害、構造的な亀裂や傾きが見られる物件は避けることをおすすめします。
また、購入後に後悔しないためにも、周辺環境の確認やホームインスペクション(住宅診断)の活用が重要です。
できるだけリスクを減らし、長期的に満足できる住まいを選ぶためには、信頼できる不動産会社に相談しましょう。