祭り情報
祭りと仏教の関係/ホームメイト
日本の祭りは神道の神々を祀るために行なわれていましたが、6世紀の伝来とともに、神道と仏教には特別な関係が生まれました。それは現代における日本文化の数々にも強く影響する出来事でした。
進行仏教行事と神道行事
仏教と神道の融合の名残は、私たちが一年の中で行なっている催事の中にも見受けられます。その代表例が年末年始です。
年末年始といえば、12月31日の大晦日はお寺の除夜の鐘を聞いて年を越し、1月1日には神社に初詣に行く、というサイクルを毎年行なっている方も多いと思いますが、この二つの行事を平然と同時に行なっていることに混合時代の影響が見られます。
大晦日は昔から一年で溜まった厄や穢(けが)れを祓う日だとされており、正月にやってくる歳神(年神)様の準備を行なう神道の行事ですが、お寺では人間の煩悩の数と同じ108回の鐘を打ち鳴らしそれを払うという仏教行事も行なわれています。いわば神道行事の中で仏教行事が行なわれているわけですが、人々は気にせず除夜の鐘を鳴らすことを楽しみにして行列を作ります。そうして年が明けると今度は神社の神様のところへ新年のお願いをしに初詣に行くのです。
仏様と神様に祈るという少々矛盾した二日間になるのですが、多くの人はそれを当然の催事として受け入れています。逆にお盆やお彼岸、節分など、もともとは仏教行事として伝わってきたものの日本の祖霊信仰などに影響を受け、日本オリジナルの行事になった例も多々あります。
仏教と祭り
お寺では「法会(ほうえ)」と呼ばれる祈念のための儀式が行なわれますが、「修正会」「修二会」(一年の反省をし、仏様に豊穣や平和の祈りを捧げる式)など大きなものになると、神社のお祭りと同様、縁日が開かれます。岡山県の修正会で行われる「会陽(えよう)」が「裸祭り」と呼ばれているように、法会の儀式から発展して祭りと呼ばれるようになった催事もあります。日本各地の節分祭などは、もともと仏教行事であることを考えると、仏教行事と神道の祭りが融合したものであるといえます。仏教行事は祭りとも結び付けられ、人々の間で親しまれているのです。
これらのように、神仏習合が解かれた現在でも、日本の年中行事や祭りの中で仏教は強い存在感を放っています。しかしそれは悪いことではなく、この神仏が交じり合った文化こそ人々が長年親しんできた、日本独自の文化だと言えるのではないでしょうか。神様と仏様について意識をしないことも多い昨今ですが、祭りや年末年始のときにはそれがもともと何の行事であったのか、自分が今何に祈っているのかを思い出してみてください。