土地の購入から家づくりを計画する場合、大きく分けて「建築費」「土地購入費」「諸費用」の3つの費用が必要となります。
そのため、建売住宅を購入する場合やすでに土地を持っている状態で注文住宅を建てる場合と比べて、費用の仕組みは複雑です。
今回は土地代を含めた注文住宅の費用について、相場や具体的な費用を調べる方法、予算計画を立てる際のポイントを解説します。
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土地代を含めた注文住宅の平均所要資金
2021年度「フラット35利用者調査」によれば、土地付き注文住宅の全国平均所要資金は4,455万円となっており、9年連続で上昇しています。
なお、エリア別のデータは次のとおりです。
| 平均所要資金 | 敷地面積の目安※ | 住宅面積の目安 |
---|---|---|---|
首都圏 | 5,133万円 | 142.8平米 | 107.2平米 |
近畿圏 | 4,658万円 | 151.4平米 | 112.7平米 |
東海圏 | 4,379万円 | 205.4平米 | 114.5平米 |
その他地域 | 3,980万円 | 238.1平米 | 112.8平米 |
全国平均 | 4,455万円 | 198.5平米 | 111.4平米 |
※外れ値があるため、中央値を使用
上記のように、注文住宅の所要資金はエリアによって異なり、「首都圏」と「その他の地域」で1,000万円以上の開きがあることが分かります。この理由は、主に土地代の違いによるものです。
さらに、土地の広さ(敷地面積)もエリアごとに異なり、首都圏や近畿圏に比べて、その他地域は1.5倍以上も広いことが分かります。
このように、土地代を含めた注文住宅の費用は、エリアによって大きな差があるため、住みたい地域の特性をきちんと把握しておくことが大切です。
エリアごとに詳しい土地代の相場を調べる方法
エリアごとに具体的な土地代の相場を調べる方法として、ここでは2つのパターンを紹介します。
LIFULL HOME’S「価格相場」でおおまかな相場を調べる
LIFULL HOME’S「価格相場」サービスでは、土地面積100平米の平均価格について、エリアごとに細かく調べることができます。
市区町村や駅・路線などから、過去3ヶ月の間にLIFULL HOME’Sに掲載された物件を基に集計した平均価格が表示される仕組みのため、具体的な相場をチェックできるのが特徴です。
LIFULL HOME’S「エリアごとの土地の価格相場を調べる」
公的なデータから調べる
国土交通省の「土地総合情報システム」や都道府県の「公示価格」など、公的なデータから土地の相場を調べることもできます。
国土交通省「土地総合情報システム」
土地総合情報システムでは、過去に行われた実際の土地取引について、細かな条件別に価格データベースを閲覧できるため、購入したいエリアについて詳しい情報を入手できるのが特徴です。
都道府県の公示価格では、一定のポイントにおいて、地価公示で公表された土地の価格を調べることができます。
たとえば、2022年の地価調査における主な都道府県庁所在地の住宅地平均価格は次のとおりです。
区分 | 2022年度 地価公示平均価格 (単位:円/平米) |
---|---|
東京都23区 | 62万600円 |
大阪市 | 25万1,100円 |
横浜市 | 23万7,400円 |
京都市 | 21万100円 |
名古屋市 | 20万2,000円 |
さいたま市 | 19万4,200円 |
神戸市 | 17万8,900円 |
福岡市 | 16万5,200円 |
このように、住宅地に限定して(=商業地・工業地等を除いて)1平米当たりの価格を調べられるので、注文住宅を建てる土地の相場を知りたいときには役立ちます。
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注文住宅の土地購入にかかる費用はどんなものがある?
土地の購入にかかる費用には、次のようなものがあります。
土地の購入にかかる費用
- 土地代
- 仲介手数料
- 売買契約書の印紙代
- 登記費用
- 地盤調査、境界線確定の費用
多くの場合、土地は不動産会社を介して購入することとなるため、仲介手数料が発生します。仲介手数料は「売買価格×3%+6万円」が上限とされており、別途で消費税がかかります。
印紙代とは、売買契約書を交わす際に発生する印紙税のことです。そのほかに、土地の所有権が自身に移ったことを証明する移転登記手続きの費用がかかり、これらの諸費用を合わせると「土地代金の5~10%程度」となります。
そのうえで、必要に応じて地盤調査や境界線の確定を行う場合、その分の費用もかかるのであらかじめ予算に組み込んでおきましょう。
なお、土地を取得した人には不動産取得税も課税されますが、こちらは移転登記から4~6ヶ月後に届く納税通知書で収めることとなります。
注文住宅の土地代に住宅ローンは充てられる?
土地の購入にはまとまった費用が必要になるため、住宅ローンが利用できるのか気になる人も多いでしょう。ここでは、知っておきたい住宅ローンのルールと仕組みについて解説します。
後から住宅を建てる土地なら住宅ローンを利用できる
住宅ローンはあくまでも「利用者やその家族が住むための家」の購入や建築、改築にのみ認められたローンです。
通常のローンより金利が低く設定されているため、用途を超えた使い方はできず、土地のみの購入時にも原則として利用はできません。
ただし、後から住宅を建てるのが明らかな土地であれば、一定の条件を満たすことで住宅ローンを利用することができます。
融資が下りるタイミングに注意が必要
住宅ローンを利用する場合、融資が下りるのは「引き渡し時」である点に注意が必要です。
つまり、通常の住宅ローンでは、引き渡し時までに発生する「土地購入費」「建物着工金」「中間金」などの費用は自己資金で負担しなければなりません。
これらの費用を合計すると、総費用のなかでも大きな割合になるため、相当の自己資金を用意しなければならないということです。
そこで、土地の購入から住宅ローンを利用したい人に向けて、「土地先行融資」と「つなぎ融資」という仕組みが設けられています。
土地先行融資の仕組み
土地と建物の代金のそれぞれで住宅ローンを組む融資であり、「2本立ての住宅ローン」とも呼ばれています。
土地を購入する前から、土地と建物両方について融資審査を受けておき、「土地購入時」と「建物引き渡し時」の2回に分けて融資を受けられる仕組みです。
建物分のお金は土地を担保にして借りられるため、後述するつなぎ融資と比べると低金利で利用できるのがメリットです。
一方、建物の着工金や中間金は現金で賄わなければならないため、一定以上の自己資金が必要な点には注意しましょう。
つなぎ融資の仕組み
つなぎ融資とは、本来の融資が実行される引き渡し前の資金が必要なタイミングで、その都度融資を受けられる仕組みです。そのため、土地の購入費用はもちろん、着工金や中間金にも利用できるのが利点です。
そして、引き渡し時に行われる本来の融資で、それまでに借りていたお金もまとめて返済するのが一般的な流れとなっています。そのことから、本来の融資までの間をつなぐという意味で、「つなぎ融資」という名称がついています。
自己資金が少なくても土地の購入から家づくりが行えるのがメリットである一方、通常の住宅ローンや土地先行融資と比べて金利は高めに設定されているため、負担額が大きくなってしまう点には注意が必要です。
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土地代込みで注文住宅を建てるときの予算計画のコツ
土地代を含めて注文住宅の予算を組む際には、次の3点を意識しておくことが大切です。
- 総費用の10%程度は頭金として用意する
- 家と土地の予算配分を明確にする
- 土地代を抑えられるエリアにも目を向ける
土地の購入から進める際には、さまざまなタイミングで自己資金が必要であるとともに、総借入額も大きくなります。そのため、少なくとも総費用の10%程度の頭金は用意しておき、資金計画にゆとりを持たせておくことが重要です。
また、計画を立てる段階で、土地と建物の予算配分を明確にしておくこともポイントです。
冒頭で紹介した2021年度「フラット35利用者調査」によると、土地と建物の予算配分は全国平均で1:2程度(土地取得費:1,445万円、建設費:3,011万円)とされていますが、都市部と地方では割合が異なるため、住みたいエリアに合わせた調整が必要となります。
また、同じ都道府県でも市区町村や沿線の違いで土地代に大きな差が生まれるケースもあります。予算を抑えたい場合は、価格相場や公的データなどで土地代を抑えられるエリアを探してみるといいでしょう。
まとめ
- 土地付き注文住宅の所要資金は全国平均で4,455万円
- ただし、首都圏とその他の地域では所要資金に大きな開きがある
- LIFULL HOME’Sの「価格相場」や公的データから住みたいエリアの土地相場を調べることができる
- 土地の購入にかかる諸費用も予算に組み込んでおこう
- 土地の購入に住宅ローンを利用する際は、土地先行融資とつなぎ融資の仕組みも押さえておこう
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更新日: / 公開日:2023.03.17