冬の図書館情報/ホームメイト

図書館情報(冬)

冬の図書館情報/ホームメイト



冬は読書をするのに絶好の季節。寒い日に、暖かい部屋でじっくりと読書にふけることで、充実した時間を過ごせます。市区町村には、おおむね図書館が設置されていますので、どなたでも気軽に利用することができます。冬休みには、図書館で一日過ごすのも有意義な過ごし方。今回は、図書館での過ごし方をはじめ、時代と共に変化する図書館の役割や取り組み、利用者の活用法についてもご紹介します。

冬の図書館の過ごし方

冬の図書館の過ごし方

外が寒いそんな日には、ご近所の図書館へ。暖房の効いた暖かい部屋で、ゆっくりと本を選び、じっくりとページをめくり、本に没頭する時間は大変有意義です。息抜きに雑誌や漫画を読んだり、映画を観たりしているうちに、あっという間に1日が過ぎてしまいます。ここでは、冬の図書館で過ごすための情報をご紹介します。

快適な読書環境をつくろう

図書館へ行くときは、大きめの手提げ袋などを用意しましょう。雑誌や絵本などはA4サイズ以上のものもあり、書籍によって大きさはまちまちなので、大きめのトートバッグや折り畳みできるエコバッグがおすすめです。携帯電話はマナーモードにして、通話はロビーで行ないましょう。また、館内は飲食禁止なので、水分補給や休憩時はロビーへ行くことをおすすめします。「今日は図書館で過ごそう!」と決めたら、自分も周りの人も気持ち良く利用できるように心がけましょう。

書籍を選ぼう

一般的に図書館の図書は、ジャンルや作家ごとに整理されている場合が多いので、目的の書棚を目指しましょう。また読みたい本が決まっているときは、PCなどで検索できる図書検索システムが便利です。決まっていない場合は、パッと目にとまった本や、普段は読まないような本に挑戦してみるのも、また新しい世界が広がるきっかけになります。

本を選んだら座って静かに読みましょう。最近は本の破損が目立っています。書き込みや食べこぼし、ページ折りや落書き、絵本の背表紙がはずれていたり、料理のレシピ本が1ページ丸ごと破り取られていたり、さらに雨でぬれて本がごわごわになっていたり、ペット等にかじられたような跡があったり。せっかく借りた本が無残な姿になっていることもしばしば…。次に借りる人が気持ち良く読めるように大切に扱いましょう。また、利用期限を守ることも大切なこと。何らかの事情で期限までの返却が難しい場合は、図書館に連絡すれば延長してもらえます。

午後はゆっくり映画鑑賞

図書館では、ビデオ・DVDやCDの貸し出しがあり、館内にCD・カセット・ビデオ・DVDの視聴機が置いてあったり、ビデオルームがあったりする図書館も。変わったところでは、大量のレコードを所蔵している図書館もあります。映画鑑賞などは、自宅で観るより集中して鑑賞することができます。

お子さんとのコミュニケーションツールとして

小さなお子さんと一緒なら、絵本コーナーがおすすめです。絵本コーナーは、小さな子も座って読めるように、じゅうたんが敷いてあります。忙しい日常では、なかなか読み聞かせの時間が取れないというお母さんも、日常を忘れてゆっくりお子さんと向き合う時間になります。

また、おもちゃを貸し出ししている図書館も。おもちゃを購入する前に、お子さんがどんなおもちゃに興味を示すか、確かめることができます。おもちゃを貸し出している図書館は少ないですが、紙芝居や大型絵本、布絵本を所蔵している図書館は増えています。電子書籍が普及している時代ですが、幼少から本に親しむきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

電子図書貸し出しサービスを利用しよう

電子書籍の普及に伴い、電子図書貸し出しサービスを提供している図書館もあります。自宅のパソコンで図書カードのパスワードを入力すれば、24時間いつでも貸し出し、返却できます。貸し出しは、インターネットを通じて閲覧することで、期間が過ぎると自動的に閲覧できなくなります。タイトルや著者、目次、本文も任意のキーワードで検索することもでき大変便利です。

1日遊べる?変わり種図書館

活字離れや書籍の電子化の影響もあり、図書館離れが進む中、他にはない取り組みで一目置かれている図書館があります。ここでは、民間企業によるカフェのようにくつろげる図書館や、漫画に特化した図書館など、時間を作ってでも行きたくなる変わり種の図書館をご紹介。冬の旅行や、お出かけリストに加えてみてはいかがでしょうか。

TUTAYA図書館

佐賀県の温泉街として知られる武雄市の「武雄市図書館」は、2013年に誕生した、レンタル大手TSUTAYAが運営する図書館。日本初の民間企業が運営する一風変わった図書館です。「私語は謹んで」の印象が強い一般的な図書館と違い、カフェでくつろぐ感覚で利用でき、書店やDVDレンタル店、カフェを併設。

木のぬくもりあふれる開放的な空間には、2階天井まで書籍がぎっしりと並び、コーヒーを片手に読書やおしゃべりを楽しんだり、ノートパソコンを開いて資料を作ったりすることもOK。県外からの利用者も多く、観光名所として人気を集めています。2016年時点では、佐賀県武雄市、神奈川県海老名市、宮城県多賀市の3館がオープンしています。

広島市まんが図書館

今や日本の文化として世界中から認知されている“漫画”。この漫画が読み放題という、漫画好きには夢のような図書館があります。「広島まんが図書館」は、漫画に特化した図書館。1983年(昭和58年)に前身の「比治山公園青空図書館」が開館し、1997年(平成9年)に広島県まんが図書館としてオープン。

「図書館にふさわしい良質で資料的価値の高い漫画」をコンセプトにそろえる蔵書は、2015年(平成27年)3月末時点で約132,000冊。漫画の貸し出しの他、漫画のルーツを探り、歴史をたどるコレクションなどの貴重資料、まんが文化論、まんが史論、まんがの描き方等“まんが”を研究、勉強するための本をそろえる「まんが研究資料」コーナーなど、様々な角度から漫画を紹介しています。一人10冊まで借りることができ、希望すれば図書館の周りの木かげやベンチでも読書を楽しめます。

旅の図書館

東京都にある「旅の図書館」は、個人旅行を目的とした“テーマのある旅”をしたい人のための書籍・雑誌などを扱う図書館です。国別・都道府県別になっているガイドブックをはじめ、旅の専門書、時刻表、古書や稀覯書(きこうしょ)を収集し、蔵書は約6万冊。通常は飛行機に乗らないと見られない機内誌も閲覧できるので、図書館に居ながら旅気分に浸れます。

みんなでつくる図書館「まちライブラリー」

「まちライブラリー」とは、みんなで作る図書館。カフェやオフィス、個人宅から病院、お寺、アウトドアまで、様々な場所に設置されており、本棚や本をきっかけに人と人の交流が生まれています。ライブラリーに集まる人によってどんな本棚が生まれ、育っていくか、無限の可能性を秘めた図書館です。

「まちライブラリー」のしくみ

「まちライブラリー」は、ライブラリーに集まる人たちが本を持ち寄ることから始まります。持ち寄った本には、寄贈者の情報や寄贈者のメッセージを記入するスペースがあり、次に読んだ人が感想を連ねていきます。そのしくみから、本をきっかけに自然と会話が生まれ、本棚を囲んだお茶会などのイベントを通じて、本と人、人と人とが交流できる場となっています。「まちライブラリー」は、誰にでもはじめることができ、開設については「まちライブラリー」のサイトから問合せることができます。

「まちライブラリー」の設置場所

「まちライブラリー」は全国に約400ヵ所以上あり、所在地は「まちライブラリー」のサイトから検索できます。その第一号となるのが、大阪・天満橋の「ISまちライブラリー」。近くの人やオフィスのテナントなど、ライブラリーが好きで集まってくる人たちによって運営されています。蔵書は持ち寄った本を中心に4,000冊となり、毎月の「本とバルの日」を通じて増加中。また、2016年(平成28年)12月に開設の「まちライブラリー@千歳タウンプラザ」は、面積約900㎡という日本で、最大のまちライブラリーです。

「まちライブラリー」へ行こう

映画は人と一緒に観に行くことができますが、読書は基本一人で楽しむもの。でもときには、本について語りたい、好きな本を人にすすめたい、という人もおられることでしょう。読書をしたいけれど読みたい本がない、またはどれを読めばよいか分からないときもあると思います。そんなときは、ぜひ「まちライブラリー」を活用してみてはいかがでしょうか。

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冬休みなどの時間を使って、図書館を利用してみてはいかがでしょうか。図書館にも、いくつかの種類がある他、図書館の運営をサポートする「図書館ボランティア」などもいます。

エッセイ記念日(2月28日)

エッセイ記念日(2月28日)

2月28日は、エッセイストの先駆者と言われる16世紀のフランス作家「ミシェル・ド・モンテーニュ」の誕生日で、日本のエッセイストグループがこの日を「エッセイの日」に制定しました。

エッセイは、作者が見たことや聞いたこと、体験したことなどを自由に綴った文章のことで、特別な形式はなく、題材も日常の出来事が多く取り上げられています。文章量も比較的少なく、短時間で一話を読み終えることができるため、通勤電車の中やお茶の時間などのちょっとしたすきま時間を利用して読む人も多くいるのではないでしょうか。日本では古くから随筆として自由に表現した文章が多くあり、清少納言の「枕草子」、鴨長明の「方丈記」、吉田兼好の「徒然草」などは古典文学としても高く評価されています。これらの古典文学は現代で言うとエッセイの部類に入り、当時から日々の生活で起こったことを自由に表現していました。たまに一冊手に取って読んでみると、物事を見る視点や感性が豊かになったり、新しい発見があるかもしれません。

開架式図書館と閉架式図書館

私たちが普段訪れる図書館は、本を自由に探したり、書架の前で手に取って中身を確認したりできます。こうしたスタイルの図書館を「開架式図書館」と言い、ほとんどの公共図書館がこのスタイルを採用しています。その一方で、受付で図書名などを言って、特定の本しか見たり借りたりすることができないスタイルの図書館もあります。こちらは「閉架式図書館」と言い、国立国会図書館や一部の専門図書館に見られます。

「開架式図書館」は、来館者が館内の本を自由に見たり借りたりできる分、多くの人の手に触れるので、図書が汚れたり破れたりすることもあります。また、多くの図書や資料を並べようとすると、広い面積が必要で管理も大変になります。一方、「閉架式図書館」は、検索端末やインターネット画面で図書名や資料名を探す必要はありますが、通常は誰の手にも触れず保管されているので、傷みが少なく、良い状態で保存されているため、コピーを取るなど資料収集に適しています。また、複数の資料を取り寄せたい場合も、自ら動いて探すこと必要はなく、受付で待っているだけで良いというメリットもあります。

図書館の利用の仕方も、目的用途でも違ってきますが、それぞれの利点を理解して上手に利用しましょう。

図書館ボランティアに参加しよう

公共図書館では、館内業務や独自の企画、サービスを提供するために図書館ボランティアを募集している場合があります。ボランティア活動を図書館で行なうことで、自主的な活動の場を提供したり、住民に図書館への理解を促すなどことができます。ボランティアとしての活動は、主に図書の整理や本の修復、イベントや展示のサポート、館内の案内などがあります。図書館ボランティアに参加する場合は、募集をしている図書館に申込みます。事前にボランティア登録をすることが義務づけられているケースもありますので、図書館の事務局や受付で尋ねてみましょう。

図書館では、職員以外に多くのボランティアが働いていることが多く、子どもたちへの本の読み聞かせなどは地域のボランティアグループに委託していることも珍しくありません。ボランティア活動によって多くの書籍に触れる機会も多く、本に関するいろいろな知識や情報が得られるので、募集があればぜひ応募して、活動に参加してみましょう。


受験勉強や就職活動のシーズンのため、今は学生に多く利用されている図書館ですが、近年では雑誌やCD、DVDなども提供されるようになっており、社会人や主婦など多くの人に利用されています。このように様々なものを無料で借りられる図書館ですが、やはりよく利用されるのは辞典や辞書です。図書館においてある様々な辞典や辞書の歴史について紹介します。

様々な辞典

様々な辞典

冬の時期は図書館に多くの学生たちを見かけます。この時期は、受験勉強や卒業論文、就職活動など、学生たちの将来を決めるための重要なシーズンで、図書館を利用しながら勉強に励んでいます。言葉や物事を調べる上で役に立つのが「辞典」です。辞典には多くの種類があり、言葉について書かれたものを「辞典」、文字について書かれたものを「字典」、物事について書かれたものを「事典」として区別しており、さらにそれぞれの辞典はテーマやカテゴリ別に細かく分類され、より専門的な内容について書かれています。

私たちがよく使う国語辞典、英和辞典、和英辞典、ことわざ辞典は、「辞書」とも言います。他にも外来語辞典、類語辞典、英英辞典などがあり、主に言葉の意味や解説がされている書物を指します。一方、「字典」は、漢字を分類した辞典のことで、漢和辞典がこれに当たります。部首、画数、読み方など一定の法則によって並べられ、発音や字の成り立ち、意味などが解説してあります。中には、漢詩の韻を踏むために分類されたものもあります。

「事典」は、歴史や経済、科学、気象、文化など特定のジャンルでの物事を、写真や図表を使って解説してあるもので、様々な分野を網羅した百科事典などでよく使われます。百科事典は扱う内容が広いため、複数の書物で構成されていることが多いです。

これらの事典や辞書は、毎年新しい言葉や物事が増えたり、新しい解釈や意味の追加、新発見による内容の修正・変更があるため、毎年発刊されています。

辞書の歴史

辞書の歴史

辞書や事典は、多くの言葉や事柄が掲載されているため大変便利ですが、その分編纂にも多くの時間と手間が費やされます。現在、日本で現存する最古の辞典は、平安時代初期に空海によって編纂された「篆隷万象名義(てんれいばんしょうめいぎ)」であると言われています。この事典は全30巻からなり、篆書(てんしょ)と言う漢字の書体を載せ、その下に楷書の文字と解説がしてある字典で、漢字の字形を知る貴重な資料となっています。平安時代には昌住と言う僧侶が「新撰字鏡(しんせんじきょう)」を編纂しましたが、これが現存する最古の漢和辞典とされています。また、日本最古の百科事典では、平安時代中期に源順によって編纂された「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」とされています。平安時代では、文字や書は貴族か僧侶など限られた人たちのものだったため、庶民が目にすることはほとんどありませんでしたが、室町時代になると、読み書きが広い階層へ普及していったことから「下学集(かがくしゅう)」や「節用集(せつようしゅう)」などの辞典が登場しました。

江戸初期には、イエズス会のキリスト教宣教師により、日本語をポルトガル語で解説した「日葡辞書(にっぽじしょ)」が作成されました。「辞書」と名付けられたのはこれが最初と言われています。庶民たちが書や文字に親しんできた江戸時代には、非常に多数の辞典が編集・発行され、「和漢三才図会(わかんさんさいずえ)」や「古今要覧稿(ここんようらんこう)」など百科事典的なものも登場しました。1774年には、杉田玄白らによってオランダの医学書を翻訳した「解体新書」が刊行されました。明治時代に入ると、言語政策の一環として、国語学者の大槻文彦が「言海」を編纂し、近代国語辞典の基礎となりました。言海は、五十音引き、文語表現など現在の国語辞典に繋がる編纂がされていたため、これをもとに、戦後は様々な辞典が発行されるようになりました。