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食料不足と食糧自給率/ホームメイト
2012年(平成24年)度の日本の食糧自給率は39%。フランスの132%やカナダの122%、アメリカの118%などと比べると格段に低く、先進国の中で最下位です。一方、世界的規模での食料不足も深刻な問題となっています。食料を輸入に頼る日本にとって、これは農政が抱える最も大きな問題のひとつと言えるでしょう。
世界的な食料不足
国連の世界人口白書によると、1998年(平成10年)に60億人だった世界の人口は、2013年(平成25年)には72億人を超えました。さらに2100年には109億人となると国連は予測しています。つまり、約100年の間に49億人もの人口が増加するという見込みです。これは過去に例のない増加率となります。
ちなみに世界人口が10億人を突破したとされる1802年(享和2年)から、20億人を超えた1927年(昭和2年)の間の125年で10億人の増加ですから、これと比較しても現在の増加率の大きさが分かることでしょう。
一方、世界で穀物の収穫が可能な土地は約7億ヘクタールあり、果物や野菜、綿花やお茶などが栽培できる土地も約7億ヘクタール存在します。ところがこの面積は1960年代から現在までほぼ変わらずにきています。つまり、農業生産可能な土地の面積は同じくらいであるにもかかわらず、人口が増え続けているため、生産物の需要と供給のバランスが保てなくなってきているのです。
さらに、干ばつや洪水といった大規模な自然災害により農業生産が落ち込むことや、穀物の食料以外の使途(サトウキビやトウモロコシを原料とするバイオ燃料など)の増加により、食料生産が需要に追いつかないことも起きています。これにより主要穀物の価格が世界的に暴騰します。
また、中国、インド、ブラジル、ロシアなどのいわゆるブリックス(BRICS)諸国といった経済発展が著しい国家での食肉などの需要の増加と、それに反比例する農地の減少によることも、今後の食料不足の一因と考えられています。つまり、人口増加と農業生産が適正なバランスでなくなっているのです。
日本の食糧自給率
そんな世界情勢の中、冒頭に挙げた日本の食糧自給率の低下は、まさにこれからの深刻な問題です。
日本の食糧自給率が低下している理由のひとつに、戦後の経済成長があります。これまで伝統的にコメを主食としてきた和食文化だったのが、戦後、欧米型の食生活が流入し流行したことが原因です。一方では「農地改革」により増加した自作農が大量に生産するコメは、当時の政府が買い上げていたために農家は安定し、コメの生産量は飛躍的に増加していました。しかし食の欧米化が進んでいたためコメの在庫が過剰となり、結果的に政府は生産調整に踏み込まなければならなくなりました。
また、世界的な自由貿易の流れにより、1980年代には牛肉やオレンジの輸入自由化などが行なわれるなど、日本は外国の輸入農産物を受け入れざるを得なくなってきました。
さらに、農村部から都市部への労働人口の流出や、人口の多さに比べて国土が十分な広さを持っていないなどという日本の特徴なども原因となり、食糧自給率が減少していきました。
しかしその一方で、生産されても消費されずに廃棄される食品の多さや、外食産業での食べ残しの多さなど、消費する側の問題点も指摘されています。食糧自給率の低下の抑制のためには、生産側・消費側の両方の観点から問題の解決を図ることが重要です。