注文住宅でありながら、手の届きやすい価格で建てられるのが魅力のローコスト住宅。建売住宅とどちらを選ぶべきか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

今回は、ローコスト住宅と建売住宅の違いやメリット・デメリットをまとめました。また、それぞれどのような人が向いているのかも紹介します。
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ローコスト住宅とは、コスト削減により、手頃な価格で建築できる注文住宅のことです。一方の建売住宅は、完成済みもしくは建築中の住宅を土地とセットで購入できる住宅を指します。

 

通常の注文住宅は自由度が高い半面、建売住宅に比べて建築コストが高くなります。

 

しかし、ローコスト住宅は注文住宅でありながら、さまざまな工夫により低コストを実現しているため、費用面から考えて建売住宅と比較検討されることが多いです。

ローコスト住宅と建売住宅を比べた場合、どれくらい価格に違いがあるのでしょうか。

 

新型コロナウイルス流行前は、ローコスト住宅の坪単価(床面積1坪当たりの建築費)は30万円台からといわれることもありました。

 

しかし、資源価格や輸送費、人件費の高騰や円安などの影響により建築費が上がったため、ローコスト住宅でも値上げの傾向が見られます。そのため、坪単価40万~60万円台は見込む必要があるでしょう。

 

平均的な広さである30~35坪(約100〜115平米)のローコスト住宅を建てる場合、建物の建築費は約1,200万~2,100万円が目安です。ここに土地代を加えたものが、マイホームの取得費用ということになります。

 

住宅金融支援機構の2022年度「フラット35利用者調査」によると、土地付き注文住宅購入者における土地取得費の全国平均は1499.5万円です。約1,500万円とすると、建築費と合計で2,700万~3,600万円程度で購入可能と考えられます。

 

一方、建売住宅は土地・建物のセット販売のため、建物の建築費を単体で検証するのは難しいといえます。先の調査において、建売住宅購入者の購入価格は全国平均で3,719万円です。

 

建築費の高騰により一概には言えませんが、土地・建物を合わせた価格でもローコスト住宅の方が費用を抑えてマイホームを持てる場合が多いといえます

 

参照:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」

ローコスト住宅は、コストを削減しているからといって安全性や品質が劣るわけではありません。安全性や品質を担保しつつ、資材の大量一括発注やシステムの効率化、規格化などの工夫でコストを抑えているのです。

 

そのため、ローコスト住宅と建売住宅を比較したとき、安全性や品質に明確な優劣はありません。ただ、ローコスト住宅の場合は基礎や構造を選べる分、耐震性・安全性を高めやすい点はメリットです。

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続いて、ローコスト住宅のメリット・デメリットを紹介します。

1点目は、建築費用を抑えられることです。建築費用を抑えることは、住宅ローンの借入額の低減にもつながります。借入額が減れば毎月の返済額も減るため、マイホームを手に入れた後の生活に余裕が生まれやすくなります。

 

また、借入額が小さいほど融資のハードルが低くなるため、住宅ローン審査に通りやすくなるのもメリットです。

 

2点目は、着工から完成までの工期が短いことです。通常の注文住宅は建築に6ヶ月程度、契約から入居まで1年以上かかることも珍しくありません。

 

対するローコスト住宅の建築期間は2~3ヶ月程度と短く、契約から入居までをスピーディーに進められるのが特徴です。契約から短い期間で入居できるため、引越しのリミットが決まっている場合や既存の自宅を建て替える場合にも向いているでしょう。

 

3点目は、設備のオプションを追加しやすいことです。通常の注文住宅では建築費に大きなコストがかかるため、予算に限りがあると設備は標準仕様一択になりがちです。

 

ローコスト住宅は建築コストを節約することで、こだわりたい部分に予算を充当できるのが魅力です。キッチンや浴室などの住宅設備のグレードアップ、快適性向上につながる設備の追加なども検討できます。

1点目は、標準仕様で設置される設備のグレードが低い場合がある点です。ローコスト住宅では、コスト削減のため水回りの設備グレードを抑えるケースが多くなっています。

 

希望のグレードの設備が使えないことによって、使い勝手が悪かったり、安っぽさを感じたりするかもしれません。オプションを追加しやすいのはメリットですが、追加費用がかかるのが前提になる点には要注意です。

 

2点目は、オプション追加費用が割高なことです。ローコスト住宅では建材や設備の一括仕入れによってコストダウンを図っています。

 

そのため、規格外となるものは価格が高くなりがちです。オプションを多数追加すると、一般的な住宅と変わらない価格になることもあるため、こだわりポイントを明確にしておくことが大切です。

 

3点目は、通常の注文住宅に比べて保証期間が短い点です。

 

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(通称:品確法)に基づき、ハウスメーカーは最低10年間の保証期間を義務付けられています。ローコスト住宅でも10年間は無償の保証がつきますが、その後は有償で保証期間を延長するのが一般的です。

 

通常の注文住宅では30年など長期保証のメーカーも多く、ローコスト住宅はアフターサービスの面で劣る傾向があります。

次に建売住宅のメリット・デメリットを順番に見ていきましょう。

1点目は、実際に現物を内見したうえで購入できることです。建売住宅はすでに建物が完成済みの場合が多く、実際の外観や室内の様子をその目で確かめられます。

 

図面上で仕上がりを想像するしかない注文住宅に比べて、住み始めてからのギャップが生じにくいのは大きなメリットといえるでしょう。

 

2点目は、購入から入居までの期間が短いことです。ローコスト住宅も工期が短い点がメリットですが、建売住宅はそもそも完成あるいは着工済みのため、ローコスト住宅以上にスピーディーな入居が可能です。完成済みの建売住宅なら、契約後約1~2ヶ月で入居できるでしょう。

 

3点目は、購入手続きをスムーズに進められることです。建売住宅は土地と建物のセット販売のため、土地のローンと住宅ローンを分けずにまとめて支払えます

 

購入手続きが1回で済むうえ、売買契約時に支払う手付金以外は住宅ローンでの支払いが可能です。手間を減らせるため、ストレスなく購入手続きを進められるでしょう。

 

ちなみに土地を購入して注文住宅を建てる場合は、土地代と建物代で支払いのタイミングが異なるため、手続きの手間や手数料などが余分にかかります。

 

また、住宅ローンは建物完成後の融資実行が基本です。そのため、自己資金がない場合は、融資実行前に支払いを求められる土地代や中間金をまかなうための「つなぎローン」を検討する必要も生じます。

1点目は、デザインや間取りを変更できないことです。建物が完成済みの場合はもちろん、建築中であってもすでにプランが固まっています。

 

内装仕上げなど、オプションで完成後に変更できるケースもありますが、建物構造に関わるデザインや間取りは変えられません。そのため、注文住宅のような自由度の高い設計を希望する人には、向いていないといえます。

 

2点目は、キッチンや浴室などの設備を変更できないことです。

 

キッチン・浴室などの水回り設備は建築工事の段階で設置され、導入予定の設備に合わせて間取りやレイアウトが決められているケースがほとんどです。どうしても変更したい場合は、自分たちでリフォームする必要があります。

 

3点目は、同じような住宅が多いことです。建売住宅は分譲住宅地にまとめて建築されるケースが大半です。

 

大量一括発注でコストを抑えるとともに、ひとつの街並みとして外見に統一感を持たせるために、似たようなデザインの住宅が立ち並びます。外見で個性が出しにくいことは、人によってはデメリットになるでしょう。

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これまで見てきたように、ローコスト住宅と建売住宅には異なるメリット・デメリットがあります。それぞれどのような人に向いているのか紹介します。

ローコスト住宅は費用を抑えつつ、注文住宅の魅力である自由度の高い設計がある程度可能です。そのため、予算に限りはあっても、デザインや間取りを自分で選びたい人はローコスト住宅が向いているでしょう。

 

施工を依頼したいハウスメーカーや工務店がある人もローコスト住宅向きです。また、土地をすでに所有している人今後購入を予定している土地がある人も、ローコスト住宅にすることで総合的な費用を抑えられます。

建売住宅はすぐに入居できるのがメリットのため、子どもの入学・進学、転勤などによって入居を急ぐ人におすすめです。希望のエリアで好みに合う分譲建売住宅が売り出されたら、早い段階で検討するといいでしょう。

 

また、建売住宅は設計の自由度が低いため、デザインや間取りを決めるのが面倒と感じる人にも適しています。

ローコスト住宅と建売住宅は、どちらも比較的抑えた価格で購入できます。どちらがいい・悪いということはなく、それぞれに異なる特徴があります。

 

マイホームを購入する目的や優先事項を整理したうえで、自分たちに合った住まいの形を選びましょう。

 

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更新日: / 公開日:2023.12.27