中古マンションを購入したときには、引き渡しのタイミングで登記手続きを行うのが一般的です。今回は、登記の基本的な意味について解説したうえで、手続きにかかる費用相場を紹介します。

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中古マンションの購入時に必要な登記は2つ

 

「登記」とは、権利関係を明確にするために設けられた制度のことです。不動産登記は、その土地や建物がどのような状態なのか、誰の所有なのかなどを明らかにするために行います。

 

不動産登記には「所有権保存登記」「所有権移転登記」「抵当権設定登記」の3種類があります。

 

ただ、所有権保存登記は住宅を新築した際に必要な手続きであり、中古マンションの購入時には関係ありません。そのため、ここでは所有権移転登記抵当権設定登記について見ていきましょう。

 

所有権移転登記とは、もともとの所有者(売主)から新たな所有者(買主)へ所有権が移ったことを示すために行います。

 

マンションの場合、新築ならデベロッパーや不動産会社、中古なら売主が元の所有者となるため、購入後にはトラブルを避けるために所有権移転登記を行うのが基本です。

 

抵当権設定登記とは、住宅ローンを組む際に必要な登記です。住宅ローンを借りるためには、万が一の返済不能リスクに備えて、購入する不動産を担保として設定する必要があります。

 

そこで、金融機関を抵当権者として抵当権設定登記を行い、対象の不動産を担保に設定するのです。抵当権が設定された物件については、住宅ローンの返済ができなくなったときなどに、差し押さえの対象となります。

 

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登記に必要な登録免許税

 

「所有権移転登記」と「抵当権設定登記」を行うときには、それぞれ登録免許税がかかります。登録免許税とは、登記を行う際に国へ納める税金のことです。

 

ここでは、登録免許税の計算方法と、登記に必要な書類について見ていきましょう。

 

マンションの場合、登記は土地と建物のそれぞれで行う必要があります。そのため、登録免許税も土地の分と建物の分をバラバラに計算することとなります。

 

登録免許税の計算には、固定資産税評価額(所有権移転登記の場合)や抵当権設定額(抵当権設定登記の場合)を用い、そこに決められた税率をかけて求めます。

 

登録免許税には以下のようにさまざまな軽減措置が設けられており、通常の本則税率よりも低い税率が適用されます。

登記の種類

本則税率

軽減措置

一般住宅

特定長期優良住宅

認定低炭素住宅

所有権移転登記(土地)

2.0%

1.5%(※1)

所有権移転登記(建物)

2.0%

0.3%(※2)

0.2%(※2)(※3)

0.1%(※2)

抵当権設定登記

0.4%

0.1%(※2)

※1 2026年3月31日までに登記を受ける場合

※2 2024年3月31日までに住宅用家屋を取得し、登記を受ける場合

※3 マンションの場合はさらに0.1%にまで軽減

 

所有権移転登記の場合は、次のような書類が必要となります。

所有権移転登記の必要書類

  • 本人確認書類
  • 売買契約書
  • 登記識別情報または登記済証
  • 印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 委任状

また、抵当権設定登記には、次のような書類が必要です。

抵当権設定登記の必要書類

  • 本人確認書類
  • 抵当権設定契約書
  • 登記識別情報または登記済証
  • 印鑑証明書
  • 抵当権者の資格証明書
  • 委任状

基本的に必要書類については、売買手続きの一環として、仲介をしてくれる不動産会社が案内してくれます。疑問や不安な点がある場合には、不動産会社の担当者に質問するといいでしょう。

司法書士に登記を依頼したときの費用相場

 

登記は自分で行うこともできますが、不動産の権利関係に関わる部分なので、正しく行う必要があります。

 

そのため、基本的には専門家である司法書士に手続きを依頼する方が間違いないでしょう。司法書士に登記手続きを依頼した場合、費用の相場は7万~13万円程度が目安です。

 

自分で行う場合でも、登録免許税を負担しなければならない点には変わりがないため、金額と労力、時間のバランスを考えれば、司法書士の代行手数料は決して高いものではありません。

 

なお、登記のうち「表題部」に関する手続きは、地目の変更を行う際や新たに建物を建てる際などに行うものであるため、中古マンションの購入時には気にする必要はありません。

 

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登記費用以外の諸費用についてもチェックしておこう

 

マイホームの購入時には、手数料や税金などの諸費用が発生します。

 

中古マンション購入時の諸費用の目安は物件価格の6~9%とされており、以下のような項目が挙げられます。

物件の購入にかかる費用

費用の項目

内容

計算方法・金額の目安

仲介手数料

不動産会社に支払う成功報酬

物件価格×3%+6万円+消費税が上限

印紙税

売買契約書、工事請負契約書に貼る印紙代

1万~3万円

不動産取得税

不動産取得時に発生する税金

0円~固定資産税評価額の3%

固定資産税

清算金

売主(不動産会社を含む)へ支払う固定資産税の負担金

固定資産税の日割り金額

 

住宅ローン利用時にかかる費用

費用の項目

内容

計算方法・金額の目安

印紙税

金銭消費貸借契約書に貼る印紙代

2万~4万円

ローン手数料

金融機関に支払う手数料

3万~5万円

ローン保証料

保証会社に支払う保証料

借入額の0.5~2%

物件調査料

物件が融資基準を満たしているかを調査する際の依頼料

4万~6万円

また、諸費用とは別に、売買契約の締結時には「手付金」と呼ばれる預け金を用意しておく必要があります。

 

手付金は物件価格の5~10%程度が相場であり、無事に契約が進めば、最終的には物件の購入代金の一部に組み込まれるのが一般的です。

 

ただし、支払うタイミングでは現金で用意する必要がある点には注意が必要です。100万円以上の大きな金額になるため、資金計画を立てる際には念頭に置いておきましょう。

不動産の登記に関する注意点

 

2023年7月時点の法律では、物件の所有権移転に関する登記は義務化されていません。しかし、登記を行わないままでいると、さまざまな不利益が生じる可能性があります。

 

購入したマンションを売却したり賃貸したりする際は、所有者本人の許可が必要であり、未登記の状態では他者に権利を手渡すことができないのです。

 

また、登記をしていない物件には抵当権が設定できないため、住宅ローンなどの融資を受けることもできません。そのため、法律上の義務はないとしても、購入後の登記手続きは必須事項として考えておく方がいいでしょう。

 

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中古マンション購入時にはどんな登記手続きが必要?

 

中古マンションの購入時には、「所有権移転登記」を行い、権利を売主から買主へ移転させる必要があります。また、住宅ローンを利用する場合は、金融機関を抵当権者とした「抵当権設定登記」が必要です。

登記の費用はどのくらいかかる?

 

登記の費用には「登録免許税」と「司法書士の代行手数料」の2種類があります。登録免許税は土地と建物それぞれで計算し、税率には軽減措置が適用されます。また、司法書士の代行手数料は7万~13万円程度です。

登記をしないデメリットは?

 

所有者であることを証明できないため、不動産の売却時にトラブルへ発展してしまうリスクがあります。また、抵当権を設定できないため、住宅ローンなどの融資を受けることもできません。

 

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