冬の水族館情報
冬ならではの豊富な演出が魅力!冬におすすめの水族館
冬だからこそ訪れたい場所に、水族館があります。クリスマスや雪など、冬を感じさせる要素を水族館の動物たちとかけ合わせ、独自のイベントを実施するところが少なくないからです。非日常の雰囲気を楽しめ、あっと驚くようなイベントがあり、興味に合うものを調べるのがおすすめ。ここでは3つの水族館をご紹介します。
雪との融合が織りなす冬の水族館の幻想的な世界
水族館には、飼育されている生物たちを観察するだけではなく、冬を象徴する雪と融合した演出が見どころになっているところもあります。ロマンティックな夜を過ごすためにぴったりなイベントも開催されているため、見逃せません。
例えば、2015年(平成27年)12月~2016年(平成28年)3月には、京都市内にある「京都水族館」で「雪とくらげ」展が開催されました。京都は冬の冷え込みが厳しく、ときには降雪も見られる地域。この冬の京都ならではの風景を活かして、しんしんと街に雪が降る姿を映し出す演出から物語は始まります。水族館に生息するくらげたちが雪に喜ぶ様子で舞い、やがて水槽の水が溢れ出すという設定で、水に包まれた空間に変化。雪の結晶のような形をしているくらげの赤ちゃん“エフィラ”が、実際の雪と重なり合う部分を上手に利用したのです。
水槽を飛び出して自由に空間を舞うくらげと、冬を象徴する雪とが織りなす異空間に包まれて、幻想的な気分を味わえる演出となりました。水族館の生き物と季節感を表す映像が組み合わさり、新たな世界を見ることができるのが、冬の「京都水族館」の見どころと言えます。静かに降り続ける雪や、京都の伝統的な街並みを表現したアロマの香りが加わって、より独創的なイベントとなったのです。
星降る夜空と水族館の共演で冬を楽しむ
神奈川県にある「新江ノ島水族館」では、2014年(平成26年)から「ナイトワンダーアクアリウム」が開催されています。毎年異なった題材を取り上げて演出が構成されており、2016年(平成28年)は「月光に漂う水族館」と題して好評を博しました。冬の寒い時期は空気が澄み渡って、月や星がより綺麗に見える季節。この年は、月光で照らされた魚たちが作り出す神秘的世界へ、見る人をいざなう幻想的な演出がなされ、カップルや家族連れなど、多くの来場者で賑わうイベントとなった模様。最新の照明、音響技術、プロジェクションマッピングなどを各水槽で駆使したこのイベントの開催期間は長期にわたっていたため、パート1~3と期間を分けて、それぞれ異なった内容が用意されました。最終章であるパート3では、全館が冬のデートにぴったりのクリスマス仕様に。館内にあるバーで光るカクテルを味わえば、普段なかなかできないオシャレなデートも可能。昼間の水族館の様子とは打って変わった、迫力のある夜の館内をじっくり堪能できるイベントだということで人気となりました。
冬の定番クリスマスツリーを照らすのはあの動物
岐阜県各務原市にある世界淡水魚園水族館「アクア・トトぎふ」では、毎年11月中旬からクリスマスまでの間にのみ開催される恒例イベントがあり、2016年(平成28年)も実施されました。電気を使用せずにクリスマスツリーを点灯させる演出です。
水族館ならではのイベントだと思わせる理由が、デンキウナギによってクリスマスツリーを点灯させていること。その仕組みは、デンキウナギが発生させる電気を水槽内にある電極で感知し、ツリーのイルミネーションが点くというもの。迫力のあるお食事タイムには、一段と輝くイルミネーションが見られました。
専用の水槽に入れられた体長1m程のデンキウナギは、アマゾン川の淡水魚として知られていて、大きいもので800Vの電気を放出することもある生き物。この他にクリスマスの特別水槽など、普段なかなか見ることのできない光景が繰り広げられたのも、この季節ならでは。隣接するオアシスパークなどもあわせて訪ねれば、さらに新たな楽しみ方ができるでしょう。
寒い季節に水族館に行くことは、水というイメージからも「寒さが増すのではないか?」と考える方もいるようです。しかし、水族館には冬ならではの、夏とはまた違った楽しみ方があります。そこで、恋人や家族で利用すればさらに楽しめる冬の水族館利用方法をご紹介致します。
水族館は冬のデートにぴったり!
寒い冬は大切な人との距離を縮めたいもの。そんな冬の恋人たちに、水族館はぴったりのデートスポットだと言えるでしょう。
その理由は、魚や水の生き物たちの姿が美しいことや微笑ましさ、あるいは生命のたくましさなどが二人で共有できることにあります。これは心理的に、同じ物を見て同じ感情を共有し二人の絆を一層強める効果があるからです。また水族館の中は暗い場所が多く、目の瞳孔が開く時間が長くなります。瞳孔は異性に一目惚れした際や好きな人に会った際に大きく開かれ、反対に瞳孔が開くことによって見る対象を「好き」だと脳が思ってしまうそうです。つまり、瞳孔が開いた状態で恋人を見ることで、お互いの愛情が増す可能性があることになります。
そして意外なのが、水族館内部の適温が心理的に安心感をもたらすということです。冬の外気温は低く、反対に暖房がしっかり効いた室内は高い温度となりますが、水族館内部は通年、22℃から25℃程度の温度に保たれています。この快適な温度によりリラックス効果が生じるため、不安や心配な気持ちが減少し安心できるそうです。その安心感がベースとなって、相手と一緒にいることの心地良さを感じられます。このようなことからも、冬の水族館デートはカップルにとって訪れる価値の高いスポットです。
こたつで観られる水族館
石川県七尾市にある「のとじま水族館」は、冬が特におすすめな水族館です。ペンギンなどが泳ぐ長さ22メートル、水量1,600トンもの国内最大級のトンネル水槽などで人気なのですが、冬になるとこたつに入りながらゆっくりと鑑賞できます。
2013年(平成25年)の冬から始められたこの催しは「こたつde水族館」と名付けられ、大きな水槽「ジンベエザメ館/青の世界」の前に据えられた数台のこたつに入りながら、悠々と泳ぐジンベエザメなどを鑑賞することができます。立った状態や歩きながら観るのとは異なり、座ってじっくりゆったりと観察することができるため、癒されること間違いなし。ちょっと変わった水族館体験を楽しめます。
なお、混雑時にはこたつを設置しないこともあるため、来館前のお問合せをすることをお勧めします。
冬の妖精・クリオネ
巻貝の仲間で、流氷とともに日本北部の近海にやってくるクリオネは、その透明な体の美しさから「冬の妖精」とも呼ばれます。胴体の前部分に生えた一対の翼のような形の足を動かして泳ぐために「天使」とも形容される生き物ですが、実は肉食であり、獲物を捕らえるときにはその姿が豹変することも人気の一因となっています。
このクリオネが見られる水族館は全国に数ヵ所ありますが、実は近年、地球温暖化などの影響によって北海道に流氷が漂着する時季が遅くなったことが原因で、採取量が減少している品種でもあります。つまり水族館で観ることのできるチャンスが減っている生き物であるとも言えるのです。クリオネは、例年1月から3月にかけてのオホーツク海沿岸の海岸付近に漂っているところを網ですくい採取しますが、流氷の着岸が遅くなることで波の高さが増し、クリオネを網ですくうことは困難になります。個体数が減少している訳ではないようですが、地球温暖化がもたらしたこの影響によってクリオネを観る機会が減ることを残念に思うファンも多くいます。
冬は寒々しいイメージがある水族館ですが、最近はクリスマスなどに合わせて様々なイベントが開かれ、冬休み期間中は大勢の人で賑わいます。水族館ならではの水生生物の神秘とエンターテイメント的なパフォーマンスは、デートスポットとして利用されるなど、高い人気を誇っています。
冬のイベント
夏のイメージが強い水族館ですが、各地の水族館ではクリスマスを中心に冬のイベントがいろいろ開催されます。大水槽の中を泳ぐイワシの群れを利用してクリスマスツリーを作ったり、イルミネーションを使って水槽内をファンタジックに演出したりと、いつもと違った内容で観客を魅了します。この他にも、スタッフがサンタの扮装をして水槽に潜ったり、イルカやアシカショーなどもスペシャルプログラムが組まれたりと、水族館によって工夫を凝らしたお楽しみが盛りだくさんです。
神奈川県の鴨川シーワールドでは、冬でしか見られないコウテイペンギンの園内散歩があり、群れで歩くペンギンたちの姿に観客たちは大喜び。大阪府の海遊館では、ジンベエザメとサンタダイバーが一緒に泳ぐシーンが見られ、子どもたちに人気です。福岡県のマリンワールド海の中道では、サンタの格好をしたアシカやアザラシとの記念撮影ができ、クリスマスの思い出づくりに絶好の機会。
いろいろなショーやパフォーマンスが繰り広げられる冬の水族館は、寒い日でも暖かい館内でゆっくり過ごせるので、デートや家族のレジャーに最適です。クリスマスや初詣での帰りなどに立ち寄ってみてはいかがでしょう。
アシカとアザラシ
水族館で人気者のアシカやアザラシは、いつも楽しいパフォーマンスを見せてくれます。ただ、アシカとアザラシの違いは一見しただけではちょっと分からない人も多いのではないでしょうか。アシカとアザラシは動物学では分類が異なり、外見上でも違いがいくつか見られます。一番大きな違いは、耳たぶがあるかないかで、目の横に耳たぶがあるのがアシカ、耳たぶがないのがアザラシです。さらに、耳たぶが小さいのがアシカで、大きく目立つのがオットセイになります。アシカとオットセイは同じ仲間で、耳たぶ以外にもヒレの先にも違いがあります。
また、ヒレによってもアシカとアザラシは大きな違いがあり、アシカは、後ヒレを体の下に入れ、前ヒレで体を支えて上手に歩くことができますが、アザラシの後ヒレは柔軟性がなく、前ヒレも体に添える程度なので、陸上では転がるようにしか移動できません。そのため、水族館でパフォーマンスを見せるのはアシカやオットセイで、器用にいろいろな芸をこなします。アザラシもその愛くるしい姿から多くの人から愛され、どちらも水族館の人気者として不動の地位を守っています。
魚たちへの給餌
水族館では、いろいろなパフォーマンスが見られますが、魚たちにエサを与えるシーンも人気のパフォーマンスのひとつです。ダイバー姿のスタッフが水槽の中に入り、個々の魚たちに直接エサを与えていきますが、アシカやイルカのショーと違って、自然の中の1コマのように展開され、観覧者も魚のエサの食べ方を観察できます。魚たちもダイバーの回りを取り囲むようにエサを要求し、その姿を見ているだけでもほほえましく感じます。
一見優雅に見えますが、魚への給餌は、水族館スタッフの中で最も大切で時間をかける作業となります。水族館には、様々な水生生物がいるため、それぞれの食性に合わせてエサを用意しなければなりません。小さな魚には細かく切って計量したり、アシカやアザラシには、魚をさばいたりするなど準備作業も時間がかかります。餌を与えるときはすべての魚に行き渡るようにし、同時に食い付きによって健康チェックも行ないます。見た目より意外とハードな作業ですが、観覧者の評判も良く、ショー的要素を取り入れているところもあります。
日本列島には暖流と寒流が流れており、暖流の魚は水族館でも花形ですが、寒流の魚も私たちの生活に密接にかかわっています。水族館ではこうした寒流の魚にも目を向けて、寒い海で生活するいろいろな魚にもスポットを当てています。そして子どもたちに人気のペンギンは、全国の水族館でも多く飼育されています。ユーモラスな動きと愛くるしい姿を、この冬にじっくり観察してみましょう。
寒い地方の魚
水族館のメインとなる大きな水槽では、多くの魚が回遊している姿が見られます。メインの水槽の魚たちは、主に暖かい海に生息する暖流魚ですが、もちろん寒冷地の冷たい海に生息する寒流魚もいます。寒流魚はあまり回遊することなく、季節によって深度を変えることが多いようです。日本近海の寒流に生息する魚としてはタラがよく知られており、マダラ・スケトウダラ・コマイが分布しています。一般的にタラと呼ぶときはマダラを指すことが多く、この時期は鍋などでよく食されます。マダラは体長が1m超程で、お腹が大きく膨らんでいるのが特徴です。また、スケトウダラは体長70m程度とマダラより小さく、体全体が細長い形をしています。コマイは体長30cm程度と小ぶりの魚です。
タラは、冷たい海の海底近くで生息している魚で、体色は褐色や灰色が多く、海底に紛れるため保護色となります。また、産卵も海底で行ない、その数は数十万から数百万個に及び、魚の中でも多産として有名です。
また、寒流ではありませんが、サケも寒い地方で見られる魚で、サケ・マスは淡水魚であるため、主に河川で成魚が見られます。しかし、幼魚から成長する過程では海で育ち、産卵期になると川を上って産卵します。
タラもサケも日本の食卓にはお馴染みの魚で、どちらも漁場が近く、昔から日本の食文化を支えてきました。こうした身近な魚の生息地や習性なども水族館で学ぶことで、より魚に対して親近感を感じることでしょう。
ペンギンの観察
水族館は、魚以外の生物にも出会える施設で、ペンギンは多くの水族館で飼育されており、来館者の人気者となっています。地球上には極限の南極に生息するものから、赤道に近いガラパゴス島に生息するものまで18種類のペンギンが生息していると言われています。日本の水族館ではその内の11種類のペンギンを見ることができ、中でも長崎ペンギン水族館では、8種類のペンギンを飼育しており、大規模な水槽があるので、ペンギンが泳ぐ姿も見ることができます。
ペンギンと言うと南極をイメージされる人も多いと思いますが、南極で生息・繁殖するのはコウテイペンギン(エンペラーペンギン)とアデリーペンギンの2種だけで、ほとんどの種類は、南アメリカやオーストラリア、アフリカの南部に分布しています。鳥類の仲間ですが、空を飛べない鳥でもあり、地上ではフリッパー(羽)をばたつかせながら歩く姿がユーモラスで、ペンギンの人気を押し上げています。また、氷の上では腹ばいになって滑ることもあります。その代わり、水中では泳ぎが達者で、素早い動きでエサを取ります。また、イルカのようにジャンプすることもあります。繁殖は陸上で行ない、1回に1~3個の卵を産み、オスとメスが交互に卵を温め合います。日本の水族館でも繁殖を行なっており、タイミングが良いと卵を抱えたペンギンを見ることができます。また、おたる水族館ではペンギンのショーも行なっており、ペンギンたちが飼育者の命令にしたがって動く姿は子どもたちにも大人気です。
日本で見られるペンギンの中で最も多いのが、フンボルトペンギンやマゼランペンギンなどの小型種で、名古屋港水族館のようにペンギンの特設コーナーを設けている水族館もあります。
冬の寒い時期に生き生きと過ごすペンギンたちの姿を観察すると、様々な動作や群れでの生活が発見できて面白いですよ。