マイホームの購入時に多くの人が利用する住宅ローン。住宅ローンを借りるには審査に通過する必要があるため、現在の年収によっては「そもそも住宅ローンを組めるのか」という不安を抱えている人も少なくないでしょう。

今回は「年収250万円」で中古マンションの購入を考えている人に向けて、住宅ローンを利用できるのかといったポイントも含めて、無理のない借入額や返済額の目安、購入できる物件の特徴などを解説します。

中古マンションを探す2,000万円以内の中古マンションを探す

年収250万円で住宅ローンは組める?

 

結論としては、年収250万円の人でも、きちんと条件をクリアすれば住宅ローンを組むことは可能です。まずは、住宅ローン審査の基本的な仕組みや審査基準について見ていきましょう。

 

多くの金融機関では、住宅ローンの申し込み条件として年収の最低基準を設けています。

 

国土交通省の2022年「民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」では、「年収いくら以上を審査基準とするか」について、金融機関の回答結果が示されています。

年収の基準

回答数

100万円以上

258件

150万円以上

405件

200万円以上

71件

250万円以上

25件

その他

205件

このように、年収100万~150万円以上を最低基準としている金融機関がもっとも多く、250万円以上はそれほど多くありません。

 

このことから、年収250万円であれば、申し込み基準はクリアできるケースが多いといえるでしょう。

 

なお、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」のように、そもそも年収基準を設定していない住宅ローン商品もあります。

 

金融機関の審査基準には、年収以外にもさまざまな項目があります。先ほども参照した国土交通省の調査によると、下記の項目は90%以上の金融機関が「審査時に考慮する」と回答しています。

年収以外の審査基準

  • 年齢(借入時、完済時)
  • 健康状態
  • 勤続年数
  • 連帯保証
  • 返済負担率
  • 物件の担保評価

年齢や健康状態が重視されるのは、住宅ローンの返済期間が30年・35年と長期にわたることが多いためです。また、フラット35のように、物件の担保評価を重視する住宅ローン商品もあります。

 

住宅ローンの審査においては、家族構成や雇用形態などもチェックされることがあります。

 

ただ、家族構成を審査項目に挙げている金融機関は30%以下です。そのため、ひとり親の世帯でも特に大きく不利になるわけではありません。

 

一方、雇用形態については70%程度の金融機関が審査で考慮すると回答しており、一定以上の重要度を持っています。

 

たとえば、パート・アルバイトの人は、正社員と比べて収入の安定性が低いと判断されることから、審査では不利になってしまうケースも多いです。

 

雇用形態に不安がある人は、比較的基準が緩和されているフラット35などの住宅ローンを選ぶといいでしょう。

 

なお、自営業や個人事業主の場合は、事業年数や経費控除後の所得といった独自の審査システムが適用されるものの、条件を満たせば住宅ローンは利用できます。

住宅ローンの借入額を決めるときのポイント

 

住宅ローンの借入額は、安定して返済できる月々の金額を明確にし、そこから計算していくのが近道です。そして、毎月の返済額を決める際に重要となるのが「返済負担率」という指標です。

 

返済負担率とは「年収に対する年間返済額の割合」を示す数字です。住宅ローン審査でも重要な項目として扱われており、多くの金融機関では、返済負担率30~40%以内を審査基準にしています。

 

しかし、実際に無理なく返済できるのは25%以内とされています。年収250万円なら、毎月の返済額は「250万円÷12ヶ月×25%=約5万2,000円」以内が目安と考えておきましょう。

 

安定した返済を続けるためには、返済負担率をなるべく低く抑える必要があります。なぜなら、マンション購入時には諸費用がかかり、購入後には管理費、修繕積立金、固定資産税などが発生するためです。

 

中古マンションは新築マンションに比べて「修繕積立金が高くなりやすい」「リフォーム費用がかかることが多い」といった特徴もあるため、購入後の費用が高くなる傾向にあります。

 

そのため、毎月の返済額をギリギリに設定するのではなく、ゆとりを持たせておく必要があるのです。

 

1,500万円の中古マンション購入にかかる諸費用はいくら? 初期費用から購入後の費用まで解説
1,500万円の中古マンション購入にかかる諸費用はいくら? 初期費用から購入後の費用まで解説
マンションを購入する際は、新築よりも価格の安い中古マンションを検討する人も多いのではないでしょうか。…記事を読む

 

中古マンションを探す 2,000万円以内の中古マンションを探す

年収250万円の住宅ローン借入額をシミュレーション

 

返済負担率を25%に設定した場合、年収250万円でどのくらいまで借り入れできるのでしょうか。ここでは、LIFULL HOME’Sの「住宅ローンシミュレーター」を使い、以下の条件で実際に試算してみましょう。

シミュレーションの条件

  • 年収:250万円
  • 年齢:30歳
  • 頭金:頭金なし
  • 返済期間: 35年
  • 金利条件:全期間固定金利1.5%

前述したとおり、年収250万円で返済負担率を25%としたときの毎月返済額は約5万2,000円です。この金額を基にシミュレーションを行うと、借入限度額は「1,698万円」となりました。

 

物件価格1,500万円の中古マンションを買いたい…住宅ローン返済額をシミュレーション
物件価格1,500万円の中古マンションを買いたい…住宅ローン返済額をシミュレーション
中古マンションを購入するのであれば、予算に見合う物件を探すことが大切です。特に、予算が1,500万円…記事を読む

年収250万円で買える中古マンションの特徴と注意点

 

そこで、ここでは「物件価格1,600万円」の中古マンションの事例をいくつか見ていきましょう。

 

今回は、東京23区内と地方都市のそれぞれについてLIFULL HOME’Sで検索を行い、物件価格1,600万円の中古マンションを紹介します(2023年7月時点)。

■事例1:東京23区内のワンルームマンション

 

東京23区内で1,600万円の中古マンションを探す場合、以下のようにワンルームや1Kなどの単身世帯用物件がメインの選択肢となります。

事例

  • 所在地:東京都江東区
  • 交通アクセス:最寄り駅まで徒歩3分
  • 間取り・専有面積:ワンルーム・約18平米
  • 築年数:33年
  • 設備:3点式ユニットバス、オートロックなど
  • その他の特徴:最上階、スーパー200m以内

なお、1LDKなどの物件もありますが、旧耐震基準(1981年6月より前に建築確認を受けた建物の耐震基準)で建てられているものが多いため、耐震性も含めたチェックが重要となります。

 

マンションの耐震基準について知ってる?新耐震基準に適合する物件の探し方とは
マンションの耐震基準について知ってる?新耐震基準に適合する物件の探し方とは
マンションや一戸建てなど、住まいには「耐震基準」というものがあります。耐震基準とは、地震によって崩壊…記事を読む

■事例2:地方都市の2LDKマンション

 

地方都市になると、条件設定次第では、以下のようにファミリー世帯でも住める広めの物件が見つかります。

事例

  • 所在地:北海道札幌市
  • 交通アクセス:最寄り駅まで徒歩4分
  • 間取り・専有面積:2LDK・約54平米
  • 築年数:39年
  • 設備:モニターホン、オートロックなど
  • その他の特徴:南向き、2路線利用可

 

マンション探しを行うときには、管理費や修繕積立金といった費用にも目を向けておくことが大切です。

 

これらの費用は毎月負担することとなるため、住宅ローンの毎月返済額と足し合わせ、月の固定費として捉えておく必要があります。

 

また、1,600万円の物件は単身世帯向けのものも多いです。そのため、将来的に結婚や出産などを機に売却する、あるいは賃貸に出す可能性がある場合には、資産価値を意識することも大切です。

 

特に、物件の担保評価を重要視している住宅ローンを借りる場合は、資産価値を意識した物件選びが求められます。

 

築年数が経過している物件は、そもそも審査に通らない可能性もあるため、事前に金融機関の窓口などで相談しておきましょう。

 

中古マンションを探す 2,000万円以内の中古マンションを探す

年収250万円で住宅ローン審査に通りやすくするには?

 

冒頭でも解説したように、条件を満たしていれば、年収250万円でも住宅ローンを利用することは可能です。

 

しかし、住宅金融支援機構が行った2021年「フラット35利用者調査」によれば、中古マンション購入者の平均世帯年収は608万円とされており、年収が平均を大きく下回る水準であることは確かです。

 

ここでは、年収250万円の人が住宅ローン審査に通るためのポイントを解説します。

 

まずは、最低年収基準が250万円以下とされている金融機関を選ぶ必要があります。ただし、選択肢は狭まってしまうため、必ずしもすぐに金利や保障面で納得のいく住宅ローン商品が見つかるとは限りません。

 

そのため、条件に合う住宅ローン商品が見つかるまでじっくりと比較検討することが大切です。

 

年収が低い世帯では、通常よりも返済負担率に関する審査が厳しくなるケースも多いです。

 

なぜなら、同じ返済負担率25%であっても、年収が低くなるほど手元に残る金額が少なくなり、返済が難しいと判断されやすくなるためです。

 

そのため、十分な頭金を用意して借入額を少なくし、少しでも返済負担率を抑えるのが審査に通る基本のポイントとなります。

 

なお、2021年「フラット35利用者調査」では、中古マンション購入者の頭金の平均額は418.9万円となっており、これは購入金額全体の13.8%にあたる割合です。

 

ただし、購入後の予備費などに備えて、自己資金のすべてを頭金に充てず、一定金額の現金は手元に残しておきましょう。

 

共働き夫婦や親の協力が得られる世帯では、収入合算やペアローンを利用するのもひとつの方法です。

 

これらはパートナーや親などと共同で住宅ローンを利用する方法であり、2人分の収入を足し合わせて審査を受けられるため、借入額の上限を広げることも可能となります。

 

収入合算には「連帯債務」と「連帯保証」の2種類があり、連帯債務はパートナーのどちらかを主債務者、もう片方を従たる債務者としてローンを組む方法です。それぞれが債務者ですので、2人とも住宅ローン控除を受けられます。

 

連帯保証は、パートナーどちらかを主債務者、もう1人を連帯保証人としてローンを組む方法です。基本的に主債務者が返済義務を負うことになり、連帯保証人は主債務者が返済できないときに肩代わりする仕組みです。そのため、住宅ローン控除や団体信用生命保険(団信)は主債務者しか利用できないので注意しましょう。

 

ペアローンは、2人それぞれが住宅ローンを組んで購入する方法になります。どちらも主債務者となるので、住宅ローン控除や団信をそれぞれ利用できる点がメリットです。しかし、ローンを2本組んでいることから、融資手数料や保証料が倍になってしまう点がデメリットといえます。

 

それぞれの仕組みを理解したうえで、自分たちに合ったものを選択することが大切です。

 

住宅ローン、共働き夫婦で検討したい「収入合算」と「ペアローン」とは
住宅ローン、共働き夫婦で検討したい「収入合算」と「ペアローン」とは
共働きのご家庭が住宅ローンを組む場合、夫婦で収入を合算するとより多くの金額を借りられます。夫婦の収入…記事を読む

年収250万円でも住宅ローンは利用できる?

 

金融機関の最低年収基準をクリアしたうえで、審査に通過すれば、年収250万円でも住宅ローンを利用することはできます。ただし、借入額を高く設定しすぎると、返済負担率が原因で審査に落ちてしまうリスクも上がるので注意が必要です。

年収250万円だと住宅ローンはいくらまで借りられる?

 

返済負担率を25%(毎月の返済額5万2,000万円)に設定し、頭金なし、返済期間35年、全期間固定金利1.5%の条件にした場合、1,698万円程度を借りられる計算になります。ただし、金利や返済期間によっても結果は異なるので、家計の状況も踏まえながら細かくシミュレーションしてみましょう。

年収250万円で住宅ローン審査に通るポイントは?

 

まずは、申し込み条件の最低年収基準を250万円以下としている金融機関を探しましょう。そのうえで、十分な頭金を用意し、借入額が増えすぎないようにすることが大切です。また、パートナーや親などの協力が得られる人は、収入合算やペアローンを利用する方法もあります。

 

中古マンションを探す 2,000万円以内の中古マンションを探す

公開日: