動物園情報
動物の戸籍/ホームメイト
私たちが、それぞれ戸籍を持つように、動物園の動物たちにも、「個体カード」という戸籍があります。この個体カードが、動物の繁殖にも活用されるのです。
個体カードの中身
では、個体カードにはどういった内容が記されているのでしょうか。
主に、名前など個体を識別するための情報、性別、出生日、父親と母親、担当の飼育係、飼育場所など、基本的な情報です。そう聞くと、「何だ、ほとんど我々と同じか」と思われるでしょうね。そう、基本的には同じです。なぜなら、個人を識別するということは、人間も動物も生き物ですから、同じなのです。
個体カードの重要性
個体カードが、最も重要な意味を持つのは、動物の繁殖計画を立てるときです。血統の近いオスとメスに子どもができると、近親交配の影響を受け、健全な個体が育ちません。
しかし、動物園では飼育できる動物の数が限られているため、園内で飼育されている個体同士だけでの調整には限界があります。そこで、個々の動物園は、日本国内の動物園はもちろん、海外の動物園とも協力し、絶滅危惧種など、動物の血統を守る取り組みをしています。
ここで重要性を持ってくるのが、個々の個体カードの情報です。世界中の動物園や研究施設で飼育されている動物の血統に関する情報は、決められた種ごとに登録担当者がいて、彼らによって血統登録台帳にまとめられるわけですが、そのもととなるのが、この個体カードなのです。
個体識別の方法
個体の取り違えのミスを防ぐために、個体管理とともに重要視されているのが、「個体識別」です。動物園では、マイクロチップや金属の脚環、プラスチック製の色環、耳標や入れ墨などの方法を使って個体を識別しています。
個体を瞬時に見分ける仕組み
ペンギンを例に紹介しましょう。ペンギンたちは、誕生あるいは園にやってきた順に1番から順に「個体番号」を付けられています。そして、それぞれの番号を素早く知る仕組みもきちんと考えられています。例えば、上野動物園で行なわれている識別法は、ペンギンの翼の根元にカラーリングを着けるものです。リングは黒、赤、青、黄、緑、白、蛍光桃、蛍光青、蛍光黄、蛍光緑の10色あり、順に0~9の番号が当てられています。例えば、125番のペンギンは、右の翼に赤、左の翼に青と白のリングを着けています。