動物園情報
動物の「個」に注目/ホームメイト
動物たちは、それぞれの種の一員というだけでなく、人間と同じように、一個体一個体が、それぞれ個性を持ったかけがえのない存在です。動物園では、例えば、ゾウの花子、カバの重吉というように、それぞれに個体の名前が付けられ、来園者に愛されています。個体によって、顔も姿も性格も、そしてそれぞれ生きてきた歴史も違います。そのような「個」違いに着目してみると、新たな動物園の楽しみ方が開けてきます。
じっくり観察して、違いを見つけよう
例えばキリンは、個体ごとに体の大きさ、足の長さ、色、模様などが異なります。体の色が濃い個体もいれば、白っぽいものもいます。しっぽも、長くふさふさしている個体もいれば、ふさ毛がほとんどないものも。体の模様にしても、白線がはっきりしていたり、ぎざぎざだったり、茶斑の中に白い模様があったり、角が開いていたり。じっくり観察しているうちに、意外なほど違いがわかってくることがあります。逆に、親子だと体型や色などが似ているという発見もできるかもしれません。
一個体に注目
個体の違いが少し見分けられるようになってきたら、今度はどれか一個体に注目して、ずっとその行動を追いかけてみましょう。しばらく観察していると、キリン同士でも、親しい仲のキリンと、あまり親しくないキリンとがいることがわかってきます。また、キリンは他の個体に近寄ったり、体を舐めたりという行動をしますが、そのような行動は特定のキリン同士に多く見られることがわかっています。親子の関係にあるキリン同士は接触することが多く、また子ども同士で群れる行動も観察できます。
このような観察を一度経験してみると、それまでは単に「キリンの集団」としか見えていなかったものが、個性あふれる集団に見えてくるようになります。そして、個体識別ができるようになると、もう一度、その個体に会いに動物園に行きたくなるのです。
自分だけの"アイドル"を追う
個体識別ができた個体は、もう、あなたにとってはアイドルではないでしょうか。彼(彼女)がどのように成長していくのか、例えば、だれと結婚し、どんな子供を産むのか。そんな一個体の人生にも深い関心が生まれ、動物園を訪れるたびに、新しい発見をする喜びに出会えます。