不動産の登録免許税をご存じでしょうか。不動産を登記する際に課税される税金ですが、新築や購入の時は特に、購入価格以外にもさまざまなお金がかかりますので、あまり詳しく把握していない人も多いことでしょう。
登録免許税は税金なので、不動産会社や住宅ローンの借入先によって金額が変わるわけではありませんが、実はこの登録免許税が安くなる制度もあるのです。
そこで今回は、登録免許税の基礎知識を中心に、税金が安くなる条件などについて解説していきます。
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不動産登記とは?
登録免許税について解説する前に、不動産登記について触れておきます。
不動産登記は、わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑を図る役割を果たしています。
仮に、その土地や建物は自分のものだと言い張る他人が現れたとしても、登記をしておけば、法的に権利を主張することができます。所有権や抵当権は登記の義務がありませんが、後日トラブルにならないように登記しておくのが一般的です。
登録免許税の税率を見るためには、登記の種類を知っておく必要があります。
不動産登記の種類
不動産登記は、一戸建ての場合、土地と建物を別々に登記します。
またマンションの場合、土地と建物が一体であり、その権利をバラバラに処分されるのを防ぐため1983年の区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)改正以降、土地は敷地権として建物の表題部に登記されるようになりました。
登記簿は、表題部、権利部(甲区、乙区)に分かれていて、表題部は所在など不動産の基本情報、甲区には所有権に関する情報が、乙区には所有権以外の情報が記録されています。ですので、抵当権の内容は乙区を見ると分かります。
- 表題部:土地の所在・地番・使用状況・面積、建物の所在・地番・構造・床面積などが記録されています。
- 権利部(甲区):所有者の氏名・取得時期・取得原因などが記録されています。
- 権利部(乙区):抵当権など所有権以外の権利が記録されています。
そしてこの登記の際に課税されるのが、今回解説する登録免許税となります。
登録免許税は、売買や相続、贈与によって税率が異なりますので、あてはまる個所だけ見ていくと分かりやすいでしょう。
※ 出典:「不動産登記のABC」法務省
登録免許税とは?
登録免許税は、不動産をはじめ、航空機や会社などの登記や登録に対して課税される税金です。価格や重量に一定の税率をかけるものや定額のものがあり、不動産は価格に税率をかけて税額を求めます。
登録免許税の基本的な内容は次の通りです。
納税する人 | 納付 |
登記や登録を受ける人 | 原則、現金納付ですが、税額3万円以下なら収入印紙で納付することができます。 |
課税標準 | 税率 | 軽減税率 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
売買 | 固定資産税評価額 | 2.0% | 1.5% | 2019年3月31日まで |
相続 | 0.4% | - | - | |
贈与 | 2.0% | - | - |
課税標準 | 税率 | 軽減税率 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
所有権の保存 | 固定資産税評価額又は登記官認定価格 | 0.4% | 0.15% | 2020年3月31日まで※諸条件あり |
売買による 所有権の移転 | 固定資産税評価額 | 2.0% | 0.3% | 2020年3月31日まで※諸条件あり |
相続 | 0.4% | - | - | |
贈与 | 2.0% | - | - |
課税標準 | 税率 | 軽減税率 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
抵当権の設定 | 債権金額 | 0.4% | 0.1% | 2020年3月31日まで※諸条件あり |
※出典:「登録免許税の税額表」国税庁
2と3の軽減措置を受ける場合には、登記の申請書に市区町村長の証明書を添付し、新築または取得後1年以内に登記しなければなりません。証明書は、床面積50m2以上など一定要件を満たすことを証明しています。
なお、特定認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の保存登記の場合、軽減税率は0.1%となります。
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登録免許税の計算方法
さらに、具体的な例で見ていきましょう。
(計算例1)土地の所有権移転登記
固定資産課税台帳の価格 6,450,000円
6,450,000円(課税標準)×1.5%(税率)=96,750円
→ 96,700円・・・登録免許税額
650万円ほどの土地の場合、登録免許税は10万円弱かかることがわかりました。固定資産課税台帳の価格は、実際の購入価格ではありません。
(計算例2)住宅の抵当権の設定登記
債権金額(借入金額) 15,000,000円
15,000,000円(課税標準)×0.4%=60,000円・・・登録免許税額
軽減措置を適用すると、税率が0.1%になりますので、
15,000,000円(課税標準)×0.1%=15,000円・・・登録免許税額(軽減税率)
登録免許税額が4分の1になりますので、かなり安くなるのではないでしょうか。
※端数処理
固定資産課税台帳の価格で1,000円未満の端数は切り捨ててから計算します。また、計算した額の100円未満の端数があるときは切り捨て、計算した登録免許税が1,000円未満のときは、1,000円となります。
・個人が不動産を新築又は購入したときの登録免許税は軽減される場合がある。
・一定の要件を満たせば、登録免許税は軽減される。
更新日: / 公開日:2017.12.13