希望の条件と実際に住んだ物件の条件は、どう違う?
当初、はじめての一人暮らしをするのに希望していた条件と、実際に住んだ物件の条件はどのように異なるのでしょうか。
希望条件では、「賃料・管理費が予算内に収まる」(54.2%)、「通勤・通学がしやすい」(47.6%)、「買い物が便利である」(42.5%)がトップ3でした。
実際に選んだ物件も、順位は変わるものの顔ぶれは同じで、「買い物が便利である」(47.5%)、「通勤・通学がしやすい」(44.4%)、「賃料・管理費が予算内に収まる」(39.1%)となりました。
一人暮らしにぴったりな物件
諦めた条件は?
事前に希望していたにも関わらず、条件を諦めた人のボリュームを見てみると、以下のようになります。
この結果から、「賃料・管理費が予算内に収まる」(49.3%)、「初期費用が抑えられる」(45.3%)など、費用面を諦めた割合が多いことが分かります。予算内に収まることを求めていたものの、かなえられなかった人も半数近くいたようです。
立地面では「買い物が便利である」「駅までの距離が近い」といった生活と交通の利便性を諦めていました。家の仕様・設備面では「南向きである」「宅配ボックス付き」「築浅・新築である」「希望する間取り(部屋数)である」などが挙がっています。
住んでみて「そこまで必要ではなかった」と思う条件は?
では、予算などから条件を見直さなければならない場合、何を削るのがよいのでしょうか。その参考にしたいのが、こちらの結果です。
実際に住んでみて、「そこまで必要ではなかった」と感じる条件を挙げてもらいました。
割合がもっとも高かった「部屋が広い(〇平米以上など)」は、一人暮らしならではの条件といえるでしょう。部屋が広いほど、掃除の手間が増えたり、光熱費がかかってくることにつながります。
それでは、一人暮らしにはどの程度の広さが必要なのでしょうか。目安としたいのが国土交通省の居住面積水準です。世帯人数別に最低限必要な面積(最低居住面積水準)と、ゆったり過ごせる広さ(誘導居住面積水準)が以下のように示されています。
出典:国土交通省「住生活基本計画における居住面積水準」
友人などを頻繁に家に招くわけでなければ、誘導居住面積水準以上の平米数はなくてもいいでしょう。
費用面では「初期費用が抑えられる(敷金・礼金なしなど)」が「賃料・管理費が予算内に収まる」を上回っています。毎月かかってくるのは賃料や管理費です。住む期間が短いわけでもなければ、初期費用にこだわりすぎず、固定費を重視して選んだ方がよいでしょう。
ほかにも検討したい点として、料理をさほどしないのであれば、「コンロが2口以上ある」は見直してもいいかもしれません。角部屋も風通しのよさや窓が多いことなどメリットに見えますが、窓などの開口部があることで、外気の影響を受け、光熱費がかかりやすくなります。リモートワークやオンライン授業が多いなら、「駅までの距離が近い」「通勤・通学がしやすい」もさほどこだわらなくてもよい条件といえるでしょう。
このように、ライフスタイルによっては、こだわらなくてもいい条件もあることを覚えておきましょう。
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「予算」と「条件」では「予算」重視派が多い
「予算」と「条件」が合わなかった場合、どちらを重視するのでしょうか。
「予算内で条件に合う物件が見つかった」という恵まれた人が44.5%と半数近くを占めましたが、問題は見つからなかった人です。結果は、「条件を見直して予算内に収まる物件を選んだ」が33.1%で、「予算を上げて条件に合う物件を選んだ」14.4%を大きく上回りました。
一般的に家賃は手取りの3分の1までが望ましいといわれています。また、初期費用は家賃4ヶ月から6ヶ月分が目安です。これに引越し代が別途かかります。
特に賃料や管理費などの固定費は毎月支払っていくものなので、慎重に考えたいものです。無理のない範囲であれば予算を上げてみるのもいいですが、超えてしまうのであれば条件を見直して予算内に収まる物件を選ぶようにしましょう。
はじめて一人暮らしをした物件の平均点は68点
はじめて一人暮らしをした物件に点数をつけるとしたら理想に対して100点満点中何点だったか聞きました。平均点は68点。70点台、80点台の割合がそれぞれ2割超と多く、総じて評価が高めであることが分かりました。当初の条件から諦めることはあっても住んでしまえば、愛着を持つようになるのでしょう。
その点数をつけた理由も聞いてみました。
点数が高かった人(70点以上)の理由
「築年数はたっていたが気にならないくらいきれいだったし、条件も満たしていたから」(100点)
「間取りや部屋の条件はすべて合致していた。ただ、同じマンションに住んでいる人のマナーがよくない(ゴミ出しの日を守らないなど)ため、マイナス10点にしました」(90点)
「駅近で間取りもよく部屋が広い。建物は古いがリフォームされていて部屋はきれい」(95点)
「職場に近い、駅に比較的近い、食料品の買い物がしやすいという立地。トイレ、バス別で、シャワーにサーモスタットが付いていた。そのほか、自分の希望以上の条件だった」(85点)
点数が低かった人(50点以下)の理由
「洗濯機外置き、ユニットバス、収納が1つもない、などの点が想像以上に不便だった。大家が1階に住んでいて、うまく関係を築けなかった。虫が湧いて出た」(5点)
「もっといいところがあったと思うが、焦って決めてしまい後悔がある」(20点)
「思っていたより部屋が狭かったのと、スーパーが徒歩圏内から少し離れていたから」(50点)
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はじめての一人暮らしをした先輩からのアドバイス
最後に、はじめて一人暮らしをした経験から、これから一人暮らしを考える人へのアドバイスをもらいました。
退去理由も聞いてみる
「絶対に内見はした方がいい。不動産会社の担当者に前に住んでいた人の退去理由を聞くといい」
通勤・通学ラッシュも確認を
「通勤ラッシュ時の電車の混み具合を考えたい。値段より毎日の快適さが重要」
住人のマナーをチェック
「ゴミ置き場に回収されずに残っているものがないかを事前に確認すべき」
妥協せずにある程度費用をかけるべき
「あまり費用を抑えるための部屋選びをすると、不便な部屋が多くてその改善のために費用がかかるから、なるべく妥協せずに探した方がいい」
「自宅となる場所は安い物件で我慢するよりも、ある程度の賃料がかかっても居心地のよい空間であるべきだと思う」
条件整理を先にすべき
「最初に条件を決めてから比較検討すべき、その中でも立地は特に重要だと思う」
「何を妥協して、何が譲れないか、実際に住むことを考えて想像するべき。このくらいは我慢できるだろう、ということが意外と厳しい」
「時間にゆとりを持って探すことが大切だと思う。ひとつの不動産に限らず、選択肢を増やすことも大切。あと妥協できる点、妥協できない点も明確にすると選びやすい」
編集部からのチェックポイント
- マナーをチェックする方法には、ゴミ置き場を確認する以外に、郵便ポストの周辺にチラシが散乱していないか、掲示板に騒音に対する注意喚起などがないかを見るのも有効です。
物件を内見する前に、絶対に譲れない条件と無理なく出せる予算を定めておくことをおすすめします。内見すると物件の内装に気を取られがちなので、周辺環境や通勤先などへの通いやすさも含め、条件ごとに点数をつけておくといいでしょう。
内見する時間がないという方は「オンライン内見」という方法もあります。
参考
絶対条件とできれば条件で分けられる「できれば検索」
LIFULL HOME’Sには「絶対に必要な条件」と「できれば必要な条件」を選択できる機能があります。優先順位があるなら、優先度の強弱をつけて選ぶこともできます。
- 絶対条件とできれば条件で分けられる「できれば検索」
調査概要
【調査実施期間】
2022年12月14日(水)~12月15日(木)
【調査対象者】
現居住地:全国
過去3年以内に初めて一人暮らしをした経験があり、部屋選びに関わった人
【調査方法】
インターネット調査
【有効回答数】
550人
この記事のポイント
希望の条件と実際に選んだ物件は、どう違う?
希望条件は、「賃料・管理費が予算内に収まる」「通勤・通学がしやすい」「買い物が便利である」がトップ3となりました。
希望者のなかで諦めたこととしては、「賃料・管理費」や「初期費用」などの費用面や、「買い物が便利である」「駅までの距離が近い」といった生活と交通の利便性などでした。
詳しくは「希望の条件と実際に選んだ物件は、どう違う?」をご覧ください。
一人暮らしの物件に、必要ではなかったと思う条件は?
実際に選んだ物件のうち、必要ではなかった割合が高かったのは、「部屋が広い」「初期費用が抑えられる」でした。
詳しくは、「住んでみて『そこまで必要ではなかった』と思う条件」をご覧ください。
はじめての一人暮らしをするときの注意点は?
- 以前の入居者の退去理由も聞いてみる
- 通勤・通学ラッシュも確認を
- 住人のマナーをチェック
- 妥協せずにある程度費用をかけるべき
- 条件整理を先にすべき
- 妥協せずにある程度費用をかけるべき
- 条件整理を先にすべき
アドバイスの具体例は「はじめての一人暮らしをした先輩からのアドバイス」をご覧ください。
一人暮らしにぴったりな物件
更新日: / 公開日:2023.01.24