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ペリカンの「のど袋」のスゴ技/ホームメイト
長いくちばしと、その下のたるんだ「のど袋」が何ともいえないユーモラスさを醸し出しているペリカン。しかし、長いくちばしの必要性は何となくわかるものの、その下におまけのようについている不思議な「のど袋」、いったい何のためのもの?と、疑問に思ったことはありませんか? 実はこれ、時には魚を捕る網になったり、時にはエアコン代わりになったりと、実に便利な代物なのです。ペリカンが長いくちばしとのど袋で繰り広げるスゴ技に注目してみましょう。
ペリカンの特徴
ペリカンのくちばしは、鳥類の中で最も長く、大型のものでは約50cmもあります。これは、魚を捕まえるのに適した形態として進化したものです。ここではモモイロペリカンを例に特徴を紹介しましょう。
- モモイロペリカンとは
- モモイロペリカンは、「鳥網・ペリカン目・ペリカン科」の鳥で、ヨーロッパやアジア、アフリカなどの内陸の湖や沼、河口付近を生息地としています。魚類を食料とし、動物園では、アジなどの魚を1日1羽あたり1~2kgも食べます。
- モモイロペリカンの大きさ
- ペリカンのなかでは大型で、一般的なモモイロペリカンは、くちばしの先から尾の先端まで1.4~1.7m、つばさを広げると2m以上、体重約10kg、くちばしの長さは約45cmです。
- ペリカンの生活
- 野生のペリカンは、数十羽から数万羽にもなる群れをつくって暮らし、水の中で泳ぐ魚を見つけると群れで協力して魚群を囲い込み、翼で水面をたたいて浅瀬に追い込んでから、くちばしの下の大きなのど袋ですくい取ります。繁殖期になると、ピンク色がいっそう鮮やかになり、頭の後ろにある冠羽も目立つようになります。
ペリカンの「のど袋」のスゴ技
では、実際に、ペリカンがのど袋を使って繰り広げるスゴ技を紹介しましょう。
のど袋を「網」として使い、チームで漁をするペリカン
ペリカンの魚の捕獲方法である「群れで協力して魚群を囲い込む」というところ、何かを想像しませんか? そう、漁業で使われる漁法のひとつ、数隻の船がチームとなって魚の群れを探し、網で囲い込んで捕る「まき網漁」と同じです。ペリカンののど袋は、皮膚でできており、非常によく伸びます。ペリカンたちはこれを魚を捕る網として使うわけです。そのとき、水も一緒に入ってきますが、のど袋は、何と10リットルを超える水を貯めることができるため、必要のない水はあとから吐き出すのです。こうすれば余分な塩分を吸収せずに済みます。
捕まえた魚は、必ず頭から丸飲みします。これはしっぽからだとヒレなどが引っかかり、うまく飲み込めないからです。また、捕まえたとき、くちばしの中で魚が横になってしまった場合、のど袋の中で器用に魚の向きを変えてから飲み込みます。
体に「エアコン」を装備?
これだけでも驚きの機能ですが、こののど袋は、さらに意外な機能も発揮します。ペリカンは夏の暑い時期に、盛んにのど袋をゆらしている様子が見られます。これは、血管が通っているのど袋を揺らすことで血管を流れる血液の温度を下げ、体全体の温度を下げているのです。
ペリカンの「のど袋ストレッチ」に注目!
動物園ではぜひ、ペリカンが、こののど袋のストレッチや手入れをする様子を観察してみて下さい。口を大きく開いたままでいることもあれば、くちばしの先を真上に向けてのど袋のストレッチをしたり、のど袋を胸の上で裏返したりすることもあります。何だか、ペリカンのヨガを見ているようです。
「ペリカン」に会いに行こう
多くの動物園にペリカンはいます。また、ペリカンがどのように食べるのかを来園者に見てもらおうと、食事風景を見せるガイドを行なっている動物園もあるので、ペリカンのいる動物園を訪れた場合は、その時間帯をチェックしましょう。