住宅ローンの利用計画は、安定して支払える毎月の返済額を基に、現実的な予算を設定することが大切です。
今回は、「月々8万円」の返済額に設定したとき、どのくらいまでの予算を無理なく組むことができるのか、シミュレーションしながら解説します。
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月々8万円の返済で中古マンションは購入可能?
月々8万円の返済で中古マンションを購入すること自体は可能です。
中古マンションの価格は売主が決めます。新築マンションのように明確な定価があるわけではなく、立地や築年数、部屋の広さ・設備、階数などの条件によって大きく変わります。
そのため、中古マンションを購入しようと考えているのであれば、まずどのくらいの資金が必要なのか相場を知っておくといいでしょう。
国土交通省の2022年度「住宅市場動向調査報告書」によると、中古集合住宅の年間返済額の平均は101.3万円(※)であり、月額にすると約8.4万円となります。
※ 三大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏)での調査結果
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月々8万円の返済だと借入可能額はどのくらい?
もし、毎月8万円を住宅ローンの返済に充てるとして、一体いくらまで借り入れができるのでしょうか。
借入可能額を把握するためにも、LIFULL HOME’Sの「住宅ローンシミュレーター」を利用して、以下の条件で試算してみましょう。
毎月返済額:8万円 返済期間:15年、25年、35年の3パターン 金利条件:全期間固定金利1.5% その他の条件:頭金なし、ボーナス併用払いなし |
上記の条件で試算した結果、借入可能額と総支払額はそれぞれ以下のようになりました。
返済期間 | 借入可能額 | 総支払額 |
15年 | 1,289万円 | 1,440万2,480円 |
25年 | 2,000万円 | 2,399万6,180円 |
35年 | 2,613万円 | 3,360万2,518円 |
返済期間が長いほど借入可能額も大きくなります。そして同時に、利息分を含んだ総支払額も増えるので注意が必要です。
暮らしに支障が出ないラインを考える必要があるため、さまざまなパターンでシミュレーションを実際に行ってみるといいでしょう。
家計への負担を軽くしたいのなら頭金を用意しよう
先ほどシミュレーションした金額は、すべて頭金なしでの試算となります。しかし、頭金を用意した際のメリットも把握しておきましょう。
頭金は自己資金の一部ではありますが、用意することで総支払額が抑えられたり、住宅ローンをより低金利で利用できたりするメリットがあります。
住宅金融支援機構の2022年度「フラット35利用者調査」によると、中古マンション購入者の頭金の平均額は528.9万円。これは平均購入金額(3156.9万円)の16.8%に当たります。
そして、借入金を返済するための期間ですが、2022年「住宅市場動向調査報告書」によると、35年以上かける人が52.2%ともっとも多く、続いて20~35年未満が32.8%となりました。
では、実際に用意する頭金の額の違いによって返済額がどのように変わるのかをシミュレーションしてみましょう。
先ほど出した返済期間35年の借入可能額を基に、毎月返済額と総支払額を以下の条件で試算します。
物件価格:2,613万円 返済期間:35年 頭金:頭金0、1割、2割の3パターン 金利条件:全期間固定金利1.5% その他の条件:ボーナス併用払いなし |
試算結果は以下のとおりです。
頭金 | 月々返済額 | 総支払額 |
なし | 8万6円 | 3,360万2,518円 |
1割 | 7万2,015円 | 3,024万6,124円 |
2割 | 6万3,993円 | 2,687万6,870円 |
頭金を用意することで、総支払額は少なくなり、毎月の返済負担も軽くできます。
毎月の返済を無理なく進めるためにも、頭金は用意した方がいいですが、日々の生活もあるので負担にならない額を検討してみましょう。
月々8万円を返済するために必要な年収は?
月々8万円の返済が適正かどうかを判断するためにも、大事なのは年収です。ここでは、毎月の返済額を決める基準になる返済負担率や年収について解説します。
返済負担率は25%以内が理想…年収の目安は384万円
住宅ローンの返済額を決める指標は、一般的に「返済負担率」を用いることが多いです。返済負担率とは「年収に対する年間返済額の割合」を指します。
金融機関の多くは住宅ローンの審査基準として35~40%以内の返済負担率を基準にしていますが、実際に無理のない返済の目安は25%以内とされています。
たとえば、2022年度「フラット35利用者調査」でも、中古マンション購入者の平均返済負担率は19.7%です。
そのため、返済負担率25%で毎月の返済額を8万円とした場合の年収目安は「8万円×12ヶ月÷25%=384万円」と計算できます。
参考までに、同調査によると、中古マンション購入者の平均世帯年収は621.5万円でした。年収384万円の場合は、平均よりも大きく下回りますが、資金計画や返済プランをきちんと立てれば中古マンションの購入は十分可能です。
年収倍率から見た物件価格の目安は1,920万~2,304万円
目安の年収が分かったところで、実際にいくらの金額の物件を購入できるのかを考えてみましょう。
一概には言えませんが、一般的に物件価格の目安は年収の5~6倍程度といわれています。そのため、年収384万円であれば物件価格の目安は1,920万~2,304万円程度といえます。
お手軽に物件の購入目安が分かる計算式ではありますが、あくまでもシンプルに計算したものであり、細かな事情や購入時の諸費用などは含まれていません。
そのため、資金計画や返済プランのベースにするには精度が高くないことは注意が必要です。
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月々8万円の返済プランを立てるときの注意点
住宅ローンの返済プランを立てるときに注意しておきたい3つのポイントを紹介します。
月々返済額と賃貸物件の家賃は別物
返済プランを練るときに大きなリスクになるのが、賃貸物件の家賃と住宅ローン返済額を一緒のものと考えて設定してしまうことです。
賃貸とは違い、中古マンションを購入した後は、修繕積立金や税金などが別途かかるのを忘れないでください。
実際、中古マンションを購入した後の税金や管理費などのコストの内訳は以下のとおりです。
費用の項目 | 内容 | 計算方法・金額の目安 |
固定資産税 | 毎年1月1日、その不動産の所有者が支払う税金 | 固定資産税評価額×1.4%(標準税率) |
都市計画税 | 都市計画事業などを行う市街化区域内に土地や家屋を持っている人に課される税金 | 固定資産税評価額×0.3% |
管理費 | 共用部分の清掃や設備の管理に必要なお金 | 毎月1万~2万円程度 |
修繕積立金 | 大規模修繕のために積み立てられる費用 | 毎月5,000~1万5,000円程度 |
駐車場代など | 自家用車やバイクなどの駐車場代金 | マンションごとで異なる |
具体的な金額は物件によって異なりますが、維持費としては毎月3万~7万円程度の金額を見込んでおく必要があります。
さらに、将来的にリフォーム・リノベーションを計画しているのであれば、これらの費用にプラスして積み立てを行う必要もあります。そのため、住宅ローンの返済額にはある程度余裕を持たせておくことが大事です。
もし、中古マンション購入後にかかる固定資産税や都市計画税について、具体的な金額が知りたいのであれば、不動産会社へ問合せをしてみると、過去の所有者の支払いを基に具体的な金額を確認できます。
返済と貯金を両立できるか
住宅ローンを組むときは、返済期間が長期にわたるので、毎月の返済を行いながら、きちんと貯蓄が行えるかも検討しておく必要があります。将来必要となるリフォーム費用や教育費、老後資金などは別立てで考えておきましょう。
中古マンションの購入時には、物件価格の6~9%にあたる諸費用が発生する点にも注意が必要です。上記シミュレーションで出した年収倍率の1,920万円を参考に計算すると、用意する金額は115万~173万円程度となります。
中古マンション購入時の諸費用の内訳としては、以下のものが挙げられます。
物件の購入時にかかる費用 | ||
費用の項目 | 内容 | 計算方法・金額の目安 |
仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬 | 物件価格×3%+6万円+消費税が上限 |
印紙税 | 売買契約書、工事請負契約書に貼る印紙代 | 1万~3万円 |
不動産取得税 | 不動産取得時に発生する税金 | 0円~固定資産税評価額の3% |
登録免許税 | 登記に必要な税金 | 固定資産税評価額の0.1~2% |
司法書士への依頼料 | 登記代行の依頼料 | 10万円前後 |
固定資産税 清算金 | 売主(不動産会社を含む)へ支払う固定資産税の負担金 | 固定資産税の日割り金額 |
住宅ローン利用時にかかる費用 | ||
費用の項目 | 内容 | 計算方法・金額の目安 |
印紙税 | 金銭消費貸借契約書に貼る印紙代 | 2万~4万円 |
登録免許税 | 抵当権設定登記に必要な税金 | 借入額の0.1~0.4% |
司法書士への依頼料 | 登記代行の依頼料 | 4万~8万円 |
ローン手数料 | 金融機関に支払う手数料 | 3万~5万円 |
ローン保証料 | 保証会社に支払う保証料 | 借入額の0.5~2% |
物件調査料 | 物件が融資基準を満たしているかを調査する際の依頼料 | 4万~6万円 |
上記の諸費用や頭金は購入前に現金で支払うことになるので、支払いのタイミングを確認し、資金計画を立てて準備をしておきましょう。
返済と家計とのバランスをしっかり確認する
住宅ローンを返済するための返済プランを考える際、マンション購入後の家計と毎月の返済額とのバランスを考えることが大切です。
LIFULL HOME’Sの「おうち予算シミュレーション」というツールでは、年齢や家族構成、収入などの条件を入力するだけで、次のような項目を簡単にシミュレーションすることができます。
・無理のない購入予算 ・無理のない毎月の返済額 ・生活費のモデルケース ・毎月貯蓄できる金額の目安 |
生活費については、食費や日用品など細かな項目ごとに試算されるのに加え、それぞれの金額をスライドバーで任意に調整することも可能です。
自身の家計状況に応じて、返済後の支出のモデルケースを作成できるので、ぜひご活用ください。
月々8万円の返済で買える中古マンションの特徴を見てみよう!
LIFULL HOME’Sに掲載されている物件のなかから、実際に月々8万円の返済で購入できる中古マンションはどのような物件なのか見てみましょう。
ここでは、年収倍率から試算した1,920万~2,304万円という目安額を参考に、「予算2,000万円」で購入できる中古マンションの事例をいくつか紹介します。
東京23区の場合
東京23区は中古マンションの価格相場が特に高いエリアです。LIFULL HOME’Sの「価格相場」でリサーチをすると、ほとんどのエリアで平均価格が5,000万円を超えていることが分かります。
しかし、中古マンションの場合、間取りやエリアといった条件を工夫すれば、予算2,000万円でもさまざまな物件を見つけることができます。
主な傾向としては、以下のような特徴が挙げられます。
・ワンルームや1Kなど単身世帯向けの間取りがほとんど ・3LDKなどのファミリー向けの物件も見つかる ・専有面積25平米(※)以上の物件も多い ・築年数が古いほど専有面積も広め ・築7年~50年以上と築浅から築古まで幅広い ・フルリノベーションやリフォーム済み物件もある |
※単身世帯の最低居住面積水準
基本的には単身世帯向けの間取りが多数ですが、築年数が古かったり駅から少し離れていたりする物件は3LDKなどファミリー世帯向けの間取りの場合があります。
また、リノベーションを済ませてある物件も多く、きれいな部屋も多数見つかります。
東京都の市部の場合
次に、もう少し視野を広げて東京都の市部を見てみましょう。都市部には、2人世帯向けやファミリー世帯向けの間取りが多く、選択肢が23区内よりも広がっているのが特徴です。
・2人世帯向けの2DKからファミリー向けの3DK、3LDKなどの間取りが多い ・専有面積30平米(※)以上の物件がほとんどで単身世帯でもゆとりをもって暮らせる ・ペット可能物件も多数 ・セキュリティが充実している物件も多い |
※ 2人世帯の最低居住面積水準
地方都市の場合
一方、地方都市ではどのような物件が見つかるのでしょうか。今回は福岡県北九州市で予算2,000万円の物件を探してみました。特徴は以下の表のとおりです。
・駅から10分圏内の物件が多い ・ほとんどの物件が専有面積30平米以上 ・ファミリー世帯が住みやすい間取りと広さが確保しやすい ・築年数は20年以上が多いが、中には15年以内の物件も見つかる ・バリアフリー対応がされている物件も多い |
基本的にファミリー世帯向けの専有面積が広い物件が多く、ペット可のマンションもあります。もし、移住を考えている場合も自分に合う中古マンションを見つけやすいといえます。
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記事のおさらい
月々8万円の返済プランで中古マンションは購入できる?
月々8万円の返済の場合、国土交通省の2022年度「住宅市場動向調査報告書」によると、中古集合住宅の年間返済額の平均は101.3万円で、月額に直すと約8.4万円となり平均値に近いので十分購入可能だといえます。
無理のない住宅ローンを組むとき返済負担率はどのくらい?
一般的には25%以内が無理なく返済を続けられる割合といわれています。多くの金融機関では、返済負担率30~40%以内を上限として設定しており、返済負担率が高いと、返済中の滞納リスクも高くなるため、審査では不利になってしまいます。
月々8万円を返済するために必要な年収は?
必要な年収は、返済負担率を基に考えると「8万円×12ヶ月÷25%=384万円」となります。参考までに、2022年度「フラット35利用者調査」によると中古マンション購入者の平均世帯年収は621.5万円でした。
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