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「路面電車」と「鉄道」の違い/ホームメイト
一見、同じように見える路面電車と鉄道ですが、線路の規定や車両サイズなどに大きな違いがあります。路面電車と一般の鉄道の間に、具体的にどのような違いがあるのかを紹介します。
根拠となる法律の相違について
路面電車は「軌道」と位置付けられています。軌道と鉄道の違いは、法律の違いにあります。
路面電車は、1890年(明治23年)制定の軌道条例を母体に、1912年(大正元年)に制定された「軌道法」に基づいて運営され、この軌道法では「線路は道路に敷設すべし」とされています。
一方、鉄道は1986年(昭和61年)に制定された「鉄道事業法」に基づいて運営されています。軌道法と違い、鉄道法では鉄道は道路上に敷設してはならないと定められています。
また、監督官庁も2014年現在は国土交通省に統一されていますが、本来、鉄道は運輸省、軌道は建設省に分かれていました。
線路の規定の相違について
まず大きく異なるのがカーブの半径です。鉄道は原則として最少が160mなのに対し、路面電車の軌道では11mとされており、道路を走ることを考慮して、かなりの急カーブが許容されています。勾配に関しては、軌道は急勾配に強いと言われています。通常の鉄道が原則として35パーミルまでとされているのに対し、路面電車の軌道は40パーミルまでで、特殊箇所については65パーミルまで許されています。
- パーミル
- 1,000分の1を1とする単位で、勾配の角度などに使われます。例えば水平方向に1,000m進む間に20m上がる場合を20パーミルと言います。
車両サイズや定員の相違について
路面電車と鉄道で最も異なるのが車両です。一般的な鉄道車両は全長が20m、重さが約30~40t、立席も含めた定員が150人程度と言われています。一方、路面電車は全長が11~13m、重さが15t程度、立席も含めた定員はわずか70~90人程度と、すべてにおいて鉄道よりも小さなものになっています。また料金箱が設置されているのも、路面電車ならではの特徴です。かつては車掌が乗務していましたが1970年代からワンマン運行が一般的になり、それに伴って設置されるようになりました。いまでは紙幣の両替やプリペイドカードが使える機械の導入も進んでいます。
停留場の規格の相違について
路面電車の停留場は道路上に「安全地帯」として表記されるものが多く見られます。停留場には駅名や時刻表が掲げられている他、道路幅に余裕のあるところでは、ベンチなどが設置されていることもあります。停留場の間隔は、鉄道で言えば地下鉄が平均で約800m~1kmなのに対し、路面電車は平均約400mとされています。また地下鉄などと違って階段などはなく、横断歩道を渡る程度の徒歩で、ホームに辿り着けるのも長所のひとつです。さらには違う系統への乗り換えも、同じホームの反対側でできる場合が多く、地下鉄などの鉄道に比べるとスムーズと言えます。