賃貸物件を借りるときには、不動産会社に仲介手数料を支払うのが一般的です。しかし、部屋探しをしていると「仲介手数料無料」と書かれているのを見かけることもあります。

実は、賃貸物件を借りる手続きの方法によっては、仲介手数料がかからないケースもあります。今回はどうして無料になるケースがあるのか、その仕組みや注意点について解説します。

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仲介手数料とは

 

まずは、仲介手数料の基本的な仕組みについて確認しておきましょう。

 

仲介手数料とは、不動産会社が行う仲介業務に対する報酬のことです。賃貸物件を借りる際には、賃貸借契約と呼ばれる法的な手続きを行う必要があります。

 

このとき、借主と貸主の間に入って、トラブルが起こらないように適切な方法で手続きを進めるのが不動産会社の役割です。

 

また、希望に合う部屋を一緒に見つけてくれたり、内見の手続きをしてくれたりするのも、仲介業務のうちのひとつです。

 

つまり、仲介手数料とは、部屋の契約をサポートしてもらえたことへの対価といえます。なお、不動産会社にとっては、賃貸物件の仲介業務に関するメインとなる収益源でもあります。

 

仲介手数料は、法律で上限が決められています。賃貸物件においては、原則として「家賃1ヶ月分+消費税(※)」が最大金額となっています。

 

一方、下限については特にこれといった決まりがありません。そのため、状況によっては、仲介手数料が半額や無料になる可能性もあり得るのです。

 

※2024年7月1日施行の「長期の空家等の媒介特例」に伴い、長期の空き家の賃貸借取引に限り、仲介手数料の上限が「家賃2ヶ月分+消費税」となりました。ただし、上乗せ分は貸主からの受取分に限定されるため、借主への影響はありません。

仲介手数料が無料になる理由

 

前述のように、仲介手数料は上限額で計算すれば、家賃1ヶ月分という大きな金額になります。無料になるのであれば、金銭的には大きなメリットが生まれるでしょう。

 

ここでは、仲介手数料が無料になる2つのケースについて解説します。

 

一つめのケースは、所有者である不動産会社が直接管理をしている物件を借りるパターンです。

 

多くの賃貸物件は、個人の大家さんがオーナー・貸主となるため、仲介会社はあくまでもサービス業務の提供者としての立場で関わります。

 

しかし、不動産会社が所有している場合は仲介業務が発生しないため、その対価としての仲介手数料も発生しないのです。

 

仲介手数料は、金額の上限に関するルールを守っていれば、貸主・借主のどちらから受け取ってもいいことになっています。

 

そのため、入居者がなかなか見つからない物件では、貸主が自ら仲介手数料を負担して、少しでも借り手が見つかりやすい条件を整えるケースもあります。

 

入居してもらいやすくする方法には、さまざまなパターンがありますが、仲介手数料を代わりに負担する方法は、家賃を下げる方法と比べてほかの入居者への影響が小さいのが特徴です。

 

そのため、貸主にとっては、比較的選択しやすい方法といえるのです。

 

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仲介手数料無料の物件のデメリット

 

無料になった経緯によっても異なりますが、仲介手数料が無料とされるケースにはいくつか確認しておきたい注意点もあります。

 

ここでは、物件と不動産会社の2つの側面から、主な注意点を見ていきましょう。

 

貸主が仲介手数料を負担してくれる物件の場合、そもそも通常の条件ではなかなか入居者が集まらなかったと想定することもできます。

 

この場合は「相場よりも、もともとの家賃が高く設定されていた」「その他の不利な条件があった」などの可能性も考えられるため、ほかの物件と比べてみることが大切です。

 

不動産情報ポータルサイトなどで似たような立地や間取り、設備の条件を持つ物件をいくつか検索して、家賃の設定を見比べてみるといいでしょう。

 

仲介手数料は、サポート業務に対する重要な報酬なので、無料や半額などになっている場合、どうしてもサービスが手薄になってしまう可能性があります。

 

また、仲介手数料は無料でも、代わりに書類作成費などの名目で費用を請求されてしまうケースもあります。

 

書類作成費は、実質的に仲介手数料と変わらないコストなので、単に仲介手数料が無料だからお得と考えるのではなく、トータルコストを慎重に確認しましょう。

敷金礼金なし物件

 

賃貸物件を借りる際には、仲介手数料以外にも、さまざまな初期費用が発生します。コストを安く抑えたいなら、ほかの費用にも目を向けてみるといいでしょう。

 

敷金とは、賃貸物件を借りるにあたり、家賃の滞納や部屋の損傷といった万が一の事態に備えて預けておくお金です。

 

敷金の相場は家賃の1~2ヶ月程度ですが、物件によっては「敷金なし」としているところもあります。

 

そのため、初期費用を抑えるなら、敷金がかからない物件を探してみるのもひとつの方法です。

 

ただし、敷金はリスクに備える重要なお金のため、代わりに家賃保証会社の利用や清掃費の自己負担といった条件が発生してしまうこともあります。

 

敷金を支払う場合と支出が変わらないケースもあるので、物件ごとの費用の仕組みには注意しておきましょう。

 

礼金とは、大家さんに支払う謝礼金のことです。礼金も敷金と同じく、家賃の1~2ヶ月分程度が目安とされていますが、物件によってはかからないケースもあります。

 

また、礼金は敷金と違ってお礼が目的のため、かからないのであれば単純にその分だけお得と考えることができます。そのため、礼金なしの物件に絞って部屋探しをしてみるのもいいでしょう。

 

フリーレント物件とは、入居後の一定期間にわたって家賃が発生しない物件のことです。一般的には最初の1ヶ月、長ければ3ヶ月~半年近くまで無料期間を設けている物件もあります。

 

こうした物件を見つけることができれば、入居に関するコストを大幅に節約できます。

 

ただ、フリーレント物件では短期で契約を解除できないような条件が課せられたり、その分だけ家賃が高く設定されていたりするケースもあるので、そのほかの物件にも目を向けておくことが大切です。

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仲介手数料についてよくある質問

 

最後に仲介手数料に関して、よくある質問を答えとともに紹介します。

 

仲介手数料は、基本的に賃貸借契約を結んだときに発生します。従って、賃貸物件を借りるうえでは、敷金・礼金のようなその他の初期費用と一緒に支払う仕組みとなっているケースも多いです。

 

仲介手数料はあくまでも成功報酬なので、部屋が決まらなかったときには発生しません。

 

たとえ内見をさせてもらったとしても、その物件が気に入らずに契約しなかった場合は、特に費用がかからないので安心してください。

 

仲介手数料の値下げ交渉をすること自体は可能です。ただし、必要なサポート業務への対価なので、無理な交渉は禁物です。

 

「どうしても初期費用に手が届かないので少しだけ金額を下げてほしい」「交渉が成立したら必ず契約する」など、相手とコミュニケーションをしっかりと取りながら、誠実に相談することが大切です。

仲介業務

 

  • 仲介手数料は仲介業務に対する報酬であり、住宅の場合は原則として「家賃1ヶ月分+消費税」が上限
  • 不動産会社が直接管理している物件では仲介手数料がかからないケースもある
  • 大家さんが負担することで、仲介手数料が無料になっているケースもある
  • 仲介手数料無料の仕組みと注意点も理解しておこう

 

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更新日: / 公開日:2016.03.23