築年数が経過すると、建物の劣化などが原因で雨漏りしてしまうことがあります。持ち家であれば修理は自分で行わなければなりませんが、賃貸物件の場合は誰が修理をすべきなのでしょうか。

今回は賃貸で雨漏りが起こったときの基本的なルールや、すぐに確認すべき注意点について解説します。
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雨漏り

 

民法では「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になったときは、この限りでない」と定められています。

 

賃貸物件の場合、雨漏りがあれば「部屋に住む」という本来の目的を果たすことができません。そのため、原則としては、貸主である大家さんが修理の負担をします。

 

ただし、どんな場合でも大家さんが対応をしなければならないというわけではありません。

 

あくまでも、入居者(借主)の故意や通常の使用範囲を超える使い方が原因でない場合に限るので、「子どもが遊んでいて割った窓ガラスから雨が降り込んできた」などといったケースでは、入居者に修理の義務があります。

大家さんや管理会社へ連絡する

 

雨漏りをしていることが分かった場合、そのまま放置をしてはいけません。ここでは、すぐにすべきことを確認していきましょう。

 

先ほど説明したように、自然に起こった雨漏りの修理費用は、大家さんが負担します。

 

しかし、入居者が雨漏りに気づいていたにもかかわらず、そのまま放置をして、さらに被害が広がってしまった場合には、大家さんから修繕費用を請求されてしまう可能性があります。

 

たとえば、屋根に雨漏りが起こってしまった場合、屋根自体の修理は大家さんが行うのが一般的です。ところが放置を続けて、もし床や壁が腐食してしまった場合、そちらの修繕費用は入居者の負担となってしまうケースがあるのです。

 

雨漏りが見つかったときには、慌てずに順を追って対応しましょう。

 

写真撮影

 

まずは、雨漏りの状況がきちんと伝わるように、カメラやスマートフォンなどで該当箇所を撮影しましょう。このとき、特に意識しておきたいのは以下の3点です。

ポイント

  • アップの写真と部屋全体の写真を撮影する
  • 乾いてからも雨漏りの箇所が分かるように写真に印をつけておく
  • 家財がぬれている場合はその様子も記録しておく

雨漏りの写真を残すときには、どこから雨水が侵入しているのかが分かるように意識することが大切です。

 

そのため、写真はアップのものと部屋全体のものをどちらも撮影するようにしましょう。雨漏りの様子を動画で撮影しておくことも有効です。乾いてからも雨漏りの箇所が正確に分かるように、撮った写真には印をつけておくといいでしょう。

 

また、後ほど詳しく解説をしますが、家財がぬれている場合は、その分の修理費用も負担してもらえるケースがあるので、記録を残しておくことが大切です。

 

大家さんや管理会社へ連絡する

 

写真や動画で記録を残したら、すぐに大家さんや管理会社へ連絡し、雨漏りの事実と詳しい状況を伝えます。また、早朝や深夜帯の場合は賃貸の契約書を見直して、24時間対応のコールセンターが利用できるかどうかチェックしておきましょう。

 

応急処置、2次被害対策を行

 

大家さんへの連絡と同時に、雨漏りによる被害が広がらないような応急処置を施すことも大切です。床や壁がぬれてしまわないように、侵入口をぞうきんなどでふさいだり、水滴をバケツで受け止めたりするなどの対応を行いましょう。

 

このときに注意しておきたいのは、自身で無理な修繕は行わないことです。適切な修繕を行う際に、かえって作業負担が増えてしまう可能性があり、追加で発生した修繕費用を請求されてしまうリスクがないとはいえません。

 

そのため、処置はあくまでも被害の拡大を防ぐことにとどめておき、大家さんや管理会社と連絡が取れるのを待ちましょう。

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火災保険の補償内容をきちんと確認する

 

雨漏りによる被害は、具体的にどこまで補償してもらえるのでしょうか。原則として、建物部分は大家さんが修繕の責任を負うものの、家財については火災保険の契約内容によって異なります

 

加入している火災保険の内容によっては、家財の損害を補償してもらえる可能性があるのです。賃貸物件で加入する火災保険は、雨漏りによる家財被害について、補償内容に組み込まれているケースも多くあります。

 

また、契約内容に「個人賠償責任保険」が組み込まれている場合は、入居者自身の過失によって雨漏りが発生してしまったときの損害賠償に適用できるケースもあります。そのため、火災保険の補償内容をきちんと確認しておくことも大切です。

相談できる窓口に電話をする

 

それほど多いケースではありませんが、大家さんや管理会社に連絡をしても、なかなか雨漏りの状況が伝わらず、すぐに対応してもらえないといった可能性もないとはいえません。

 

雨漏り被害の実情を誤解なく伝えるためには、写真や動画を撮影しておくことが前提となりますが、それでも動いてもらえない場合には別の相談先を検討してみることも大切です。

 

国民生活センターは、生活全般に関するトラブルや問合せなどの相談ができる窓口です。「消費者ホットライン:188」に電話をかけ、自動音声の案内に沿って操作をすれば、消費者生活相談窓口へとつなげてもらえます。

 

トラブルを解決するための方法を一緒に考えてもらえるほか、場合によっては管理会社などと直接やりとりをしてもらえることもあります。

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賃貸物件イメージ

 

最後に、賃貸物件の雨漏りに関してよくある質問を紹介します。

 

必ずしも認めてもらえるとは限りませんが、家賃の値下げを求めること自体は可能です。なかなか直してもらえないようであれば、いずれ引越すまでの家賃を値下げしてもらうなどの代替案を提案してみるといった方法もあります。

 

前述のとおり、経年劣化などによる雨漏りは、大家さんや管理会社の責任で修理をしてもらえるのが一般的です。

 

ただし、「不注意で天井や壁を破損してしまった」「ベランダの排水溝の詰まりを放置したことが原因だった」など、入居者の故意・過失によるものであれば、費用を請求されてしまう可能性もあります。

 

雨漏りを直してもらえず、そのことが原因で引越しをすることになった場合は、大家さんや管理会社に引越し費用を負担してもらえるケースがあります。

 

1階に住んでいて雨漏りが起こった場合、建物自体の劣化が原因のケースだけでなく、上階の居住者による水漏れの可能性も考えられます。

 

その場合、責任の所在は上の階に住んでいる人にありますが、直接的にやりとりをすればトラブルの原因となるので注意が必要です。

 

いずれにしても大家さんや管理会社に連絡をして、間に入ってもらうといいでしょう。

雨漏り

 

  • 賃貸物件の雨漏りは、原則として大家さんが修理の負担をする
  • 雨漏りを見つけたときには、放置をせず、すぐに大家さんや管理会社へ連絡
  • 雨漏りの状態が的確に伝わるように写真や動画で記録を残しておく
  • 自分で無理に直そうとはせず、応急処置を行って連絡が取れるのを待つ
  • 雨漏りによって発生した家財の損害についても、補償されるかどうか契約書をチェック
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