中古住宅を購入する際は、多くの物件を内見した方が納得のいく物件を見つけやすく、実際に住んでからの満足度も高くなる傾向があるそうです。

内見の数をこなすことが、なぜ成功の秘訣になるのでしょうか。本記事では、住まいの専門家にお話を伺い、その理由について解説します。

 

今回、LIFULL HOME’Sが中古住宅の購入者242名を対象に行ったアンケート調査によると、「中古物件を検討する中でどのような懸念がありましたか?」という質問に対し、次のように回答した人が多い結果となりました。

 

「価格の適正さ30.0%」「耐久性(老朽化)29.8%」「リフォーム/修繕などの追加費用24.0%」「見た目/デザイン(古さ・汚れ)23.7%」と、やはり、価格が適正かどうかや隠れた部分に何かしらの欠陥があるのではないかという点、設備の古さや購入後のメンテナンスにかかる費用が心配という人は多いようです。

 

そういった懸念があるためか、「購入にあたり行ったことは何ですか?」という質問に対しては、「内見50.0%」という回答がもっとも多く、大半を占めています。さらに、そう回答した人の購入後の満足度は「非常に満足」「どちらかといえば満足」の割合が高い結果となっていました。

 

アンケート結果を見ると、内見をすることによって購入後の満足度が高くなるという傾向があるようですが、どうしてそうなるのでしょうか。

 

その理由を探るために、住宅アナリストと不動産会社の担当者に、中古住宅の内見の重要性を伺いました。

 

まずは、LIFULL HOME’S総研副所長・チーフアナリストである中山登志朗さんに中古住宅の内見が重要な理由についてお聞きします。

 

LIFULL HOME'S総研 チーフアナリスト 中山 登志朗

中山 登志朗(なかやま としあき)

出版社を経て1998年よりシンクタンクにて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演を行うほか、年間数多くの不動産市況セミナーで講演。 2014年9月にHOME’S総研(現:LIFULL HOME’S総研)副所長に就任。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任。(一社)安心ストック住宅推進協会理事。

中山さん「中古住宅のメリットは、一般的には新築に比べると安価であることや広さ・間取りに余裕があることなどが挙げられますが、最大のメリットは、周辺環境を含めて物件を実際に見て確認してから購入できることです。

 

しかし、目に見えない部分、たとえば雨漏りや床下の状態などが分かりにくい&保証面についても不安という声もあります。アンケート結果を見ても、老朽化が不安(29.8%)や、リフォーム/修繕費用や手間が懸念材料(合計36.0%)という回答が多く、これらが中古住宅の大きな課題でした。

 

これらの懸念点は内見をしただけでは解決しません。購入予定者が実際に建物内部を自分の目で確かめても、明らかな瑕疵(壁のひび割れや床の傾斜、老朽化の程度といった建物の不具合)以外は簡単には見つからないからです。

 

日常の暮らしに活用しているだけでは、大きな瑕疵が発生することはそうあることではありません。日常生活していてもなかなか気づきにくいトラブル、たとえば天井裏の雨漏りの痕跡や、押し入れ奥の木材の腐食、床下の蟻道(シロアリの痕跡)、水回りの漏れなどの “隠れた瑕疵”を見つけることは容易なことではないのです。

 

中古住宅の内見時には、ぱっと見ただけでは分からない、気づきにくい瑕疵が隠れている可能性があることを十分意識して、注意深く観察・確認することが求められます。

 

また、住宅の内見によってご自身の目で確認し手で触れ、質感や居住快適性、日当たりや断熱性などが実感できても、まだ不安を感じるユーザーも少なくありません。

 

その際は建築士であるインスペクター(建物診断士)の資格を有する専門家に同行してもらい、ユーザーが分からない、もしくは見落としがちなポイントを確認・指摘してもらうことで、より一層安心して購入することもできます(インスペクターの同行依頼は有償)。

 

大手ハウスメーカーの住宅は、2025年の省エネ基準適合義務実施に先んじて、すでに高い省エネ性能を有する物件の供給実績も豊富で、その点でも安心感があります(物件ごとに住宅性能を確認することができます)。

 

まずは、購入候補に挙がった住宅を実際に自分の目で見てその品質を確認し、不明な点は遠慮なく質問して、それでも分からないことは専門家に依頼すること、建物の実際をモデルルームやモデルハウスでイメージするのではなく“現物”として確認すること、これが物件価格の高騰する時代に求められる“賢い住宅購入策”といえるでしょう。

 

中古住宅を購入する際に行ったことで最も多かった回答が内見(50.0%)であったとおり、住宅選びは実際に建っている住宅をじっくり自分の目で確かめ、居住後の安心感と安全性を確信することから始まるのです」

 

実際に中古住宅を販売する不動産会社側の意見も気になるところです。

 

2人目の専門家として、積水ハウス不動産関西株式会社なかもず営業所の角野太一さんに、中古住宅を購入する際の内見の重要性についてお聞きします。

 

積水ハウス不動産関西株式会社 なかもず営業所 角野太一さん

積水ハウス不動産関西株式会社 なかもず営業所 角野太一さん

――今はネットで検索すればすぐに必要な情報が手に入るので、それで十分だと思ってしまいがちですよね。

 

角野さん「そういった傾向はあると思います。ただ、中古住宅は新築住宅と違い、室内の状況は実際に見てみないと分からない部分もかなり多いんです。

 

たとえば、設備や住宅の劣化状況によっては、リフォームにかかる金額が将来の資金計画に大きく影響します。

 

現地で実際に自分の目で見て気になった点については、担当者にその場で相談したり、詳しく説明してもらうことで、将来を見据えた納得のいく住宅選びがしやすくなります」

 

――なるほど。そういった点では住宅のプロに話を聞けるのは大きなメリットですね。リフォームが必要な箇所も分かるし、具体的な資金計画も立てやすくなりますね。

 

――中古住宅はスピード勝負とよく聞きますが本当なのでしょうか?

 

角野さん 「確かにそういった面はあります。中古住宅の購入でよくあるのが、内見で好印象だった物件を検討している間に、ほかの人に契約されてしまうことです。スピード勝負だからこそ『良質な住宅を見極める力』が非常に重要です。

 

しっかりとポイントを押さえた内見をたくさん経験することで、『これだ!』という理想の物件に出会った際に、後悔のない決断ができるようになります」

 

中古住宅の内見時には、壁や天井、ドア、窓、水回り、日当たり、風通しなど、見たり触ったりすることですぐに分かる部分はもちろん、それ以外の目に見えない部分に関しても、住宅のプロに確認しておくことが重要なんだそうです。

 

内見に行く前に知っておきたい、特にチェックすべきポイントについて、角野さんに伺いました。

 

――実際に内見をする際は、室内の様子や設備などを重点的にチェックすればよいのでしょうか?

 

角野さん「内見に行くとどうしても目の前に見える部分だけをチェックしてしまいます。それは間違いではないのですが、中古住宅で特に確認しておきたいのは建物の構造や耐震等級、断熱性能、修繕履歴など、住宅の性能に関わる部分です。

 

地震の多い日本で家族の安全を守れるか、部屋同士の寒暖差が少なく快適に過ごせるか、維持管理がしっかりとされているか、住宅価値を損なっていないか、といった住宅そのものの品質をチェックすることが重要です」

 

――目に見える部分だけでなく、目に見えない部分もしっかりとチェックすることが大事なんですね。

 

角野さん「そのとおりです。耐震補強がしてあるかどうか、過去にどんな修繕を行っているかなど、不動産会社の担当者に聞いてみるといいでしょう」

 

――確かに、メンテナンスの履歴は気になりますね。売主さまでも把握できていない不具合はどうしたらよいのでしょうか?

 

角野さん「目に見えない部分の瑕疵(欠陥)は後から見つかるケースもあるため、引き渡し後に瑕疵があった際に修繕費用を補償する瑕疵保険がついている物件を選ぶのがおすすめです。万が一に備えて、瑕疵保険についても必ず確認しておきたいですね。

 

ホームインスペクション(住宅診断)や建物状況調査など、第三者機関に調査してもらうとより安心できるので、そういった調査をする場合の費用についても相談してみてください。少しでも気になる点があればその場で担当者に聞いておきましょう」

 

――なるほど。購入後も安心できるかどうかも大事なポイントなんですね。そのほかにも内見前に確認しておくべきことはありますか?

 

角野さん「引き渡しの時期が契約から3ヶ月後、半年後などと決まっている物件もあるため、内見を希望する物件が入居したい時期までに引き渡しが可能かどうかも確認しておきましょう。

 

あらかじめ担当者に入居希望時期を伝えておけば、条件を満たした物件だけを効率的に内見できますよ」

 

中古住宅の購入を検討している場合、内見の数をこなすことが成功の秘訣になるということですが、内見を効率よく進めるためにはちょっとしたコツがあるようです。

 

――なるべく品質が確かな中古住宅の内見をしたいという人は多いかと思います。そういった場合、どういった物件を探せばよいのでしょうか?

 

角野さん「家探しを始めたばかりなら、まずは品質が担保された中古物件を内見してみるといいでしょう。高品質な中古住宅を効率よく見つけるには『スムストック』を選んでみるのもひとつの手です。

 

スムストックとは、大手ハウスメーカー10社が協力して新しい査定基準を設定した優良な中古住宅のことで、『住宅履歴データの保有』『50年以上の長期点検・補修制度』『新耐震基準をクリア』といった3つの条件を満たしています。

 

スムストックは、“いい家は、つづく。”をコンセプトに、中古で購入しても30年、40年と住み続けられる良質な物件であることがポイントです」

 

――“スムストック=良質な中古住宅”ということですね。

 

角野さん「そのとおりです。当社で扱っている積水ハウスのスムストックは、積水ハウスの丈夫な構造躯体を持つ住宅であることに加え、新築時のサポート体制がそのまま引き継げたり、トラブル発生時にすぐに駆けつけるカスタマーサービスが充実している点もポイントです」

内見ポイントおさらい

  • 物件の条件や価格、周辺環境が自分の理想とあっているかを確認しよう
  • 建物の構造・耐震等級・断熱性能・修繕履歴など、住宅の性能に関わる部分を意識しよう
  • リフォームの不安や修繕費、建物の性能、資産価値などは建物を熟知した「住宅のプロ」に話を聞いてみよう
  • まずは良質な物件をたくさん内見して知識をつけ、理想の物件に出会おう

 

――中古住宅に興味はあるけれど、個別で物件の問合せをするのはちょっとハードルが高く感じる…という人もいるかと思います。そういった場合はどうすればよいのでしょうか?

 

角野さん「そんな人におすすめしたいのが、初心者でも気軽に参加できる『内見イベント』を活用することです。

 

積水ハウスグループでは、積水ハウスの既存住宅や純正リフォームを詳しく見学・体験できる『スムストックEXPO住宅博』を定期的に開催しています。

 

実際に物件を見ることで自分がどんな家が欲しいのか具体的なイメージが固まってくるということもあるので、まずは気軽に内見できるイベントから参加してみるといいと思います。

 

建物のプロであるスムストック住宅販売士にその場で直接相談ができるので、家探しのコツや中古住宅を購入するうえで知りたい知識を集めることもできます。

 

積水ハウスの『スムストックEXPO住宅博』で、まずはどんなところを見たらよいか、知ってもらえる機会になったらうれしいです」

 

――建物を熟知したプロに話を聞ける、積水ハウス施工の良質な中古住宅を体感できる、しかも気軽に参加できる、まさにいいことずくめですね。

 

角野さん「ありがとうございます。積水ハウスの『スムストックEXPO住宅博』は、年に2回、全国で開催しているので、ぜひ会場をチェックしてみてください。

 

参加方法も簡単で、まずは公式サイトでお近くの会場を探し、フォームから予約するだけ。少しでも興味を持たれたら、お気軽にご来場ください」

 

「スムストックEXPO住宅博」の来場予約はこちらから

 

アンケートの結果だけでなく、専門家の意見としても納得の中古住宅を購入するためには、やはり内見にたくさん足を運ぶのが一番の近道ということでした。

 

中古住宅を気軽に内見できるイベントも開催されていますので、優良な中古住宅に興味がある人は、「スムストックEXPO住宅博」にも足を運んでみてはいかがでしょうか。

更新日: / 公開日:2024.10.31