住宅ローンを組んでマイホームを取得する際は、自身にとって、どれくらいの借入額が適正かを考える必要があります。
この記事では、年収に対する理想的な住宅ローンの借入額の割合を、各種データに基づいて解説します。
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審査にも大きく影響する? 住宅ローンの返済比率とは
住宅ローンを組むときは、借入総額だけでなく、収入に占める返済負担の割合も考慮しておく必要があります。いわゆる“返済比率”(返済負担率)と呼ばれるもので、「毎月の返済額が年収から見て無理のない範囲であるかを判断する基準」となるものです。
返済比率は住宅ローンの審査においても注目されるポイントです。国土交通省が公表している2021年度の住宅ローンの実態に関する調査(※)では、94.6%もの金融機関が返済比率を重視していると回答しています。
返済比率は「年間の返済額÷年収」で計算できます。収入が分かる源泉徴収票などと返済額を照らし合わせ、大まかな数字を把握しておくといいでしょう。
※ 国土交通省「令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」
理想の割合は何%? 返済比率の平均データ
金融機関の審査基準において、住宅ローンの返済比率については35~40%以内に設定されていることが多いです。
しかし、実際に住宅ローンを組んで返済を続けていくなかでは、リストラや病気・ケガなどで収入が不安定になるリスクや、住宅のメンテナンス費用や固定資産税などの税金の負担もあります。そのため、現実的には金融機関が定める基準よりも、低く設定しておくほうがいいでしょう。
住宅金融支援機構が公表している「2021年度フラット35利用者調査」によれば、全体的な返済比率の平均は22.7%となり、返済比率25%未満と回答している人は全体の57.9%に上ります。
住宅の種類別に平均的な返済比率を比べると、次のような調査結果となっています。
住宅種別 | 平均の返済比率 |
---|---|
注文住宅 | 21.5% |
土地付き注文住宅 | 24.9% |
建売住宅 | 23.7% |
新築マンション | 22.1% |
中古一戸建て | 20.3% |
中古マンション | 19.4% |
中古物件よりも購入価格が高い新築物件のほうが、返済比率が高くなっていることが分かります。
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〈年収別〉返済比率ごとの「毎月返済額」「借入可能額」早見表
適正な返済比率を判断するには、年収と返済比率を照らし合わせ、借入可能額と毎月の返済額がどの程度になるのかを把握しておくことが大切です。
LIFULL HOME’Sの「住宅ローンシミュレーター」を活用してみましょう。
年収300万~900万円までを20%、25%の返済比率で計算をすると、以下のような結果となりました。
年収 | 借入可能額 | |
---|---|---|
20% | 25% | |
年収300万円 | 1,633万円 | 2,025万円 |
年収400万円 | 2,156万円 | 2,711万円 |
年収500万円 | 2,711万円 | 3,397万円 |
年収600万円 | 3,266万円 | 4,083万円 |
年収700万円 | 3,789万円 | 4,768万円 |
年収800万円 | 4,344万円 | 5,422万円 |
年収900万円 | 4,899万円 | 6,107万円 |
年収 | 返済比率別の毎月の返済額 | |
---|---|---|
20% | 25% | |
年収300万円 | 5万円 | 6万2,500円 |
年収400万円 | 6万6,700円 | 8万3,300円 |
年収500万円 | 8万3,300円 | 10万4,200円 |
年収600万円 | 10万円 | 12万5,000円 |
年収700万円 | 11万6,700円 | 14万5,800円 |
年収800万円 | 13万3,300円 | 16万6,700円 |
年収900万円 | 15万円 | 18万7,500円 |
※借入可能額については返済期間35年、固定金利1.5%、ボーナス払いなしで試算
上記のように、同じ年収であっても返済比率によって毎月の返済額は違ってきます。20%の返済比率であれば暮らしにゆとりが持つことができるでしょうし、25%なら適正範囲だといえます。
返済比率を考えるうえで意識しておきたい3つのポイント
返済比率は返済プランを考えるうえで重要な指標ですが、他の条件も考慮しておく必要があります。住宅ローンの借入可能額や返済プランに大きな影響を与える項目として、次の3つが挙げられます。
- 金利タイプ
- 返済期間
- 返済方法
金利タイプ
住宅ローンの金利は、大きく分けると固定金利・変動金利・固定金利期間選択型の3つがあります。一般的に固定金利は、変動金利と比べて金利が高く設定されるものですが、借入時から完済するまで金利が一定であるため、返済プランを立てやすいのが特徴です。
一方、変動金利は借入期間中に金利が上昇するリスクがあるため、ゆとりのある返済プランを立てておく必要があるでしょう。そして、固定金利期間選択型は借り入れ後の3~7年の期間は金利が一定となり、その後に金利を固定とするか変動とするかを選択できるのが特徴です。
返済期間
返済期間については、同じ年収であっても返済期間が長いほど借入可能額は多くなります。一方、返済期間が短ければ借入可能額は少なくなります。
しかし、返済期間が長ければその分支払う利息も多くなり、トータルでの負担は大きくなります。また、完済時の年齢にも注意が必要です。あらかじめシミュレーションを行って、借入額や返済期間に無理がないかを確認しておきましょう。
返済方法
返済方法には、元利均等返済と元金均等返済の2つがあります。元利均等返済とは、元金と利息分を均等に返済していく方法であり、返済プランを立てやすいのが特徴です。
一方、元金均等返済は元金部分の返済額を毎月均等に分けて、残債に応じた利息を上乗せして返済する方法となります。元金を早く減らせるというメリットがありますが、返済当初の負担が大きくなるので注意が必要です。
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具体的な生活費から返済比率を考えられる「おうち予算シミュレーション」
返済比率や他の条件について基本的な考え方が分かっても、生活費と住宅ローンの返済額の適正なラインを考えようとすると、難しく感じることもあるでしょう。
LIFULL HOME’Sの「おうち予算シミュレーション」を使えば、手軽に借入総額の目安を判断することが可能です。
年収や年齢、家族構成などの基本情報を入力すれば、無理のない住宅購入予算や毎月の返済額、生活費のバランスを知ることができます。
たとえば、世帯年収700万円で配偶者と子どもの3人で暮らす場合で試算をすると、以下のような結果となります。
住宅購入予算の目安 | 3,200万~4,000万円 |
---|---|
毎月の住宅ローン返済額 | 10万円 |
返済負担率 | 22% |
住宅関連費 | 5万円 |
生活費の合計 | 26万30円 |
※頭金300万円、住宅ローン以外の借入金の返済額が毎月2万円で試算
実際に計算をしてみると、生活費の細かな内訳や貯蓄にいくら回せるかまで分かります。まずは大まかな数字を把握するためにも、自分のケースに当てはめてシミュレーションを行ってみましょう。
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まとめ
- 返済比率とは、年収に対する年間の返済額の割合のことを指し、返済プランを立てるうえで重要な指標となる
- 返済比率を35~40%としている金融機関が多いが、実際に返済を続けていくことを考えると、20~30%程度のラインが適正だといえる
- 年収が同じであっても、返済比率によって毎月の返済負担は異なる
- 返済比率を考えるときは、金利のタイプや返済期間、返済方法をきちんとチェックしておこう
更新日: / 公開日:2023.02.14