二人暮らしは、バラバラに一人暮らしをするよりも家賃や光熱費を節約しやすいのがメリットです。しかし、1人でやりくりを完結させられる一人暮らしと違って、きちんと費用の内訳を把握しておかないと、もめてしまうこともあります。

今回は二人暮らしの生活費や家賃の目安を解説したうえで、実践したい節約術をご紹介します。

二人暮らし物件

二人暮らしの平均的な生活費

 

まずは、総務省統計局の「家計調査 家計収支編(2021年)」を基に、2人世帯における1ヶ月当たりの平均的な生活費データを見てみましょう。

費用項目

金額

食費

6万6,327円

水道・光熱費

1万9,168円

家具・家事用品費

1万1,048円

被服費

6,539円

保健医療費

1万4,924円

交通・通信費

3万4,529円

教育費

507円

教養・娯楽費

2万1,481円

その他

5万4,099円

合計

22万8,622円

上記のデータによれば、住居費を除いた1ヶ月当たりの生活費は「22万8,622円」となっています。データはあくまでもさまざまな年齢層や収入階級が含まれた平均値ではありますが、二人暮らしではおよそ「22万~23万円程度」の生活費が必要と考えられます。

 

なお、家計調査では住居費に関するデータも掲載されていますが、持ち家などの世帯も含まれているため、家賃については別枠で考えなければなりません。ここからは、二人暮らしの適正な家賃について詳しく見ていきましょう。

二人暮らしの家賃の適正範囲

 

家賃は毎月の出費のなかでも特に大きな割合を占めるため、節約の重要ポイントであることは間違いありません。しかし、家賃を抑えようとするあまり、二人暮らしに適さない物件を借りてしまえば、生活を続けるのがストレスに感じられてしまう可能性もあります。

 

そのため、まずはどのくらいの広さが必要なのかを考えてから、家賃について検討してみるといいでしょう。

国土交通省の「住生活基本計画における居住面積水準」では、二人暮らしに適した居住面積の基準について以下のように示されています。

二人暮らしに適した居住面積の基準

  • 最低限必要な広さ(最低居住面積水準):30m2
  • ゆったり生活できる広さ(誘導居住面積水準都市型):55 m2
  • 郊外などの一戸建て(誘導居住面積水準一般型):75 m2

この基準を参考にすると、二人暮らしには少なくとも30平米以上の広さが必要であることが分かります。また、「荷物が多い」「テレワークのスペースが欲しい」といった場合には55平米程度の広さが必要と考えられます。

では、30~55平米は具体的な間取りタイプに換算するとどのくらいになるのでしょうか。実際には細かなつくりによっても異なるものの、1LDK・2K・2DKといった間取りが該当します。

 

1LDKとは、「8畳以上のリビングダイニングキッチンと居室1部屋」がセットになったつくりのことです。また、2Kは「6畳未満のキッチンと居室2部屋」、2DKは「6~10畳までのダイニングキッチンと居室2部屋」がセットになった間取りです。

次に、1LDK・2K・2DKの間取りの物件に絞って、エリア別に家賃相場を見ていきましょう。今回はLIFULL HOME’Sの「家賃相場」を使って、東京都・大阪府・愛知県の三大都市圏における平均家賃を算出します。

エリア

平均家賃の下限~上限

中央値

東京23区

10.07万円(江戸川区)~22.88万円(港区)

14.38万円

東京26市

6.05万円(青梅市)~14.92万円(国立市)

8.73万円

大阪府大阪市内24区

6.61万円(住之江区)~12.27万円(北区)

7.84万円

 

大阪府32市(大阪市以外)

5.53万円(柏原市)~11.38万円(吹田市)

6.53万円

愛知県名古屋市内16区

6.01万円(港区)~9.96万円(中区)

7.29万円

愛知県37市(名古屋市以外)

4.70万円(常滑市)~7.35万円(豊明市)

6.07万円

都市部ではエリアによる賃料相場の差が広がりやすいので、中央値も参考にしておくと全体的な相場感を把握できます。

ここまで、二人暮らしに適した広さとそれに該当する間取りタイプ、そしてエリア別の家賃相場をご紹介しました。次は、実際の手取りから家賃をどのように考えるべきかについて解説します。

 

一般的に、家賃は手取りの3分の1以下が適正範囲とされています。その基準を基に、手取り月収から見た家賃上限の目安は以下のようになります。

手取り月額

家賃の上限目安

20万円

6.7万円

25万円

8.3万円

30万円

10万円

35万円

11.7万円

40万円

13.3万円

45万円

15万円

50万円

16.7万円

二人暮らしの場合は、それぞれの手取り月額を足し合わせた合計額で検討してみてください。

 

先ほどご紹介した家賃相場とこの上限目安を基に、どんなエリアに住むかを絞り込んでいくと、予算に合った物件を自然と見つけやすくなります。

 

二人暮らし物件

物件を探す

 

住居費を抑えるうえでは、「家賃」と「初期費用」の2点を意識しておく必要があります。ここでは、それぞれの節約ポイントについて見ていきましょう。

家賃を抑えるには、必要な条件・設備を明確にしたうえで、妥協できる項目を洗い出しておくのが近道です。家賃が近隣の物件よりも安い物件には以下のような特徴があります。譲れるポイントをいくつか見つけておくといいでしょう。

家賃が安い物件の特徴

  • 急行や快速列車は通過してしまう駅
  • 駅から徒歩10分以上
  • 振動・騒音が気になりやすい幹線道路沿い、線路沿い
  • 築古物件
  • 木造アパート
  • 必要以上に広すぎない間取り
  • 1階
  • 室外洗濯機置き場
  • バス・トイレがセットの3点ユニットバス

ただし、築年数が経過した築古物件であっても、リノベーションなどによって内装はきれいに変わっているケースもあります。

 

また、意外に見落としてしまいがちなのが「管理費や共益費」です。賃貸物件の表示方法には管理費を家賃に組み込む場合と、別途で記載する場合があるので、両者を比較するときには「管理費・共益費を加えた金額」で見比べることが大切です。

初期費用は「家賃の4~6ヶ月程度」が目安です。まとまった費用がかかるので、初期費用を抑えるのも節約の重要なコツです。

 

初期費用を抑えるには以下のような方法があります。

初期費用を抑える方法

  • 礼金がかからない物件を探す
  • 敷金がかからない物件を探す
  • フリーレント物件を探す
  • 仲介手数料が安い不動産会社に相談する

初期費用のうち、敷金と礼金は家賃の1~2ヶ月分と大きな金額になる項目です。そのため、敷金・礼金がかからない「ゼロゼロ物件」を見つければ、費用の大幅な節約につながります。

 

ただ、敷金は退去時の原状回復費用や万が一の際の預け金としての意味合いがあるため、代わりに「清掃費」がかかったり、「保証会社利用料」が発生したりすることもあります。一方、礼金は大家さんへの謝礼金として支払うお金なので、費用がかからなければそのまま節約につながると考えて問題ありません。

 

フリーレントとは、入居後の数ヶ月にわたって家賃がかからないサービスのことです。物件によっては、入居者を募集する目的でこうしたサービスを実施しているケースもあるので、注目してみるのもいいでしょう。

 

仲介手数料については、「家賃1ヶ月分+消費税」と法律で上限が決められているものの、下限については特に決まりがありません。そのため、不動産会社によっては半額やそれ以下に設定されていることもあります。

買い物

 

生活費の内訳において、食費は家賃の次に大きな割合を占める項目です。ただ、食費の節約は毎日の工夫の積み重ねが必要なので、無理なく続けられる方法を見つけることが大切です。

食費を節約するなら、まずは「自炊」が基本となります。ただ、毎日買い物をしなければならないとなると、それだけでも時間や手間がかかってしまいます。

 

そこで、あらかじめ1週間単位などで献立を決めておき、まとめ買いをするといいでしょう。スーパーに行く回数が減れば、無駄遣いをする機会も少なくなるので、自然と節約につながるでしょう。

毎日料理をしようとすると、気分が乗らないときには負担に感じられてしまいます。そのため、週末などに作り置きをしておいたり、野菜やお肉を下ごしらえしてから冷凍したりして、なるべく手間を減らすといいでしょう。

 

また、すべてを完璧にこなそうとするのではなく、一部はお惣菜や冷凍食品でまかなうなどの工夫も重要です。

 

二人暮らし物件

水道光熱費・通信費を節約するコツ

 

最後に、水道光熱費や通信費を節約するコツをご紹介します。

水道代は節水グッズを活用して、無意識のうちに節約できるような仕組みをつくるのがコツです。節水コマや節水シャワーヘッドなど、日常的な使用で自然と節水できるグッズが市販されているので、自分に合ったものから取り入れてみましょう。

電気代の節約では、特に電力消費の大きいエアコンの使い方を工夫してみるのがコツです。「自動運転モードを活用する」「あまり頻繁にオンオフを切り替えない」など、夏場や冬場はちょっとした心がけで電気代に差がつきます。

ガス代については、できるだけ使用時間を短くするのが基本となります。具体的には、シャワーを使う時間を短くしたり、ちょっとした調理は電子レンジで済ませるようにしたりするなどの方法があります。

 

電子レンジで使用する電気代のほうが、ガス代よりも安く済むことが多いので、適度に使い分けを意識してみましょう。

通信費は毎月発生するお金なので、少し工夫をするだけでも年間で見れば大幅な節約につながるケースがあります。スマホのプランを最適化したり、不要なサブスクリプションサービスを解約したりするなど、費用の見直しを行いましょう。

二人暮らし

 

  • 二人暮らしではおよそ「22万~23万円程度」の生活費が必要
  • 特にこだわりがなければ、間取りは1LDK・2K・2DKから探すのがコツ
  • 家賃は手取りの3分の1以下が目安であり、エリアによって相場が異なることを考慮する
  • 家賃と初期費用を抑えるコツを把握しておこう
  • 食費、光熱費、通信費の節約のコツを押さえて、自分に合ったものから実践してみよう

 

二人暮らし物件

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